生ハム原木を買ってはいけない
先日、フルマラソンを完走した自分へのご褒美として「生ハム原木」を購入した。
通常、生ハムはスライスされた状態で販売されているが、「原木」はスライスされる前の熟成された豚の足そのものを指す。水分が抜けて固く、見た目が木のようなので原木と呼ばれるようになったようだ。
これで、いつでも手軽に好きなだけ生ハムを食べ放題だとウキウキしていたのだが、現実はそんなに甘くはなかった。同じような不幸を生まないように、生ハム原木を購入して残念だったことを列挙しようと思う。
楽天の「ハイ食材室」で、たまに販売される期間限定の格安生ハム原木を購入した。1万円台前半で、生ハム原木の設置台と専用のナイフがついてくるお得なセットだ。amazonでも、1万円台のセット商品はたまに販売されているが、一般的な生ハム原木は器具なしで3万円以上はするようだ。
要するに買ったのは言い方が悪いが「安物」ということになる。
とりあえず生ハム原木がほしいというのであれば、比較的割安だが、それなりのクオリティを求めると高額の出費を覚悟しないといけない。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
期間限定品のため、購入してから発送まで長い間待たされたのも生殺し感が強かったが、届いてから室温になじませるために数日放置しておく必要があるのも辛かった。
目の前に肉の塊があるのに数日眺めているという悲しさを想像して欲しい。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
届いてすぐにセッティングして、後日気づいたのだが、この「数日放置する」というのはチルド輸送された真空パックの生ハムを開封すると室温差で結露するので「開封せずに」放置するということだったらしい。しかし、それも諸説あるので、いまいちわからない。台への設置方法についても調べると、かかと側を上にする派と下側にする派があって、何が正解かわからない。食べる前から面倒なことが多すぎる。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
結局、かかと側を上にして設置し、オリーブオイルを染み込ませたペーパータオルで表面のカビを拭きとって、ラップをして3日放置することにした。
表面の硬い部分は食べられないので大きく削ぐ必要がある。また、赤い肉の部分に到達するまで脂身が大量にあり、見た目より可食部は少ない。なんでこんなに皮下脂肪が多いんだ、このブタ野郎。5kgぐらいはある原木だが、皮と脂身と骨が多くを占めるので、食べられる部分は2/3程度だろうか。ちょっとがっかりだ。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
赤身に到達するまでガンガン削っていって、脂身の多くを捨てた。あとで気づいたが、脂身を炒め油として使うと強い風味が出て非常に旨いので惜しいことをした。冷凍してとっておくべきだろう。
巨大な肉の塊から、薄いスライス肉を切り出す作業は結構大変だ。慣れるまでは分厚く切ってしまう。長い刃を細かく往復させて少しずつ切っていく。機械で切り出した市販の生ハムのように薄くて大きな肉片を切り出すのは至難の業で、せいぜい数センチ幅の帯状のスライスが精一杯だ。厚く切ってしまうと塩分を強く感じて、それはそれで独特の味わいがあるのだが、至極の味とは言いがたい。専門店でカットしてもらった、ふわっふわのうすーい生ハムのほうが当然うまい。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
慣れればスピードは上がるものの、スライスに長時間かかるため、切って乗せるだけ、切って巻くだけの簡単レシピ料理でも1時間かかったりする。市販の生ハムでこんなフルコースはなかなかやらないので最高の気分ではあるのだが、塩分過多でどう考えても健康に悪い。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
厚めに切ってしまった生ハムで作る炒めものは、しょっぱうまくて、ああ、健康に悪いものはうまいんだと実感できる。体に良くないので決して真似してはいけない。
食べ終わったあとは、最初に切り出した皮の部分をフタ代わりに乗せてラップで包む。定期的にオリーブオイルで表面を拭く必要もあり、とても面倒だ。
気温が安定した場所に置く必要があるので、玄関に設置した。玄関が暗いので、人感センサーライトを設置しているのだが、帰宅するたびに肉の塊が神々しく照らされて出迎えてくる。全く意味がわからない光景だ。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
保存食とはいえ、生ハム原木は一般的な家庭での生ハム消費量の限界を超える分量である。放置すれば水気が抜けてカチカチになるらしい。早めに消費するために友人たちを呼んで生ハムパーティを開いた。
準備不足だったうえに、生ハムを切り出す速度に限界があるので食べる時間よりも、みんなでワーワー言いながら生ハムを切る時間のほうが長くなってしまった。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
※奥のしゅうまいと手前の練り辛子は、おみやげで持ってきてもらったもので生ハムとは無関係。
このあとピザも焼いて食ったのだが、うますぎて写真を撮るのを忘れてしまった。
これはパーティとは別の日に食べたピザ。質素なピザも鮮やかな生ハムが乗ることで、本格的なイタリアの雰囲気を漂わせる。あつあつのピザの熱がじわじわと伝わり、生ハムの脂身部分が透明になっていき、チーズと脂が絡んでいく。これは非常にうまくて食い過ぎて確実に太る。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
ガンガン削って食っていったが、まだまだ生ハムは残っている。一体いつになったらなくなるのだろう。せめて梅雨までには食べ終えたい。ああ、またあの楽しい生ハムパーティを開かないといけないのか。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
最後にもう一度いう。生ハム原木購入はおすすめできない。
こういうのをうっかりクリックしてはいけない。
たぶん、グラム単価で考えると、切り落としのほうがお得。
2016年追記
再び、生ハム原木を購入した。
今度は7.5kgのハモンセラーノ。
前回と同じ生ハム台になんとか設置できたものの、前回の二倍ちかくあって、めちゃくちゃでかいし邪魔だ。
こんなのが自宅にあると邪魔でしょうがない。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
こんな大きな生ハムはとてもじゃないが一人で消費できないので、今回も友だちを自宅に呼んで生ハム食事会を開催した。
アボカドのディップを作ってルヴァンやリッツに生ハムと一緒に乗せて食べるとどんどん胃袋に収まる。
塩分が高いのにこんなに食べたら体に悪い。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
生ハム会を終えてもこれだけ残っていた。
…何だこの写真。
右にある防護服はシンゴジラ発声可能上映のコスプレ用。
このままでは食べきれないから、仕方がないので、2日連続で生ハム会を開催した。
上下をひっくり返して、ふくらはぎ側を上にすると、違う食べものだと感じるほどに柔らかい。
1本で2種類の食感が楽しめるなんて、いくらでも食べられるし、やっぱり体に悪い。
2日目を終えてもまだ折り返し地点を過ぎた程度で、まだまだ大量に残っている。
あいかわらず設置場所は玄関である。
そのせいで帰宅するとすぐに生ハムの臭いがするし、宅配便の人が毎回ビックリする。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
まだまだ大量に残っていたので、しょうがないので後日、改めてピザと一緒にいただいた。
降雨続きだったせいか、しばらく間を空けると、切り口にもカビが広がり、割と厚めに切って捨てないと食べられない。もったいない。
きっちり食べるためには毎日のように生ハムを削っていく必要があり、頻繁に友だちを呼ぶか1人で繰り返し生ハムを食べる必要がある。
毎日おいしい生ハムを食べていたら体に良くないだろう。そういう意味でも、生ハム原木購入はおすすめできない。
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