2014年03月11日

プレゼン界の大革命!この円グラフがすごい!


スポンサーリンク

他の人に何かを訴えかけるときに、単なる数字や文章の羅列をぶつけても多くの人は振り向いてくれない。何かを伝えるためには創意工夫が必要になる。写真や図を用いてビジュアル化し、ひと目で内容が伝わるようにする。それがプレゼンテーションだ。

とくに統計データを人に伝えるためにはグラフを用いるのが効果的である。

それを踏まえて、まずはこのページをご覧頂きたい。

インターネット詐欺リポート(2014年2月度)|BBソフトサービス株式会社

ソフトバンクグループのBBソフトサービス株式会社(本社:東京都港区、社長:溝口 泰雄、以下「BBソフトサービス」)は、2014年2月度のインターネット詐欺リポートを発表します。このリポートは、日本のインターネット利用者が直面するネット詐欺の脅威とネット詐欺に対する注意喚起を目的として、BBソフトサービスの「Internet SagiWall™(インターネットサギウォール)」が検出・収集した危険性の高い詐欺サイトの分析結果と、インターネット利用者の意識調査の結果を報告するものです。

「Internet SagiWall™(インターネットサギウォール)」というステキなネーミングのソフトが収集した詐欺サイトの統計データを報告するプレスリリースだ。ネット上での詐欺サイトには少なからず関心があるので、このデータは非常に興味深い。
参考資料:ペニーオークション問題、今までのまとめ(2010-2012)

さて、実際のデータを見てみよう。

sagiwall01.png

円グラフは百分率で表されるような構成比率を可視化するのに適したグラフだ。下に各種詐欺サイトの比率が書かれているので、円グラフもそれを表しているのだろう。
ワンクリックサイトが98.8%で最も多い。ほかは1%以下だ。

しかし、円グラフは…?
どうみても98.8%の部分が75%ぐらいしかないし、0.8%なのに10%ぐらいありそうな部分が見える。

きっと、何かの手違いで別の数字が紛れ込んで、気付かずにプレスリリースを流してしまったのだろう。自社サイトだけではなく、他の有料でプレスリリースを配信する会社にも同じ記事が転載されてしまっているが、掲載している業者も気づかなかったに違いない。まさか、詐欺を扱う文章の中にこんな詐欺としか思えない画像が挿入されるはずがない。

「2014年2月度」とあるので、前の月を見ればちゃんとしたグラフが見られるに違いない。

インターネット詐欺リポート(2014年1月度)|BBソフトサービス株式会社

sagiwall02.png

数字が異なるのに、2月度と円グラフの形状が全く同じだ。
sagiwall10.png
※赤色と紫色の部分に注目

いや、続けて間違えることだってあるかもしれない。

インターネット詐欺リポート(2013年12月度)|BBソフトサービス株式会社

sagiwall03.png

円グラフの形は変わったが、相変わらず数字と角度の相関が見られない。
いや、これもミスだろう。二度あることは三度あるという有名なことわざをご存知だろうか。

インターネット詐欺リポート(2013年11月度)|BBソフトサービス株式会社

sagiwall04.png

1.4%と0.3%が同じサイズのようにみえる。
信じがたいことだが、ミスではないようだ。どうも意図的にこの円グラフを作っているらしい。
それにしても傾向が見えない。一定の法則で数字を操作している様子ではない。
一番大きな項目が75%ぐらいのサイズというルールが決まっていて、あとは目分量で決めていると推測するのとこの作図と合致する感じになる。数値が変わったのにグラフの形状を流用しているところを考えると、おそらく、数字を流しこんで作成するExcelのようなソフトではなく画像作成ソフトを使って作図しているのだろう。Excelでやるなら、こんな変なグラフを作るほうがよほど面倒だ。

そもそも、プレゼンテーションというものは通常、すでにあるデータをわかりやすく工夫するものであって、わかりやすく見える作図ができるようにデータのほうを書き換える作業は必要ない。それを露骨にやってのけて、堂々と自社サイトのプレスリリース一覧に掲げ、恥も外聞もなく他社にもプレスリリースを流している。プレゼンテーションの革命と言ってもいいだろう。
そりゃ98.8%の大項目と1%以下の複数項目を円グラフで比較しろと要求されたら、作図する人が困るのは分かる。小さい方の円の切れ端はドットの隙間に埋まるほど細くなって、ほぼ一色の円になる。だからといって、円グラフの方を操作したら完全に手段と目的の逆転だ。私も目的と手段を取り違え続けた結果、フルマラソンを完走したというよくわからない健康法を実践しているが、さすがに詐欺を糾弾しようとして詐欺的なグラフを見せるのはどうかと思う。

毎月発表されているこのよくわからないグラフを遡って行くと、初出は2013年1月分だった。

インターネット詐欺リポート(2013年1月度)|BBソフトサービス株式会社

sagiwall05.png

まだ、本当の円グラフに近い感じではあるが、どう見ても合計で2%しかない少数サイトの面積が数倍に膨れ上がっている。最初から嘘で塗り固められたレポートで何をアピールしたかったのか。自分たちの商品が何なのか分かってないのだろうか?

謎の円グラフはともかく、アンケートの中には有益な情報もある。

インターネット詐欺リポート(2014年1月度)|BBソフトサービス株式会社

「危険、怪しいと感じたサイトは、結局利用しましたか?」という質問に対しては、約9割が「利用しなかった」と回答しました。
sagiwall06.png

10.5%の人をターゲットにした商売をするのは効率が悪いですよ。


スポンサーリンク


この記事の前後の記事
2014年03月22日:生ハム原木を買ってはいけない
2014年02月25日:あなたの言葉が、人を殺す。WHOの自殺報道ガイドラインを読もう

最新記事
2024年02月20日:3万アカウントの凍結を見届けた 趣味としてのTwitter(X)スパム報告
2023年06月25日:任天堂株主総会レポート2023
2023年06月21日:レビュー:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム
2022年06月30日:任天堂株主総会レポート2022
2022年03月15日:Hue Sync Boxで映像とゲームを画面の外から強化する
2021年03月11日:シンエヴァを鑑賞した人たちを鑑賞した[ややネタバレあり]
2021年02月12日:藤子・F・不二雄「ノスタル爺」を読み解く
2021年01月18日:「呪術廻戦」単行本での加筆修正一覧(15巻まで)
2020年09月28日:「2.5次元の誘惑」がとにかく熱い
2020年04月08日:緊急事態宣言が発令された日の雑感



- N-Styles -