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2012年03月19日

ポケモンブラック2/ホワイト2はなぜ3DSではなくDSソフトなのか

少し前の話になるが、ポケットモンスターシリーズ最新作「ポケットモンスターブラック2」と「ポケットモンスターホワイト2」が今年6月にニンテンドーDS用ソフトとしてリリースされることが発表された。

すでにニンテンドー3DSが普及しつつあるのに一つ前の世代であるニンテンドーDSとしてのリリース。これはどういう理由だろうか?また、新シリーズではなく、初のナンバリングタイトルになったのはなぜだろうか?

今までのポケモン発売タイミング

まず、今までのポケモンシリーズ発売日と、携帯ゲーム機本体の発売日を整理してみよう。[本]が本編、[リ]がリメイク、[別]が後発の別バージョン

1989年04月21日 ゲームボーイ
1996年02月27日 [本]ポケットモンスター赤・緑(GB)
1996年10月15日 [別]ポケットモンスター青(GB)
1998年09月12日 [別]ポケットモンスターピカチュウ(GB)
1998年10月21日 ゲームボーイカラー
1999年11月21日 [本]ポケットモンスター 金・銀(GB/GBC対応)
2000年12月14日 [別]ポケットモンスター クリスタルバージョン(GBC専用)
2001年03月21日 ゲームボーイアドバンス
2002年11月21日 [本]ポケットモンスター ルビー・サファイア(GBA)
2004年01月29日 [リ]ポケットモンスターファイアレッド・リーフグリーン(GBA)
2004年09月16日 [別]ポケットモンスター エメラルド(GBA)
2004年12月02日 ニンテンドーDS
2006年09月28日 [本]ポケットモンスター ダイヤモンド・パール(DS)
2008年09月13日 [別]ポケットモンスター プラチナ(DS)
2009年09月12日 [リ]ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー(DS)
2010年09月18日 [本]ポケットモンスター ブラック・ホワイト(DS)
2011年02月26日 ニンテンドー3DS
2012年06月予定 ポケットモンスター ブラック2・ホワイト2(DS)

新ハードが発売されたあとで旧ハード用ソフトがリリースされたのは今回が初めてだが、ポケットモンスター金・銀はカラー専用ソフトではなく、ゲームボーイでも動作する「カラー対応」ソフトだった。
金銀を除外すると、新ハード発売から最速でリリースされたのはポケットモンスタールビー・サファイアで、本体発売から1年8ヶ月。

全体の傾向を見ると、本編のリリースは3~4年おきで、間の年に別バージョンやリメイクがリリースされている。
今回のブラック2ホワイト2は、まさに別バージョンが投入されるタイミングでのリリースとなっている。なぜ別バージョンではなく、続編となったのか?

DSでリリースするメリット・デメリット

まず、任天堂側のメリットだが、ニンテンドー3DSではなくニンテンドーDSでリリースした理由はハードの普及率だろう。すでに国内に3000万台以上普及しているニンテンドーDSシリーズと500万台を超えたニンテンドー3DSでは6倍の開きがある。

逆にデメリットとしては「ポケモンの人気を使ってニンテンドー3DSの普及に勢いをつける」という美味しい効果が期待できないことがあげられる。
しかし、ニンテンドー3DSでもニンテンドーDSソフトはプレイ可能だし、価格も3DSはDSiと同じだ。もしブラック2・ホワイト2目的で本体を買うなら、3DSを選ぶだろう。

また、顧客側の立場でも、新しいハードを買わなくても続編を楽しめるのは嬉しい反面、3DSの機能を使えないのがデメリットだ。
まあ、今までの発売ペースを考えると、この2012年6月というタイミングでの発売は難しいだろうし、完成度の低い作品となるかもしれない。
3DS専用の完全新作(もしくはルビー・サファイアリメイク)はあと1~2年待つことになるだろう。

続編にするメリット・デメリット

別バージョンではなく続編とする任天堂側のメリットとして一番大きいのは、ブラック・ホワイトを購入したファンが購入する確率が高くなることだ。別バージョンであれば見送る人も多いが、続編なら前作に近い売上も見込める。

デメリットとしては別バージョンと比べて開発コストが高く付きそうなところだろうか。しかし、前作がすでに続編の存在を示唆するストーリーになっていたので、もともと前後編のつもりで開発していた可能性が高い。

顧客側の立場だと「最初から1作で終わらせろよ」と言いたくもなるが、コンスタントに続編が出るのはありがたい。別バージョンだとちょっとだけ違うストーリーをなぞることになるので、それと比べるとだいぶマシだろう。

DSから3DSへの橋渡し

この時期に続編がニンテンドーDS用ソフトとしてリリースされたのは他の理由もあるような気がする。

(たぶん)ニンテンドーDSソフトとニンテンドー3DSのソフトは直接通信できないので、ブラック・ホワイトと今後出るであろう新作とポケモンのやり取りができない。
ラブプラス→NEWラブプラスのセーブデータ引継ぎで3DSウェア「ラブプラスTOOLS」を使うという力技もあったが、それに近い仕組みをブラック2・ホワイト2に仕込んでいるのではないかと考えている。
もちろん、ブラック・ホワイトでも同じ仕組みは使えるわけだが、一方通行的なセーブデータのやり取りではなく、より3DSの機能を意識した機能を盛り込む事もできるのではないだろうか?例えば専用のすれ違い通信用ソフトを用意することも可能ではないだろうか?

あと、完全に余談だが「パッケージを一目見てブラックかホワイトかよくわからない問題」が解決されているのが素晴らしいと思いました。
ポケットモンスター ブラックポケットモンスター ホワイト

pk_black2.jpgpk_white2.jpg

関連記事:ポケモンの10年間を振り返る

2012年03月10日

父親にメールを送りながら亡くなった気仙沼の女の子はいなかった

フェイスブックやTwitterで感動話として出回っているイラストについて、ひとこと言ってやろうかと思ったが、すでに他のblogで散々言われていた。
今回はスルーでもいいかなと思っていたが、気になることがあったので自分なりにまとめ直すことにした。

そもそも何が起きたのか?

そもそもの発端はこれ。瀧本 光静さんのフォトアルバム | Facebook
フェイスブックのアカウントがなくても読めるはず。
本人のblogにも同じ画像が掲載されている。最後のメール :: 一番短いお説法

念のためこちらでも引用
432107_250158731739869_100002372316576_529723_254940170_n.jpg
shinsai_dema.PNG

このメールについて、懐疑的な意見が複数出ている。

震災姉妹 最後のメールはデマ!? - Hagex-day.info
Gerologue: ???被災者姉妹の最後のメール
「気仙沼で発見された携帯に残された最後のメール」の真偽についてのまとめ - NAVER まとめ

メールの内容を鵜呑みのするのも、批判意見を鵜呑みにするのも同じぐらい危険な行為なので、私の方でも再検証してみることにした。

続きを読む "父親にメールを送りながら亡くなった気仙沼の女の子はいなかった"

2012年03月04日

宮崎市内にある奇妙な斜めの道

先日、法事で宮崎にある祖父の家に親戚が集まった時に「宮崎市内に不思議な道がある」という話題で盛り上がった。

宮崎に住む従兄弟が以前から気になっていた道路で、他の道路を突っ切るように斜めに伸びているのだ。地図で見ると、多少歪んではいるものの、主要道路は東西南北に伸びているのに、その道路だけ不自然に斜めになっているようにみえる。


大きな地図で見る

昔からその地に住む人に以前から聞いていて「鉄道が走っていた」「鉄道はなかった」と相反する情報だけが集まっていたという。確かに宮崎駅から河口に向かう線路に見える。しかし、こんな所に、短い区間で列車を走らせていたのだろうか?

私が宮崎入りする前日に、従兄弟が「昔鉄道が走っていた」という有力な情報を90代の親戚のおじいさんから得ていてようやく謎が解けたと喜んでいたが、その後にそのおじいさんは「線路はあったが鉄道ではなくトロッコ用だったかもしれない」と意見を翻してしまった。

ネットで調べて廃線になった宮崎県営鉄道の存在をWikipediaで得られたが、その路線は「宮崎 - 福島町(現在の佐土原) - 妻」で、方向が違う。

謎が解けないままみんなで悩んでいると、叔父が一冊の本を持ってきた。「消えた赤江川」という本で、地元の病院の先生が宮崎市の歴史をまとめた自費出版本のようだった。

その中に、まさにその道路についての記述があった。
具体的な記述は失念したが、「日豊本線の敷設に伴う土砂の運搬用に、大正初期に出来島町付近と宮崎駅をつなぐ出来島貨物線が作られ、日豊本線開通後に廃線、大正末期に道路になった」ということが書かれていた。

再度Wikipediaを確認すると「宮崎 - 川口(貨物支線)」という記述もあった。これが出来島貨物線なのだろう。
日豊本線のほうには更に具体的な記述があり、「1914年(大正3年) 11月20日 宮崎 - 川口間の貨物線開業」「1917年(大正6年)9月21日 宮崎県営鉄道妻線の買収により、(略)宮崎 - 川口間の貨物線を廃止」とある。

miyazaki_station.jpg

開通から廃線までわずか3年足らずの短い期間の鉄道だったようだ。
「消えた赤江川」の記述によると大正末期までは線路自体は残っていたようなので、そこにトロッコを走らせていたのかもしれない。

100年近く前の鉄道の痕跡が今も地図の中に生き続けていたのだなあと思うと感慨深い。

※文中の写真は祖父宅にあった昭和45年発行の山川出版社「県史シリーズ45 宮崎県の歴史」から抜粋した。こちらの本にも日豊本線の建設についての記述はあったが、貨物線には触れていなかった。

2012年03月03日

シアトリズムは音ゲーが抱える問題に一つの回答を示した

ファイナルファンタジーのキャラクタを使ったニンテンドー3DS用リズムアクションゲーム「シアトリズムファイナルファンタジー」はキャラゲーであり、音ゲーである。キャラゲーと音ゲーの組み合わせは他にも存在するが、シアトリズムは単なるFFキャラを使った音ゲーではない。音ゲーが抱える数々の問題に対する回答となるシステムを搭載している。

国内における音ゲーはビートマニアを始めとするコナミのビーマニシリーズが有名だが、シリーズを重ねるに従い、より難しく、初心者に優しくないゲームになっている。

もちろん、コナミもこういった事態に甘んじているわけではなく、初心者救済になるようなシステムは頻繁に追加しているのだが、ひとことで言うと「一見さんお断り」のような感じがあり、なかなかうまくいっていない。

多くの人にとって、音ゲーをプレイして一番楽しいのは、難しい曲をクリアできた瞬間だ。しかし、難しい曲は上手い人にしかクリアできない。
繰り返しプレイすることで、次第に難しい曲をクリアできるようになるわけだが、そのモチベーションを維持できるようにしているかどうかが、音ゲーの出来を左右しているといえるのではないだろうか。

その、高難度曲対策とモチベーション維持において、シアトリズムは非常に良くできている。

シアトリズムでは、大勢のFFキャラの中から自由に4人パーティを組んでプレイするわけだが、曲をクリアするごとに経験値が得られ、キャラクタが成長していく。キャラの成長によって、ミスをしてもライフが減りづらくなったり、ライフを回復するアビリティを得られたりする。同じ難度の同じ曲をプレイする場合でも、レベル1のキャラと、レベル99のキャラでは難易度がまるで違う。難しい曲に挑戦するときは、回復アビリティを持っていて、HPの高い高レベルキャラでパーティを組めば初心者でもクリアしやすいのである。

上級者はアビリティをすべて外した「すっぴん」でプレイして、フルコンボや高スコアを狙っていけばいい。初心者と上級者の両方に配慮しつつ、ファイナルファンタジーのPRG的雰囲気も見事に再現している。

また、収集要素が音ゲーとは思えないレベルで充実していることで、モチベーションの維持を図っている。今作の全登場キャラの解説がついたカード(コレカ)の収集や、実績システム、前述のレベル上げなど、繰り返しプレイを促す要素が非常に多い。
繰り返しプレイすることで、キャラが成長し、プレイヤも成長する。いつの間にかクリアするのも難しかった曲がほぼノーミスでプレイできるようになっていく。

しかも収録楽曲は非常に多く、13作品から人気曲を選んだ超名曲ぞろい。シリーズファンなら何時間游んでも飽きないだろう。

さらに、譜面や取得アイテム、登場敵がランダム生成される「闇の楽譜」というシステムもあり、すれちがい通信による交換(配布)も可能となっている。

このように恐ろしく充実度の高い音ゲーなのだが、本体内楽曲だけでは足りない人には有料配信までしている。自分は今のところ内蔵曲だけで満足しているので配布曲は1つしか購入していないが、今後の配信次第では次々と買っていくかもしれない。

体験版がネット配信されているので、3DS本体を持っている人はダウンロードして游んでみて欲しい。持っていない人は小売店の3DS体験コーナーでも遊べる。

なお、今作のタイトルは「ファイナルファンタジーシアトリズム」ではなく「シアトリズムファイナルファンタジー」である。FFシリーズの作品ではなく、シアトリズムシリーズの第一弾という位置づけではないだろうか?
「シアトリズムドラゴンクエスト」…出ませんかね?


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