今更だが1年以上前に発売されて、廉価版も出ているWii用アクションゲーム「朧村正」のレビューをする。
発売元はマーベラスエンターテイメント、廉価版の「みんなのおすすめセレクション 朧村正」が定価2800円で販売されている。ジャンルはアクションだが、メーカーは「絢爛絵巻和風アクションRPG」と称している。
どういうゲームなのかは文章で読むよりも公式サイトの動画を見たほうが早いかもしれない。
基本的にはシンプルな2D横スクロールアクションで、基本は刀を使って敵を倒すだけのシンプルなもの。攻撃が防御を兼ねているため、Aボタン連打でなんとかなることが多いが、敵の攻撃を受けすぎるて耐久度が0になると刀が折れる。
刀は同時に3本装備しており、折れたら別の刀に持ちかえることになる。耐久度が0になった刀も、耐久度が回復すれば再び使えるようになる。それぞれの刀は攻撃力や奥義が異なるので、刀の持ち替えがタイミングが戦闘のキモとなっている。
戦闘は、移動中にランダムエンカウント(一部固定)で敵集団が出現する。画面はそのままでスクロールが固定される。敵を全滅させると結果が表示されて移動画面に戻る。近畿から関東にかけての多くの地域が登場し、それぞれ特色のあるグラフィックになっている。
RPG的な要素としては、レベル上げや、アイテム、刀の収集がある。刀鍛冶に依頼したり、ボス敵を倒すことで新たな刀を手に入れられる。刀によって、自動的に体力が回復したり、経験値が多く得られたり、特殊効果が付いてくる。
比較的簡単な無双モードと、難度の高い修羅モードがあり、PRG要素による成長度合いや、刀の耐久度などに違いがある。この難度はプレイ中でも自由に切り替え可能となっている。難度はプレイヤによって捉え方が様々あるだろうが、修羅モードはとにかく難しく、無双モードはややぬるい感じがする。ゲームオーバー時のペナルティはほとんどないため、余裕があれば修羅モードで死にまくりながらプレイするのもいいだろう。
女性キャラの百姫と男性キャラの鬼助の2つのストーリーがあり、それぞれ別の内容となっているが、物語は関連性がある。2つのキャラのプレイ感覚にあまり差はないので、どちらか好きな方をプレイして、クリア後もやるきがあればもう一方もプレイするといい。なお、会話は脇役も含め、フルボイスとなっている。
この百姫がとても可愛らしく、特に太ももが素晴らしく、入浴シーンもあり大満足なのだが、その点は置いといてキャラクタの動きや背景の描き込みがすごい。
ゲーム上の不満は多い。全体マップ上で一気に移動する手段がなく、遠くのエリアに移動しようと思ったらものすごく時間がかかる。敵を出現させにくくするアイテムを装備してもエンカウント率が高いし、アイテムを使わないと逃げられないため、移動時の戦闘が煩わしい。導入部分の説明が乏しく、ストーリーが感情移入しづらい点などが気になった。
しかし、そういった不満点を払拭するだけの魅力がある。
まだ3DCGがゲームに使われる前、ファミコン、スーパーファミコンの時代にゲーマーたちは、現在の3D主流のゲームを想像することができなかった。彼らが描いていた未来は、当時のゲームの延長線上にあるゲームだった。
ファミコンからスーパーファミコンに進化したとき、画面解像度が向上し、使える色数が増え、音源が増え、画面に登場するキャラクタが増え、多重スクロール、回転、拡大縮小の演出が入り、大容量で情報の多いゲームが登場するようになった。
当時のゲーム少年にとっての未来のゲームとは、より細かく美麗なグラフィック上で、美しい音楽やボイスとともに、多くのキャラクタが登場するゲームのことだ。
朧村正には一画面に大量に出てくる敵、画面よりデカイ巨大なボス、何重にも重なってスクロールする細かく描かれた背景、細かく動くキャラクタ、美しい音楽とフルボイス、ムダに多い刀が登場する。これこそ、1980年代を過ごしたゲームキッズが夢見た未来のゲームだろう。
20年前に自分にこのゲームを見せたら、口をあんぐりあけて何時間も画面にかぶりつくに違いない。あの時思い描いた未来のゲームがここにある。そう思いながらプレイするとまた違う感想を抱くことだろう。