2010年06月30日

うさんくさいサービスを回避するためのチェックポイント


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先日、ペニーオークションについてまとめてみたが、自分の目から見て明らかに危険なサービスなのに、お金を払ってしまう人が一定の割合で存在しているのはどうしてだろうと考えていた。これは信頼できるサイトかどうかの判断基準が人によって大きく違うのではないだろうか?

というわけで、自分がよくチェックしている箇所をリストアップしてみたので参考にするか、ネットストーカーキモいとつぶやいてください。

ここで上げたチェックポイントをすべて使用するケースはほとんどないと思うが、このあたりを確認しておけばネットで変な悪徳商法には引っかかりにくいよ、というまとめだ。普段から詳しく確認しておくようにしておけば、うさんくさいサービスに対する嗅覚が鍛えられてすぐに危険度を察知できるようになる。実際、ここまで詳しく調べる必要に迫られることはほとんどない。

運営者情報は掲載されているか?

・なし→問題外
・あり→掲載されている内容を吟味

誰がやってるのかわからないサイトに個人情報やカード番号を預けるのは問題外。

GoogleAdwords等で広告出稿を行う場合は、必ず運営者情報をサイト内に掲載する必要がある。運営者情報を隠して、なおかつ広告を出したいと思う運営者は、掲載している情報におかしな点が出てくる。

運営者情報がテキストで書かれているか?

文字列を選択するか、右クリックすることで、運営者情報が文章として書かれているか画像として貼り付けられているか確認できる。

・画像になっている→要注意
・メールアドレスだけ画像→ただのspam避け。問題なし
・テキスト→問題なし

運営者情報が画像として貼り付けられている場合、その名前が検索エンジンにヒットしなくなる。通常、会社経営者はより多くの人に自分の名前や社名が知られることを期待しているはずなので、そこを隠ぺいしようとしているのは何か後ろめたい部分があると考えられる。

電話番号や住所で検索しておかしな情報が出てこないか?

運営者情報で住所、電話番号を確認したら、Google等で検索しよう。ついでに名前で調べても何か出てくるかも。

・携帯電話の番号しかない→個人運営。要注意
・住所が住宅地のマンションの一室→同上
・全く無関係の業者が引っ掛かる→バーチャルオフィスの疑いあり
・同じ業者のほかの商売が見つかる→そちらの商売も併せて検証
・なし→専用に番号を取得?それともほかにビジネスをしていない?

運営者が異なる別のサービスで同じ電話番号、住所が使われている場合、それはバーチャルオフィスの疑いがある。
バーチャルオフィスは電話の受け答えや荷物の受け取りを代行する業者で月々数千円から、だれでも利用可能。住所だけを見て「都心の一等地に構えているから立派な会社だ!」と判断してしまいがちだが、実際は小遣い稼ぎのサイドビジネスという可能性もある。

「運営者の住所+バーチャルオフィス」で検索するとバーチャルオフィスかどうか確認しやすい。住所が複数ある場合はそれぞれ確認するといい。全国にオフィスを構えているとPRしているが、本社以外すべてバーチャルオフィスというケースもある。

バーチャルオフィスではない場合でも、GoogleMapのストリートビューでビルの外観を見ると、会社の規模をある程度類推できる。同じビル内に空き室があれば、不動産情報から家賃や広さが推定できるので、会社概要に書かれている情報と照らし合わせてサイトで虚偽情報を掲載していることを見抜けるケースもある。社員数3ケタと書いてあるのに、古くて狭い雑居ビルの一室だったり。

「キーワード+詐欺」で検索して情報が出るか?

単純にサービス名だけで検索すると絶賛するblog等ばかりが見つかるケースが多い。これはアフィリエイト記事だったり、運営者自体が作成しているblogの可能性もあるので、鵜呑みにしてはいけない。

すでに悪徳商法と認識されている場合、サービス名や会社名の後にスペースを入れて「詐欺」「評判」「問題点」などをつけて検索するとネガティブな体験談を見つけられる。
サービス開始直後だとこういった手法は使えないので要注意。

はてなブックマークは、比較的情報リテラシの高いユーザが多いので、早い段階で問題点を指摘するユーザが見られることがあるが、運営者がはてなブックマークを使って宣伝するケースもあるので、見極めが難しい。早い段階でブックマークしている不自然なユーザがいる場合は、そのユーザがほかのブックマークもしているか、最初のブックマークがいつなのかも確認するといい。

Twitterで検索するのも一つの手だが、ノイズが多すぎるし、検索機能が信頼できないので微妙なところ。

ドメインの種類は?

・co.jpの独自ドメイン→ある程度信頼できる
・その他の独自ドメイン→誰でも取得可能。判断材料にならない
・レンタルサーバのドメイン→ネットにそれほど力を入れていない?予算が少ない?

ある程度詳しい人は知っていると思うが、co.jpドメインは一つの会社あたり一つしか取得することができない。co.jpで運営しているということは、少なくとも会社として存在していることの証明にはなる。ただし、会社ぐるみで悪事を働いたり、悪意はなくとも会社が傾いていて支払い直後に倒産したり、会社といっても個人経営だったりする場合もあるわけで、co.jpだからと言って100%信頼していいというわけではない。

ドメインの所有者はどうなっているか?

・運営者と違う個人情報→要注意
・運営者と同じ個人情報→とりあえずOK

whoisサービスにドメイン名を問い合わせると、そのドメインの所有者の情報や取得日が(英語で)表示される。
これが、運営者情報にあるものと比較して別物の場合は要注意。どちらかが虚偽の情報である可能性がある。ただし、ドメイン所有者情報がドメイン取得業者のものになっているケースもあるし、担当者が複数いる場合もあるので、即問題になるわけではない。

ただ、念のためドメイン取得業者とも運営者とも違うドメイン所有者情報が出てきたのなら、その名前で検索して探ったほうがいいだろう。先日掲載したペニーオークションのシステムではドメイン所有者情報に、システムをパッケージ販売している業者の名前が表示されていた。

会社概要の年表におかしな点はないか?

ちゃんと会社概要を作っている場合は「××年 ××サービスを開始」等の記載がある年表がついているケースがある。その日付と、whois情報にあるドメインの取得日等と見比べるのも一つの手段だ。社名変更が行われている場合は特に注意。

会社名で検索したら上位に被害者の会的なサイトがヒットする状況になると、社名変更して逃げる会社がある。ドメインも差し替えていて、過去の汚名が見えづらくなってしまう。そういった場合は、「旧社名+評判」等で検索すると有用な情報が見つかることがある。

社名を変更したと書いてあるのに旧社名を掲載していない会社もあるが、「新社名+社名変更」等で検索すると社名変更時のニュースリリースがみつかる。

逆にドメインのほうが会社の設立より古い場合は、過去にそのドメインで別のサービスを動かしていた可能性がある。webarchiveで過去のページにさかのぼってみるのも一つの手段だ。ドメインを変更している場合も、旧ドメインの過去のページに何か問題が見つかるケースがある。

課金システムは整備されているか?

課金システムが複数用意できているサイトは比較的信頼できる。あくまで"比較的"だが。
日本であまり流行ってるとは言えないpaypalでしか決済できないサイトは、クレジットカード決済代行業者に断られて仕方なくpaypalを使ってる可能性がある。「利用者の少ない課金システムをわざわざ選んでいるのはそれなりに理由があるはずだ」と考えよう。

また、クレジットカード番号や個人情報を入力する画面でSSLを使っていない(https://ではなくhttp://でアクセスさせる)サイトは問題外。これは、温泉宿の脱衣所と風呂場の間に公道が通っていて、客に全裸で横断歩道を渡らせるようなもの。みんなに全裸を見られても構わないという人だけがカード番号を入力しよう。SSLがある場合でも、ドメイン(httpと異なる場合もある)やサーバ証明書も一通り確認しておこう。

利用規約に問題はないか?

これまで長々とチェックポイントを書いたが、利用規約の確認は優先順位が低い。

そもそも利用規約は長すぎてわかりづらいし、悪徳商法をやってる連中は意図的にわかりづらくしているので悪徳商法かどうかの判別をする際に利用規約を読むのは時間の無駄だ。ほかのチェックポイントを先に見よう。

利用規約は、別の用途に使える。規約の中でほかのサイトでは見られない特徴的な文章や誤字を含んでいる箇所を取出し、Google等でフレーズ検索("で挟んで検索)すれば、同じ利用規約を使いまわしているサイトが見つかる場合がある。サイトが見つかれば判断材料が増えることになる。

そのサービスで誰が得をし、誰が損をするのか?

最後に書いたが、これが一番重要かもしれない。
上記のチェックポイントをすべて確認しても、ゲオオークションのように上場企業がグレーゾーンのサービスに堂々と踏み込んできた場合は回避できない。こういう場合は、金の流れがどうなっているかを考えるといい。金の流れを図式化すれば、多くの人から少しずつ金を集めて、1人の客と胴元に還元するシステム、つまり賭博に近い構造であることに気付けるはずだ。

ネットで広告を出しているサービスは、広告料を払って客を集めているわけだから、そのサービスに乗っかることで運営者は何らかの利益を得ていることになる。無料でプレゼントがもらえる、格安で商品が手に入るといった会員側のメリットだけが強調されているのは要注意だ。そんなうまい話はない。

ありがちなのは「広告でスポンサー収益を得るから会員に還元できる」といううたい文句。たしかにそういった仕組みでちゃんとまわっている商売もあるが、広告で客を集めて、別の広告で利益を得るのはよほど効率よくやらないとうまくいかない。収集した個人情報を名簿業者に売る、規約の隅に書かれた文章を盾に後日請求をするといった罠が仕掛けられている事例がある。

金の流れをみえるようにするには図示するのがいい。「ピクト図解」という本でその手法が紹介されている。iPhone/iPod touch/iPadをお持ちであれば、無料の「ピクト図解 Lite」を読むことができる。ダイジェスト版だが、必要な情報は一通り掲載されている。

万が一、変なサービスにカード番号を突っ込んじゃった場合は、とりあえずカード会社に電話して事情を説明し、カードを再発行してもらうといい。新しいカード番号になるので、とりあえずはそれ以降の引き落としはなくなる。

関連記事:
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