レビュー:大合奏!バンドブラザーズ(一人プレイ編)
タイトル:大合奏!バンドブラザーズ
発売:任天堂
開発:任天堂
発売日:2004年12月2日
価格:4,800円(税込み)
対応:1カード8P合奏/複数カード無限人数合奏
大乱闘!スマッシュブラザーズを模したタイトルであるが、まったく関連はない。任天堂キャラも出ない、純然たる音ゲーだ。直感ヒトフデといい、どうもDSは本体が奇抜なのにソフトは直球勝負なタイトルが多い気がする。
このソフトを語る上で避けて通れないのがゲームボーイアドバンスで開発が行われていた音楽ソフト「ゲームボーイミュージック」の存在だ。ゲームボーイミュージックが発表されたのはゲームボーイアドバンス発売直後の2001年3月29日で、その直後の東京ゲームショウで出展までされている。毎月初に任天堂がWeb上で公開しているNINTENDO ONLINE MAGAZINEの2001年6月号には9月発売予定とあるので、この段階でほぼ完成していたものと思われる。そしてタイトルこそ変更になっているが、このゲームボーイミュージックがDSにハードが変更されたのがバンドブラザーズである。
余談だが、任天堂がサイト上でニュースリリースをだすのは多くてもせいぜい1ヶ月に1回で、ほとんどがハードの発表や業務提携、決済に関する内容である。この7年で、他社との共同事業以外での単体ソフト開発の発表をニュースリリースで行ったのは、このソフト1本だけである。初お披露目のゲームショウまでの期日が迫っており、わざわざ特設ページを開設せずに簡単にニュースリリースを使って発表をすませただけという考えもあるが、それなりに力を入れていたのは間違いないだろう。
この4年近くの歳月にどのような起きていたのかは想像するしかないのだが、わりと早い段階でDSへのハード変更に踏み切られたのではないだろうか。おそらくは最初に延期が発表された時点でGBAでの発売はなくなったと考えた方が自然だ。この手のタイトルで一度延期をすると曲の選定、使用許諾、曲にあった譜面の作成などで非常に手間がかかってしまう。GBA版の画面を見ると十字キー+AB+スタートでド~シの7音を使う非常に厳しいインタフェイスになっているし、複数人でのプレイの際に互いの音を聞くためのスピーカまで同梱したりと制約が非常に厳しい。このあたりのことを考えると、任天堂社内でNINTENDO DSの規格が固まり始めるのと同時に、ハードの変更を行い、同時発売タイトルとしての開発がスタートしたのではないだろうか。
ちょっと前置きが長くなってしまったが、自分にとってバンドブラザーズに対するGBミュージックはメイドインワリオにおけるサウンドボンバーのようなもので、まあ枕詞のようなものだと考えて欲しい。それはともかくとして、このソフトは非常に良くできている。DSへのハード変更は大成功だったようだ。DSの特徴であるタッチスクリーンや2画面は前面に押し出してはいないが、無線とマイクをほかの同時発売ソフトよりもうまく活用している。まだ対戦プレイを行ったことがないので無線に関しての詳細は割愛するが、マイクで作曲できる仕掛けは面白い。ただ、マイクの精度は低めであくまでオマケ的な要素ではある。
DSにハードを変更してよかったのはこれだけではない。単純にボタンが増えただけでも押しづらいスタートボタンを使わなくて済むというメリットが十分にあるし、あまり活用していないとはいえ、2画面とタッチパネルのスパイスもそれなりに利かせてある。演奏中はともかく、この二つの要素を使ったメニューインタフェイスは非常に秀逸だ。特に練習モードで失敗した部分のやり直し、テンポ調整などがシームレスに容易に行えるのは2画面とタッチパネルならではといえるだろう。ほかのハードだといったんメニューを呼び出さないとこのような操作は行えない。作曲を行うときも携帯ゲーム機とは思えないほどインタフェイスが練り込まれてある。
ハードの変更ばかりに目を向けずにソフトの中身だけを見ても、非常に良くできている。さすがにほかのソフトよりも開発期間が長かったと思われるだけあってよく練り込んである。同時発売ソフトとは思えないほどの成熟度を感じられる。また、楽曲の選定も秀逸だ。楽曲数もそれなりにあるし、1曲ごとに最大8パート、さらにそれぞれに難易度別に3種類の譜面があるのでなかなかやりごたえもある。
難易度の設定も絶妙だ。かなり低い難易度からスタートして、徐々に難易度の高い譜面に挑戦できるようになっている。難しい譜面は本当に大変だ。十字キーにABXY、それにLRを使って同時に3押しまでやらされる。10ボタンというとポップンミュージックよりも多い。現在プロ4に挑戦している最中なのだが、まったく思い通りに指が動かなくて思わず笑ってしまう。これはちょっと難しすぎる。
ちょっと面白い試みもある。ほかのソフトと同じく、プレイ中にDSを閉じると自動でスリープモードに入り、開くとスリープを解除するのだが、曲の選択画面でスリープにはいると、ヘッドホン端子からのサウンド出力だけがそのまま継続するという仕掛けがしてある。要するにスリープに入っても曲が鳴りっぱなしなのだ。このとき、1曲演奏し終わると次の曲に自動で移る。また、テンポが0.1刻みで0.5(1/2倍速)~2.0(2倍速)まで設定できる。気合いを入れて自分で楽譜を入力して曲を作れば一番下に追加されるので、それを聞くことだって出来る。MIDIのようなチープな音質だし、曲順を決めたりも出来ないのでこれをウォークマン代わりにすることは出来ないが、こういう遊び心のある仕掛けは大歓迎だ。
遊び心と言えば、収録楽曲の一つである「タッチ」のアマチュア譜面が非常に愉快だ。サビの部分で思わず吹き出してしまうような仕掛けがある。ある程度予想は出来ると思うが、これは実際にプレイして確認して欲しい。
全体的に見てみると、一部の場面でAボタンで画面送りになっているのにほとんどの場面ではタッチスクリーンを使用するなど、まだ改善の余地はありそうだが、それ以外に特に大きな欠点は見あたらない。
そんな感じで一人プレイもなかなか楽しめるわけだが、このゲームの本当のおもしろさは多人数でのセッションプレイにあるらしい。1カードでプレイ可能なので、このソフト1本とDSが複数台あれば挑戦できるのだが、まだその機会がない。いずれセッションに挑戦してから感想を書きたいと思う。
2004年12月20日:せっかくアクセス数が増えているので聞いてみたいことがあります
2004年12月18日:PSPに関する記事に非常に気になるコメントがありました
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コメント
私もバンブラ買いました…かなりおもしろいですね
こないだ知り合いが買ったのでセッションしてみましたけどかなりはまるのであれっくすさんもやってみてわいかがですか?
投稿者 : 黒蘭 | 2004年12月18日 18:30
これはすごく楽しそうです。
リズムゲームと違い、演奏する楽しさを覚えそうですね。
しかし1本のソフトで複数人で楽しめるのは、
ユーザーにとってありがたいですが、開発会社にとっては厳しそうな・・・
投稿者 : クマ | 2004年12月18日 21:18
私も買いました。
「音ゲー」を本格的にするのは今回が初めてですけど、
気がついたらハマってました。
口コミでじわじわと広がっていってほしいソフトです。
投稿者 : にんてん道 | 2004年12月19日 11:12
> 黒蘭さん
周りにDSユーザが居ないのです。機会があればやりたいのですが。
> クマさん
まともに演奏したかったら自分でソフトを買って練習しないと。
セッションが1カードで出来るのは良い宣伝になるのではないでしょうか。
さすがに8人セッションで8本もソフトがいるのは大変ですから。
> にんてん道さん
お久しぶりです。
せっかくなので福岡で人を集めてセッションしますか?
投稿者 : あれっくす | 2004年12月19日 11:28
自分も買いましたが
現在プロの3です。
これ以上はちょっと無理っぽいですけど・・・
投稿者 : 火炎 | 2004年12月19日 11:47
はじめまして。
ひょんなことからこのサイトにたどり着きました。
自分も任天堂っ子なので楽しく記事を読ませていただいております。
バンブラ買いまして楽しんでおります。
一応プロ5をクリアしてゴッドになったのですが
そのあとにあるゴールドチケットのクリア条件がありえませんw
セッションプレイをしてみたいですが
自分もDS仲間が近くにいないので
残念ながら出来ないんですよね…
開発スタッフのセッションプレイ動画を見てると
楽しそうですよね。
でわでわ。
投稿者 : okiraku | 2004年12月20日 15:02
> クマさん
バンブラにはボタンを2つしか使わないビギナーモード、
少し難しくなったアマモード、曲によってはかなり難しい
プロモードの3つのモードがあり、通信時ソフトのない
端末からはビギナーモードしかできません。
通信でやって「おもしろい!」と感じた人はビギナーモード
では到底満足できずに買ってしまうと思われるのであまり
販売本数には影響がない、むしろ売り上げアップに繋がる
気がします。
投稿者 : take4 | 2004年12月22日 00:24
>福岡でセッション
返事が遅れてすみません。
そうですね。やりましょうか。
年明けの土日の一日なら何とか都合がつきそうです。
投稿者 : [投稿者名未記入] | 2004年12月26日 18:09
あ、上の投稿、私です・・orz
投稿者 : にんてん道 | 2004年12月26日 18:10
はじめまして。
この作品は最初はあまり注目されていなかったものの、ファンの普及活動によってじわじわと人気が上がっているようです。(発売前から面白そうだとは思っていましたが、ここまで人気が出るとは思いませんでした…。)
今年のコミケ(日本最大の同人イベント)では、楽譜(スコア)を配布する機能を利用して自分が作った曲を配布したり、合奏したりするサークルもけっこうあるようです。(なかなか面白いことを考えますね)
投稿者 : リボン | 2004年12月29日 19:34
レビューを参考に購入しました。
今までビーマニとかやりましたが、バンブラほど演奏している感覚になるソフトはないかと!
これは是非、GBAのスロットとかで追加ソフトを出して欲しいですよね!
投稿者 : りこ | 2005年01月05日 03:08