2024年02月20日

3万アカウントの凍結を見届けた 趣味としてのTwitter(X)スパム報告

趣味にはさまざまなものがある。
私はゲーム好きが高じて株主総会のレポートを毎年書いたり、映画館でペンライトを振って歓声をあげる応援上映にのめりこんで同じ映画を何十回も観たりしている。
最近、新たにTwitter(Xともいう)におけるスパム報告が趣味に加わった。

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[2024年2月20日現在 31000件ほど凍結確認済み]

こちらは、記録に残している凍結済みアカウントのリストだ。2023年9月下旬から記録をあつめて、半年ほどで3万アカウントに達した。
他に、未凍結のスパムリストが5000件ほどある。

Twitter(現在はXと呼ばれる)のスパムといえば、バズったツイートに他のツイートをコピーしたり、自動生成したような文章でリプライを投げる青バッジ付きの「インプレゾンビ」が大活躍中だが、検索で拾いにくい上に凍結が容易ではないという理由で対象にしていない。

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2023年06月25日

任天堂株主総会レポート2023

いつものように、始発の新幹線に乗って京都に向かう。
京都駅から任天堂の本社研究棟…ではなく、今回の行き先は京都市勧業館(通称:みやこめっせ)だ。

2022年9月末に任天堂は1株を10株に分割し、当時6万円前後だった株価は自動的に1/10の6,000円程度に下がった。
株主総会に参加するには最低100株の保有が必要だが、参加するためのハードルも大きく下がることになる。実際、個人株主数が大きく増加した。
社内の大会議室では増えた株主を収容できないため、イベント会場で行われるようになったのである。
昨年予想した通りだが、合法的に任天堂の内部に入り込む機会が失われたのは大変悲しい。

新幹線を降りてダッシュで地下鉄に乗り換えて最寄りの東山駅に降りると、改札の外に任天堂の若手社員が案内板を持って立っていた。
みやこめっせに向かう道中、交差点ごとに案内板を持った任天堂社員が…

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(※撮影許可はいただいています)

なんだろう、この既視感は…

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あっ。

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2023年06月21日

レビュー:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

[本記事にはゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダムのネタバレがほんのり含まれます]

ゲームを心から楽しむためには仕事をしてお金を稼がねばならない。2023年5月12日金曜日も朝から仕事である。数年に一度のゼルダ新作発売日という大事な日に外せない予定を入れた上司を恨みつつ、木曜の仕事を終え、発売日に備えて食事を取り、風呂で体を清め、仮眠を取った。

そして、午前0時を迎えた。ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダムが発売された。
あらかじめSwitch本体にダウンロードされていたソフトを起動すると、ネットワーク越しに認証が始まり、プレイが解禁される。

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……。
………。
…………。


気づけば午前4時。ほどよい疲労感を味わいながら再びベッドに入った。
金曜の仕事を終えてすぐにハイラルに潜り、寝て、起きて、土曜の朝にハイラルに戻り、祠を開放し続け、夕方に約束していた友人との食事会を完全に忘れていてすっぽかした(本当にごめんなさい)

こうやってわりとダメな感じで幕を開けたハイラル探訪は、他の趣味の時間や睡眠時間を大量に蝕みつつ1ヶ月ほどでエンディングを迎え、祠解放を終え一区切りがついて今レビューを書いている。

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2022年06月30日

任天堂株主総会レポート2022

2013年から毎年行っている任天堂株主総会だが、2020年と2021年は任天堂から「コロナ感染対策でなるべく来ないでくれると嬉しいな」というニュアンスのお達しが出ていたので行くのを断念した。
そして今年も任天堂は「できれば来ないでね」というオーラを醸し出していた。だがしかし、2022年10月に1株を10株に分割するという話が出ており、株主になるための金銭的ハードルが一気に1/10になるため「2023年の株主総会はめちゃくちゃ参加者増えるのでは」「任天堂社内の大会議室ではなく別の会場になるのでは」「質疑応答で指名される確率がめっちゃ下がるのでは」という不安があり、今年は行くことにした。

というわけで、3年ぶり8回目の任天堂株主総会である。
※ワクチン接種3回行っております。十分な感染症対策を行い株主総会に参加しております。

めちゃくちゃ暑い。夏か?

午前6時に博多駅からのぞみカード(サイコロを5個ふって出た合計の数だけ進める)を使って京都駅まで一気に移動し、タクシーで任天堂本社開発棟へ。

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当日の京都の最高気温は34度。毎年梅雨時期だから雨傘が必要だったのに。見てよ。この8月のようなきれいな青空…。
受付開始の9時前に到着したので、少し並んで待つ。だいたい30人ぐらいかな。
検温とアルコールによる手指消毒を済ませて7階の会議室へ。

感染対策でエレベーターは5人制限、予告していたとおり例年もらえていたお土産はなし。お茶のペットボトルは1本もらえた。手渡しではなく、テーブルに並べられていてセルフサービス。

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会議室はいつもは椅子をみっちりならべていたのに、左右に1.5脚分ぐらいスペースを開けて互い違いに席が用意されていた。
開始まで1時間ほど暇だったので、SNSで株主総会参加者を探す。

F-ZEROについて質問するために株主になったという気合の入った方を発見(ここ、伏線なので覚えておこう)

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2022年03月15日

Hue Sync Boxで映像とゲームを画面の外から強化する

とりあえず、このクソ愉快な映像を見てほしい。
今回の記事はこれに近いものを自宅で再現する試みをまとめたものだ。

さすがにこの構成を再現するのは相当なコストと広い部屋が必要で無理なので、できる範囲でやってみたのがこちら。

なかなかいい感じではなかろうか。

Hue(ヒュー)はPhilips社の製品で、Wi-Fiやインターネット経由で制御できるIoT照明のシリーズだ。

"hue"が超絶ヤバい10の理由
最高のゆゆ式体験を求める
hueの記事を書いたらフィリップスの人が家に来た
NetflixとHueライトリボンの組み合わせで最高の暖炉ができる

今回は、そこに「Hue Sync Box(ヒュー・シンクボックス)」という新たな武器を投入したというお話。

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2021年03月11日

シンエヴァを鑑賞した人たちを鑑賞した[ややネタバレあり]

2021年3月8日、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||を公開初日に見た。
記事タイトルがちょっとアレなのは後で説明する。

新世紀エヴァンゲリオンと私

自分とエヴァとの出会いは再放送だった。本放送当時はアニメーションに疎く、おそらくエヴァンゲリオンという単語に出会ってもいなかっただろう。
1997年の再放送時に鑑賞した記憶はあるものの、全話通しては見ていないはずだ。自分の中では面白いアニメの一つに過ぎなかったと思う。

それから10年が経ち、リメイク第一作のヱヴァンゲリヲン新劇場版:序が公開される。
「序」から自分とエヴァとの接点が変わっていく。

2007年は、Twitterが日本において影響力を持ち始めた時期でSNSでの交流が活発になっていた。
とはいえ、Twitter日本語サービスの正式リリースは2008年4月である。英語版のツールに飛びつく新しもの好きが「お互いTwitterの利用者である」という希薄な接点でコミュニティを形成していた。

そういう変なコミュニティではいろんな人達と触れ合うことになり、その中にエヴァマニアもたくさんいた。
そうすると、エヴァに対する感情クソデカツイートをたくさん目撃するようになり「エヴァって思ってたよりすごいコンテンツなのか」とだんだんと理解できるようになってきた。
とはいえ、まだ映画館に行ってアニメをみるという習慣はなく、「破」公開に合わせて地上波で放送されたテレビ版「序」で初めて鑑賞した。

もともと考察は好きな性分なので、「序」「破」で騒いでいる人達を見ながら、深みにはまっていくことになった。「破」以降は映画館で鑑賞している。
それからさらに10年と少しの時間が過ぎて、今この文章を書いているのである。

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2021年02月12日

藤子・F・不二雄「ノスタル爺」を読み解く

藤子・F・不二雄の「ノスタル爺」という作品がある。
1974年に、藤子不二雄Aとのコンビを解消する前の藤子不二雄名義で発表された28ページのSF短編で、ネット上では「抱けえっ!!抱けっ!!抱けーっ!!抱けーっ!!」のコマだけが妙に有名な作品だ。

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ドラえもん公式サイトで2021年2月13日までの期間限定で無料配信されている。

現在入手可能な短編集では「藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(2)定年退食」に収録されている。

あらすじ

この作品あらすじはこうだ。

学徒動員で戦地に送られた浦島太吉は、ジャングルで30年過ごしたあと帰国したものの、出兵前に結婚した妻の里子はすでに他界していた。故郷の村はダムの底に沈み、村人は散り散りになり、「土蔵の爺さま」が亡くなっていることを知る。
太吉は自身が戦地で死亡したことになっていたにも関わらず再婚を断り続けていた里子を思い、結婚するべきではなかったと嘆く。祝言の日に里子と交わした会話や、「土蔵の爺さま」のことを思い出しつつ、ダム湖の水際まで向かう。
水没していたはずの樫の木の根本で中学時代の思い出に浸っていると、漠然とした予感が膨れ上がり村のあった場所に駆ける。そこにはかつての村の姿があった。幼い頃の里子を見つけ思わず抱きしめると、不審者として村人たちからふくろだたきにされ、浦島家に連行される。
太吉は父親に村から出ていくよう諌められるが村にとどまることを懇願し、土蔵に閉じ込められることになった。ひげだらけになった太吉は、土蔵の外から聞こえる幼い里子と太吉の会話に耳を傾けながら笑みを浮かべた。


本作の時代背景

この作品は第二次世界大戦後30年ほど経過した1974年の作品で、その時代背景が盛り込まれている。
藤子・F・不二雄作品は普遍的に価値を持つが、さすがに半世紀前の作品となると、現在の価値観で読むと理解しづらい部分も出てくる。同じ短編集に収録された同時期発表の作品には「日本の人口は増え続け、何らかの形で人を減らす必要がある」という観点で描かれた内容のものが複数あるが、今の日本は少子化問題に直面している。

今作では冒頭でさらっと戦争から30年ぶりに帰国したことが説明されるが、これは主人公の浦島太吉は、戦後28年間グアムに潜伏し、1972年に帰国した残留日本兵の横井庄一さんがモデルになっている。読者の頭に横井さんのことがある前提で描かれているので衝撃的な事実に対して説明が簡素なのだ。

また、不可解な言動を繰り返す人間を自宅の蔵に監禁する行為は、現在ではあまり想像できない。一族に精神障害者がいることを恥とし、病院ではなく自宅や離れに監禁する「私宅監置」は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が施行される1950年までは合法だったのである。1970年代半ばの世論としては「過去の誤った行いで、現在は認められていない処置」ぐらいの感覚だったのではないだろうか。

また、今回の無料公開版や、電子化されている「藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>」において、ループ後の太吉は「土蔵の爺さま」と呼ばれる。出版当時は「気ぶりの爺さま」と表記されていた。気が触れた、気が狂ったといった意味で、当時は問題なくても現在は差別的なニュアンスがあるための改変であろう。注意書きをつけて当時の表記のままにしてほしいものだが、児童の目に触れやすい作家なので難しいところだ。

時系列整理

本作は28ページの短い作品だが、回想シーンと現代のシーンが交互に進み、しかもその2つが途中から混ざっていく巧妙な構成になっている。
ストーリーがどのように進むのかまとめてみた。

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