ブルームバーグにて任天堂の3月期決算、人事、今後の戦略についての会見内容がリアルプレイヤ用の音声ファイルで掲載された。
ファイルは1時間分で、記者側からの質問が一部聞き取りづらい部分がある。岩田新社長がやや緊張気味で初々しい。後半が岩田氏と記者との質疑応答。そこからいくつか抜粋
PS2勝利宣言について
→家電であれば先に売った方が勝つ。他社がどれだけハードを売っても、任天堂はそのゲーム機を買わなければ遊べない、価値のあるゲームソフトを作って客に欲しいと思ってもらえるのかがすべて。勝利宣言は先に出した会社が自分たちに有利になるように言った言葉だと理解している。
社長に選ばれた理由
→ハードもソフトも経験し、会社の再建を手がけて苦労を知っていること、若くて元気で世界中を飛んでも疲れなさそうと言う点を評価されたのだと思う。実際、この3年間は毎月アメリカに行っている。
プログラマだと聞いているが?
→プログラマとして評価されることが多いが、商品を最後まで作り上げる上で責任を持って現場を率いることができたのが自分の長所だと思う。
集団指導体制だと意志決定が遅くなるのではないか?
→任天堂に入ってから間がないが、宮本や竹田とは長く仕事をいっしょにやってきている。経営陣は山内と考え方を同じくする別々の分野の人間の集まりである。今までも6人で連絡を取り合って意志決定をしてきたし自信はある。
3年間何してきたか
→6年かけてハル研の再建が終わって山内に報告に行って、その後1年間ハードの開発で任天堂の手伝いをした。2年前に役員として迎え入れられて、各部署をとりまとめていった。例えばかつてはE3ではNOAが取り仕切っていたが去年と今年は本社とNOAで相互に連携をして動くようにした。
通信について
→1988年にファミコンを証券取引に使ったが、いくつかの失敗もした。可能性の一分野でしかなく、全部がネットワークを使ったものになるわけではない。研究はしている。
趣味は?
→音楽を聴くこと、世の中の仕組みを知ること、雑学。座右の銘は山内がよく言っていた「独創」
尊敬する人は
→経営者としての山内、クリエイターとしての宮本。
好きなゲームは
→自分たちの作った子(ソフト)は大好きなのでカービィやスマブラ。
ライバルについて
→自分たちはソニーやマイクロソフトではなく、自分たちと戦っている。前作よりも大きく売れないと言うことは絶対的なブランドが死ぬことで、それが任天堂にとっての一番のプレッシャー。
次のハードについて
→黎明期はグラフィックなどの進歩がハードの発展だった。今の100倍のパワーの機械ができても一般のお客さんには違いが分からない。作るのは100倍大変でもその成果が得られない。新しいハードは恒に研究している。ハードを作らないと言うと竹田が失業してしまうので(笑)
ゲーム業界について
→必要不可欠というわけではない、いつ別の娯楽産業に取って代わられるかもしれない。日本では客が多くのソフトを遊んでいるのですでにお腹がいっぱいの王様に料理を作っているような感じ。
経営について
→現状を分析して自分たちの強みと弱みを調べて優先度を付けること。優先度は時代と共に変化するので山内が過去に言ったことをおまじないのように繰り返さない。
自分自身について
→子どもの頃はぜんそく持ちで病弱だった。外で遊ぶよりは家で遊ぶタイプで百科事典を読むのが好きだった。自分でゲームもどきも作っていた。高校生になったときにプログラムができるようになって気づいたらこの業界に入った。父親は堅い仕事に就いて欲しくて、(ハル研に)入ったときは社員5人で危ない宗教に取られた印象を持っていたようだ。
今のところは山内さんの今までの発言をトレースしているような印象を受ける。というか、2年前の組織替えですでに今の体制に近づいていたようだし変わらないというよりはすでに変わっているということか。
任天堂の記者会見:2002年3月期決算、社長・会長人事など(Bloomberg)