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2011年11月20日

PlayStationVita体験会に行ってきた

近場でPlayStationVitaの体験会(PLAYキャラバン)が開催されていたので行ってきた。案内ページにHAKATAと書かれているが、博多区ではなく中央区天神だ。

P1020492.jpg

今にも雨がふりそうな天気だったからなのか、来場者は少なく、いくつかのゲームは試遊台が空いていて待ち時間ゼロ、人気のあるソフトでも15分程度の待ち時間で遊べた。
途中から雨が降り出し、客よりもスタッフの人数が多いという切ない状況に…。
お陰でたっぷり楽しめたのでありがたいが。

雲天だったとはいえ屋外のため映りこみが激しく、自慢の有機ELディスプレイが堪能できない残念なロケーションだったが、まあ画面は綺麗。iPhone4に初めて触った時ぐらいの感動があった。
画面も大きいのでポータブル動画ビューアとしても使えそうだ。PS3の地デジレコーダtorneと連携もできるので、家で録画した番組を移動中に見ることができる。

しかし、でかい。初代PSPより大きい。
その分、操作感はすこぶる快適で、ボタンもスティックも扱いやすい。背面左右にあるの凹みがグリップ感を高めている。前面タッチパネルの反応も自然だ。
背面タッチパネルを駆使するソフトは遊ばなかったので、使用感はわからないが、ソフト側でよく作りこまないと使いづらいのではないかと感じた。

メニュー画面はあまり触っていないがニンテンドー3DSと比べるとレスポンスがいいと感じた。

なお、今回触った本体は製品版ではないようだ。背面の品番部分に秋バージョンの試作機である旨の記載があった。

すいていたことを良い事に、たくさん遊んできた。
それぞれのソフトについて軽く感想を書くことにする。

「アンチャーテッド-地図なき冒険の始まり-」
アンチャーテッドシリーズは、第二作である「消えた黄金船団」をクリア済みなのでどういうゲームなのかは把握している。
選んだステージが暗すぎて、画面の映り込みのせいもあって何をどうしていいのかさっぱりわからず、いくつかの部屋を行ったり来たりで終わってしまった。じっくり遊べば楽しいと思う。

「真・三国無双NEXT」
安定した無双系最新作という感じで、高性能ハード向きの題材だ。
一画面に出てくるキャラクタ数が非常に多く、3DS版の戦国無双クロニクルはなんだったのかと思うレベルだった。
ただ、ニンテンドーDSが発売された当初にあったような「とりあえずタッチパネルを多用してみました」と言わんばかりの迷走した設計のタイトルみたいに、無意味にタッチパネルを触らせまくるシステムはちょっと理解に苦しむ。そういうのは誰も望んでいないと思う。
戦国無双クロニクルのタッチパネルの使い方は結構うまかったんだけどなあ…。

「地獄の軍団」
全く前情報を仕入れていなかったが意外と化けそうなタイトル。
多数引き連れたゴブリンに命令をして巨大モンスターを倒すゲーム
どっかで見たことあるなーと思ったが、あれか、ピクミンのボス戦か。
シンプルだが、敵のアルゴリズムやゴブリンの種類でどれくらい変化を付けられるかがポイントだろう。

「忍道2 散花」
チュートリアルしか遊べなかったのでなんとも言いがたい感じ。

「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」
体験版専用シナリオが楽しめたが6分で終わった…。
タッチパネルで証拠のある場所を探すイベントや、2つの項目を選んで矛盾を指摘する、逆転裁判のような新システムが良い感じ。

GRAVITY DAZE(グラビティデイズ)/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動
クソ長いタイトルだが、これが一番面白かった。
動画を見てもらったほうが早いと思うが、重力を制御するアクションゲームだ。

Rボタンを押すと重力から解放され、浮遊する。浮遊中に画面にでてくるポインタを右スティックかモーションセンサーで動かして壁に向けて、再度Rボタンを押すとその壁に対して重力が発生する。
壁ではなく、遠くにいる敵に向かってポインタをあわせてRボタンを押し、続けて攻撃ボタンを押すと敵に向かって落下しながら攻撃する「重力キック」が使える。

フワフワと浮遊する感覚と、横や上に"落下"する感覚が心地良い。
主人公の女の子とパートナーの猫も可愛い。
途中で差し込まれるコミック風のストーリー部分も斬新で楽しい。

新ハードが出て直後の年明け発売で、全くの新規タイトルだから売れないだろうけど、人気は出るんではないかと予想している。

今後、体験会に参加する予定のある人はぜひともプレイしてほしい。

※当サイトは任天堂ファンサイトです。

2011年11月19日

レビュー:スーパーマリオ3Dランド

幼い頃に初代スーパーマリオブラザーズに触れてから、マリオシリーズはすべて遊んできた。初代の流れをくむ2Dマリオシリーズと、NINTENDO64と同時に誕生した3Dマリオシリーズがあるが、どちらが好きかと聞かれたら、3Dマリオを選ぶだろう。
しかし、世間ではそうではないらしい。

VGChartz調べのマリオシリーズ歴代売上トップ10は以下のとおり。赤が2Dマリオ、青が3Dマリオだ。

1FCスーパーマリオブラザーズ4024万本
2DSNEWスーパーマリオブラザーズ2607万本
3WiiNEWスーパーマリオブラザーズWii2230万本
4SFCスーパーマリオワールド2061万本
5GBスーパーマリオランド1814万本
6FCスーパーマリオブラザーズ31728万本
7N64スーパーマリオ641189万本
8GBスーパーマリオランド21118万本
9SFCスーパーマリオコレクション1055万本
10Wiiスーパーマリオギャラクシー967万本

そりゃ、NEWマリオにつづけてNEWマリオWiiも作るよと思うぐらいの2Dマリオの人気っぷりだ。

この売上を見て、それでも任天堂は、NEWスーパマリオブラザーズ2ではなく、3Dマリオの最新作をニンテンドー3DSで発売した。奥行きのある画面と、アナログスティック(アナログパッド)を駆使した、まぎれもなく3Dマリオシリーズの最新作だ。

社長が訊くシリーズで語られているが、3Dマリオシリーズにおける基本ルールをすべてリセットして、イチから新作を作り上げている。

そして、3Dマリオに気軽に楽しめる2Dのテイストを盛り込むことに成功した。
パッケージにも「手軽に気軽に3Dマリオ」と書かれている。

3Dなのだから、すべての方向に自由に進めるべきであるという発想を捨てたのが一番大きい。

スーパーマリオ64をはじめとする3Dマリオでは、各ステージのクリア条件がバリエーション豊かだった。基本は特定の場所に置かれたアイテムを取得すればクリアだが、ステージによってはボスを倒したり、複数のアイテムを集めたり、謎解き要素が多い。

それに対し、3Dランドでは「ゴールポールにたどり着く」というシンプルなゴールを1つだけ用意した。ボスが登場するステージですら、倒したあとでゴールポールがある場所にワープするという徹底ぶりだ。

今までは、今まさに置かれている危機的状況への対処と、ステージ全体のクリア条件達成の2つのことを考えながらプレイする状況が発生していたが、3Dランドでは目の前の問題にだけ対処して前に進みさえすればそのうちゴールに辿りつける。
目的をシンプルにしたことで、「頑張って難関を超えたのに、ゴールは逆方向だった」という悲劇も起きなくなり、ストレスがたまらない。
これが思いのほか快適で、サクサクとゲームが進む。やめどきがわからず、プレイし続けてしまう。

また、アナログパッドに「8方向、2速のみ」と制約をつけている。

通常、アナログパッド(スティック)は、360度どの角度にも進むことができ、速度も自由に調整できるので、マリオ64ではBダッシュを廃止していた。アナログスティックで微速度に調整するのは、結構難しい。3DランドではダッシュはX/Yボタン併用とすることで、何も考えずに全力で倒すだけでよくなった。

さらに、方向を上下左右斜めの8方向に限定したことで、3Dマリオで起こりがちだった「細い足場に着地しようとしたら、少し斜めにジャンプしてしまい落下した」というシチュエーションが大幅に減った。
全体的に操作感はすこぶる良い感じ。ただ、走りながらしゃがんだ直後にジャンプする「幅跳び」は、少しやりづらく感じた。今までの3DマリオだとしゃがみでZトリガーなどの背面ボタンを使用していたため、同時押ししやすかったが、L/Rボタンに変わっているのが原因だろう。
幅跳びのやりづらさは開発スタッフも認識していたのかはわからないが、幅跳びしないとクリアできない場面は存在しない(タヌキマリオのジャンプのほうが飛距離が長い)

視点変更機能をほぼ廃止したのも大きい。
一応十字キー左右で、左右を少し見渡すことができるという機能は残しているが、ごく一部のステージを除いてほぼ一本道なので全く必要ない。

素人判断だと、視点変更が自由にできるようになっていたら、このゲームはより面白くなるように思える。
横スクロールのシーンで、あえて主観視点にしたり、視点変更すれば初めて気づく仕掛けを用意したり、遊びのバリエーションが増える。視点変更は2Dゲームに対する大きなアドバンテージだが、今回はあえてそれを排除した。

普通にプレイしていれば遊びやすいのに、間違えて視点変更をしてしまって遊びづらくなるのを防いでいるのかもしれない。
ステージ構成がシンプルで、進む方向が固定されているので常に一番遊びやすい視点になっている。
全編通して視点でストレスを感じる部分はなかった。

難易度も絶妙だ。
NEWスーパーマリオブラザーズWiiで導入された初心者救済システムは更に強化され、クリアするだけなら初心者でも比較的楽ちんになっているが、上級者向けのスペシャルコースが表ステージと同じだけ用意されている。
プレイしやすくなった分、後半ステージの仕掛けは極悪になり、全ステージ完全クリア後に解除される最終ステージは(ギャラクシー2のアレよりはマシだが)相当難しい。クリアまで100人以上のマリオが地の底に落ちた。
難しいステージも理不尽さを感じるレベルではなく、ほどよい難しさでクリア後の達成感もある、いいバランスだと感じた。

全体的に見て、「敵を倒して、ジャンプして、ゴールする」というシンプルなゲームに仕上がっているが、シンプルさを感じさせない作りになっている。
多機能になればなるほどより複雑な楽しみ方ができる反面、ついていけなくなる人が出てくる。「複雑さの排除」がこのゲームの開発現場で徹底されたのだろう。

例えるなら、卓上に多数の調味料が置かれたラーメン屋と、一つも置いていないラーメン屋の違いだろうか。
客が何も味付けしなくても、最高の味でラーメンを出してくれれば調味料を足す必要はない。

最高のラーメンを、ありがとう。
ごちそうさまでした。


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