定期的に忘れ去られて、定期的に話題になるペニーオークションが再び話題になっている。
ついに逮捕者が出たのだ。
一時期熱心に取り上げたせいで、ペニーオークションウォッチャーとみなされ、このサイトも任天堂ファンサイトではなくペニーオークション情報サイト扱いされることもあったがここ1年ぐらいは旬な話題がなく、全く触れていなかったが良いタイミングなので今までの流れを振り返ってみよう。
まず、ペニーオークションが気になったのは2010年の春頃で、うさんくさいデザインのうさんくさいサービスが出てきたのをGoogle広告などで見かけ、その数がどんどん増えていくにつれ、どういう仕組で収益を得ているんだろうと疑問に思ったのが発端。
いくつかのペニーオークションサイトを確認し、サービス内容をひと通り把握した上で、まともにこのビジネスを動かすなら膨大なユーザをサービスインのタイミングで獲得し、さらに新規ユーザをどんどん流入させないと採算が取れないと試算し、ああ、これは表に出ていない"仕組み"があるなと直感した。
それで推測を交えてまとめたのがこちらの記事
怪しげなオークションサイトに気をつけろ(前編):ペニーオークションの問題点
怪しげなオークションサイトに気をつけろ(後編):ペニーオークションサイトも騙されている
ペニーオークションは入札時に比較的高額な手数料を毎回徴収するシステムで、見かけ上低価格で落札されても入札した全参加者から多くの手数料を運営者が得られるようになっている。しかし、参加者が少ないと応札が入らないため運営者は大赤字である。
このようなシステムで継続的に収益を得るためには多くの参加者を常時確保する必要があり、ペニーオークションサイトは少なければ少ないほどいい。後発サイトが収益を得るのはほぼ不可能だ。
それなのに、同一の法人が複数のペニーオークションサイトを運営していた。
この時点でほぼクロなのは確定的だったが、警察は動かず、消費者庁もこの時点ではノータッチであるように見えた。あんなに広告がそこら中に出ていたのに。
その後、ペニーオークションの問題点が周知され始めると別のアプローチが出てきた。
ペニーオークション情報は嘘だらけ。全部詐欺サイトと思ったほうが安全
ペニーオークションの問題点を周知させるサイトと見せかけて、このサイトだけは良心的で安全だと誘導するサイトが登場した。
アホか。
運営者情報を確認すると、ペニーオークションサイトと同じ会社だった。
アホか。
次々と閉鎖するペニーオークションサイト
2011年になってようやく消費者庁が動き出す。
それに伴い、採算が取れなくなっていたペニーオークション業者が逃げ出した。
ここで全滅するかなーと思ったけど、そうでもなかった。
このときに、閉鎖したサイトを探している過程で面白いものを見つけた。
ペニーオークションでサクラやbotが使用されている証拠
本来見られてはいけないページにアクセス可能な状態になっていて、サクラが存在することが明らかになっていたのだ。
しかし、ここはかなり規模の小さなサイトで、数百名分のサクラアカウントと、20名以下の一般ユーザしかいないレベルだった。
このサイトの運営者はblogを見る限りIT関係に明るくない感じだったので、自前で開発したのではなくおそらく三流システム開発会社が他のペニーオークションを参考に作った出来の悪いシステムを100%儲かると言われて高額で購入したのだろう。
加害者でありながら、ある意味、被害者でもあると言える。
このときは掲載しなかったのだが、当時、他にも情報漏えいしているサイトがあり、そちらはプログラムそのものが流出していた。
こちらも第三者が開発したものだったようだが「テスト」という名のbot機能があり、運営者は自動的に入札をやりたい放題になっていた。
開発者は「テスト用ですから本番では使わないでね」といっておけば警察に詐欺幇助の疑いで捜査されても「運営者がテスト用のものを勝手に使った」と言い訳するのだろう。えげつない。
ほかにもサクラをおもらししているサイトがないか探していたが、さらに面白いものが見つかった。
なぜか芸能人がバンバン落札して、利用を勧めていたのだ。
なぜ芸能人はペニーオークションで落札できるのか?
この記事でも書いたが、芸能人がオフィシャルブログで詐欺サイトへの誘導をすることがどういうことかというと、「詐欺師の巣に自分のファンを誘導する」という最低最悪の行為である。
芸能人たちが宣伝しているのが、まさに今回逮捕された連中が運営していた複数のサイトなのだが、この中のひとりも警察から話を聞かれて、オークションには参加しておらず依頼されてblogを書いたと供述しているそうだ。
報酬は1記事30万円だそうな。はぁ。
逮捕された会社が出している広告サイトがまだネット上に残っているが、完全に広告塔だ。
「詐欺とは思わなかった」という言い訳をするだろうが、30万ももらってよくわからないものに対して自分がやってもいないことをあたかもやったかのように紹介する行為がどういうことか、まともな大人なら分かるだろう。ファンに対する重大な裏切り行為だ。
少なくともblog上で謝罪ぐらいしておくべきだ。
女性タレント(35)は、"知人"から紹介されたと警察に話しているようで、実際は事務所を通していただろうという憶測がネット上で流れている。
さすがにすでに消費者庁が動いているレベルの詐欺サイトをタレントに紹介するようなアホな事務所はないだろうから、タレントに直接コンタクトを取ったほうが可能性が高いだろう。
これだけの人数のタレントと詐欺師が直接コンタクトとれたとは思えないので、間に"知人"という名の誰かがいたのだろうが、そのあたりが一番怖い…。芸能界の闇だ。
ちなみに、宣伝している多くの芸能人がアメブロだったので、アメブロを運営するサイバーエージェントが宣伝をあっせんしているのではという疑いも多くみられたが、個人的にはその意見には懐疑的だ。
もともとアメブロは芸能人ブログが多く、芸能人ブログを一覧で表示する機能もある。詐欺師がターゲットを探すのに適した環境だったため、広告塔に多く使われたのだろう。
さらに、当時はサイバーエージェント子会社のCAモバイルもペニーオークションサイト"カイドキ"を運営していたため、芸能人が競合サイトの宣伝をされると売り上げが落ちるからわざわざ宣伝させることは考えにくい。なお、自分が確認した範囲ではカイドキを宣伝している芸能人は見つからなかった。
結局この騒動で割と大騒ぎになり2011年半ばにはで主要なペニーオークションサイトは撤退し、大手企業やその子会社が運営していたサイトもほぼ全滅した。
ペニーオークションがほぼ終焉に向かっていると思われた、その年末。
はちま起稿がクズだと言えるたった一つの理由
まだペニーオークションの固定枠広告を出しているクズがいた。
アホか。
2012年は放置状態のペニーオークションサイトや、多少広告を出すレベルのサイトが数件がほそぼそと運営している状態が続いていたが、年末になってようやく逮捕報道。
しかし、これも別件での逮捕後に余罪として出てきただけで、結局警察はまともに捜査してなかったんじゃないのという気がしないでもない。被害届一枚も出てなかったの?そんなわけないよね。
この手の詐欺や詐欺まがいサービスに警察は頼りないなあという感じ。結局怪しいサービスには手を出さない、余裕があれば自分のように他の人にも注意喚起をするというぐらいしか対策はないのかなという結論になるのが悲しいところだ。
なんだかなあ。