タイトル:直感ヒトフデ
発売:任天堂
開発:ミッチェル
発売日:2004年12月2日
価格:3,800円(税込み)
対応:無料体験版配布/2カード2P対戦
タイトルも内容もひたすら直球勝負のソフトである。
ゲームのルールは簡単だ。
白と黒のピースが配置されている。→ペンで線を引く。→線を引き終わると線上の黒ピースは白に、白ピースは黒に裏返る。→黒か白が横一直線に並ぶとその横列が消える。
これだけのゲームである。
これにちょっとした要素をくわえられただけのゲームモードが3つ用意されている。
メインの「チャレンジ」では時間経過に伴い1~4列ずつ新しいピースが追加され、ラインを超えるとゲームオーバーというルールが入る。ヒラメキと手際の良さが勝負の分かれ目だ。落ちモノパズルと同じようなアクションパズルと呼ばれるジャンルになるだろう。
無線による2P対戦を導入した「バーサス」は基本的にチャレンジと同じルールだが、アイテムという要素が加味されている。未プレイなので詳細は割愛する。
じっくりと腰を据えてプレイする「チェックメイト」は列の追加はないが、1回の線引きで1画面すべてのピースを消さなくてはいけない。これは倉庫番などの古いタイプのパズルゲームの王道のような感じだ。
まず、チャレンジについて考えみる。
このモードの最終目標は1000ライン消しで、100ラインごとに落ちてくるピースのパターンが大きく変化するのだが、200ラインを超えたあたりからだんだんと難しくなり一筋縄ではいかなくなる。また、100ラインごとに出てくるエリアピースがあり、これが最下段に来るとすべてのピースが消えてボーナスが入る。
上画面にボーダーラインが用意されており、積み重なったピースがそれを超えるとゲームオーバーだ。下の画面でタッチしつつ、上画面にもときどき注意を払う必要があり、結構忙しい。延々と単純作業を続けるだけのゲームだがそれなりの中毒性がある。
ただ、色々と不満点も多い。
100ラインを超えるまでは単調なパネルしか落ちてこないため、ほとんどパターン化された線引きしかできない。緊張感のかけらもない単純作業だ。1000ライン超えを目標としてプレイする猛者にとってはアクビが出てくるほど退屈だろう。100ラインごとに開始ラインを決めてスタートできるか、コンティニューが有ればいいのだが・・・。
また、高得点によるメリットがネームエントリー以外に何もないのはなんだか味気ない。ある一定の点数を超えるごとにエリアピースと同等の効果のあるピースが落下してくるのであれば、高得点をねらうリスクとリターンがより明確になってメリハリが出るだろうに。
一方、チェックメイトはなかなか秀逸だ。問題は100問ある。10問クリアするごとに次の10問がプレイ可能になるのだが、段階的に問題が難しくなっており、その問題もなかなか考え込まれて作られているのが見て取れる。問題の自作も可能で、現在プレイ可能なステージ数と同じだけ、つまり最大で100問の問題作成が出来る。
DSではもてあましがちになる上画面もうまく活用している。一度ステージを失敗したあとで、同じステージに挑戦すると上画面に前回の線引きパターンが表示されるのだ。これは非常に役に立つ。これを利用して最初からすべてを説こうとせずに、下半分を先にクリアしてみて、2回目に始点と終点を延長させて上半分も一緒にクリアするような攻略法が有効だ。ヒントが有効になっている場合、ずっと同じ問題で煮詰まっていると、答えの開始点と終了点も表示される。あくまで回答例の1つだが、どうしても解けない問題はこれを利用するといいだろう。
チェックメイトでの問題作成は画面のインタフェイスが若干使いづらいのだが、作成したステージを渡す方法が無線通信のほかにパスワードまで用意されているのはありがたい。30桁の数字で問題を他の人に渡すことが出来る。パスワードの入力にタッチパネルが使用できるので、入力は容易い。しかし、パスワードミスの際に警告メッセージが表示され、直後に出てくる入力画面上で0が30個ならんだのには閉口した。入力の修正なんてものがまったく考慮されていないのだ。
チェックメイトは50問目を超えたあたりで一部のステージが非常に難しくなってくる。瞬間的に判断する必要のあるチャレンジとは異なり、出てくる問題は非常に意地悪だ。列ごとに白と黒を判断しながら線を引く必要がある。すべてを白もしくはすべてを黒というパターンでは絶対にとけない。全100面のうち、解法が1パターンしかないという問題は意外と少なく、大抵の問題で複数の解法でクリアできる。コツをつかめば数時間で全問クリアできる程度のレベルなので、まあ、それなりの難易度だ、
どうしても解けない問題があるときに良い方法がある。
オセロ盤を手元に用意し問題をそこに並べてみるのだ。そしてパターンをよく見る。
□□□■□□
■■■□■■
□□□■□□
仮にこのようなパターンがあったとする。これで真ん中の列だけ白黒を反転させる。
□□□■□□
□□□■□□
□□□■□□
何とも解きやすいパターンに変化した。このような手順で問題の横列の一部を何ヶ所か反転させてみると簡単に答えが導けるようになる。
ちょっと考えれば分かることだが、このゲームにおいて、横方向に見たときにピースが白であることと黒であることに特に意味はない。並びのパターンが同じであれば、白と黒を逆にしても問題ないのである。
ここまでレビューを書いて、私はある隠されたメッセージに気がついた。
隣り合った同色のピースが反転したら自分も反転する必要があるが、上や下のピースが反転しても影響は出ない。つまり、友人や恋人など横のつながりは大切にする必要があるが、上司部下、先輩後輩は気にしないでいいと言うことだ。つまりこれは縦社会への反論である!何とも深いゲームだ!
ついでに言うと、チャレンジモードでは瞬間的に上下の配色を無視してプレイするのは難しい。つまり、上下関係に見切りを付けるのは時間のあるときに焦らずじっくり腰を据えてと言うことだ。深いぞ!
そして、横のつながりが何らかの影響(ペンタッチ)ですべて白や黒に染まると消えてしまう。白と黒はそれぞれの思想だと考えて頂きたい。ペンはえーっと、なんだ、その、アレだ、マスコミかな。ペンだし。まあ、適当な権力だと考えて欲しい。とかく現代人は多数派の思想に染まりやすい。つまりこれは、みんな同じ考えになるとそれは存在しないのと同じだという強烈なメッセージである。深い!深いぞヒトフデ!
さらに、このゲームでは無線による1カード対戦は出来ないのに、他の人への体験版の配布が可能だ。これはちょっと遊ぶ程度なら無料であげちゃうけど、本気で遊びたければもう一本買ってね♪という何とも世知辛いメッセージだ。深いぞヒトフデ!というか、このメッセージだけはなんか違う気がするぞ!