2019年11月20日
例の裁判の判決を傍聴した
昨年のこちらの記事の続きの話。
6月24日の事件について | N-Styles
まずは裁判の様子を記録として残し、感想は記事後半でまとめて書きます。
公的には「建造物侵入,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反(事件番号 平成30年(わ)1145号)」として扱われる本件の裁判は、福岡地方裁判所で2019年11月11日から15日までの4回の裁判員裁判が行われ、11月20日に判決が言い渡された。
福岡地方裁判所は新築の合同庁舎内にあり、事件発生後に移転したばかり。
福岡市中央区六本松にあり、被告が大学入学時に通っていた九州大学六本松キャンパスの跡地である。
裁判員裁判は傍聴券が配布され抽選となっていたが、判決は1階にある大きな法廷が割り当てられ抽選なしの先着順となっていた。100席弱の傍聴席がある101号法の最前列は記者席に割り当てられ、記者席数よりも多くの記者が傍聴に訪れていた。スケッチブックを持った法廷画家と思われる方もいた。一般席は70席程度あったが、1/3ほどが空席となっていた。
15時からの判決言い渡しの前に、2分ほどテレビ局の撮影が入り、その後に被告が入場した。
スーツ姿でスリッパを履き、2人の係員に挟まれ、髪は短髪で整えられていた。
判決言い渡しのタイミングで、中央に出てくるように促され、裁判長と被告が相対する形となる。
裁判長は判決理由より先に、主文を述べた。
懲役18年に処す。
記者が2名が席を立ち、しばらくして戻ってきた。法廷の外で速報を打っていたようだ。
裁判長は刑期に続き、勾留日数は刑期に算入する、押収したレンジャーナイフは没収するなどの付随した情報を述べ、同じ主文をもう一度繰り返した後に被告を席につくよう促した。
犯行の内容、動機などが読み上げられ、判決理由として医師の診断内容も説明された。
責任能力はあり、下見をするなど計画性があり、執拗な攻撃が認められ、違法性を認識しており、他人を罵倒し続けたのは本人の性格の問題であり、犯行声明を出すなど善悪の判断もあり、精神的障害が犯行に影響があった可能性は否定できないものの、刑を軽減するものではないと判断された。
また、前科がなく、自首により捜査が進んだという点はあるものの、被害者は客観的に見れば単に迷惑行為を運営会社に通報したにすぎず、被告の犯行は身勝手で理不尽な動機であり、裁判中も人の死に対する考えが変わっておらず、遺族の処罰感情を考慮して、厳罰に処すことが適切だとした。
約10分間に渡る説明が行われた後に、再び主文が述べられ、閉廷となった。
被告側弁護人は閉廷後の記者からの質問に対し「判決を聞く前に、上告をしないと話をしていたが、判決後は話をしておらず上告の有無は明日接見して確認する」と答えた。