科学論文として不正かどうかなど、どうでもいい視野の狭い研究者の内輪での話だ
体細胞が刺激により万能細胞になるというSTAP細胞に関するネイチャー論文で、不正が見つかり、論文の執筆者である小保方晴子氏が糾弾されている問題について、福島民報がコラムを掲載した。
【小保方さんの騒ぎ】オヤジたちが情けない(4月16日) | 県内ニュース | 福島民報
STAP細胞をめぐる小保方晴子さんの騒動を見ていると、日本社会の重大な欠陥を見ているような気がして仕方がない。
たいそうな書き出しではじまるこの文章を要約すると「科学的なことは全く理解できないけど、一生懸命頑張ってる人を寄ってたかって叩いているオヤジどもが気に食わない。論文の不正がNGとかいう科学界のローカルルールはどうでもいい」というニュアンスだ。
ちなみに著者は元毎日新聞社主筆の菊池哲朗氏である。
この文章で一番のピークは以下の文章であろう。
要はSTAP細胞ができるかどうかだけである。科学論文として不正かどうかなど、どうでもいい視野の狭い研究者の内輪での話だ。
強い。非常に力強い文章だ。圧倒される。
菊池氏の意見が正しいかどうかについては今回は触れない。間違っていると証明できないことを、間違いだと断言してしまうのは科学的ではないからだ。
論文がどういうものなのか、それに対して不正を行うことがどういう意味を持つのか、全く理解されていないのに文章を書いていらっしゃるように見受けられるので、科学から縁遠い方でも理解できるよう別の業界に置き換えて上記のフレーズを書き換えてみる。
テンプレート(ご自由にお使いください)
要は( )できるかどうかだけである。( )かどうかなど、どうでもいい視野の狭い( )の内輪での話だ。
なお、全く違うシチュエーションに書き換えてしまうことにより異なるニュアンスが生じることはご留意いただきたい。
要は犯人逮捕ができるかどうかだけである。捜査に不正や証拠捏造があるかどうかなど、どうでもいい視野の狭い警察の内輪での話だ。
警察は犯人逮捕が目的の組織である。捜査の過程にケチをつけるのは嘆かわしいばかりだ。
検挙率の高い若い優秀な警官の海外流出は加速されるだろう。とても残念だ。
要は動作できるかどうかだけである。仕様に沿っているかどうかなど、どうでもいい視野の狭いプログラマの内輪での話だ。
動けばいいだけなのに、コーディング規則が滅茶苦茶だとか、仕様に沿わない動作をするとか、バグがあって動作が不安定とか、得意げにプログラマの正しさを並べ立てるオヤジどもがいじめる。
目立ちたがり屋や変人プログラマの成功に対する、嫉妬やひがみなど通常必ずある足引っ張りという最大勢力の抵抗もある。
要は治療できるかどうかだけである。医師免許を持っているかどうかなど、どうでもいい視野の狭い病院の内輪での話だ。
医師免許なしで手術して失敗してもうまくいかなかったら、だめだったねえ、こういう点に注意してもう一度頑張り直してみなさいと、再挑戦させるのが先輩・先達のとるべき正しい態度だろう。
ブラックジャックだってあんなに頑張ってたじゃないか。
要は当選できるかどうかだけである。買収や経歴詐称があるかどうかなど、どうでもいい視野の狭い政治家の内輪での話だ。
遠目には、頼りなさそうだが(金の力で)頑張っている若者を、既得権益に凝り固まったようなオヤジどもが寄ってたかっていじめているようにしか見えない。
選挙管理委員会やその取り巻きの連中が何と言おうが、当選ができればそれで万々歳なのだ。
要は第一発見者を犯人扱いできるかどうかだけである。本当に犯人かどうかなど、どうでもいい視野の狭いマスコミの内輪での話だ。
警察リーク情報の扱い方のルールだとか、都合のいいデータだけそろえるマスコミがやってはいけない初歩的心得違いだとか気にしていたら他のマスコミに出し抜かれてしまう。
彼にサリンは作れない、できっこないという科学の権威たちと、それに挑戦するとんでもない発想の主としてのマスコミの戦いの図でもあろう。
ああいう文章を書いていたのだから、きっとこの文章も受け入れてくれるだろう。今後も科学や真実と戦っていただきたい。
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ここからは余談だが、今回の騒動に対して、科学に対して理解のある人はSTAP細胞(STAP幹細胞)の存在の有無を問題視していないが、理解のない方々はそちらを重要視しているように思える。
科学者側に立つ人々の多くは、STAP細胞が実在するかどうかにかかわらず、彼女らの論文には見過ごすことのできない不正があり、その釈明会見で科学的根拠を示さなかったことを問題としている。
一方でふだん科学とは縁のない生活をされている方々は「STAP細胞が実在するなら有益なことだから、あまり叩くべきではない」「あれだけウソを付いているのだからSTAP細胞は実在しない。糾弾すべきだ」「あれだけ一生懸命質問に答えているのだからSTAP細胞は実在すると思う」といった論調になる。
菊池氏も何が問題なのか調べようともしないから科学者たちが糾弾している理由が理解できず、「彼女を叩いているのは嫉妬が原因」と、取材なしでも得られる素朴な結論を書いてしまう。
「STAP細胞の存在有無」「論文の不正の有無」「彼女の印象の良し悪し」これらはそれぞれ独立した事象だ。(細工のない)サイコロを振って2回連続で1が出たから次も1が出ると予想して賭けると痛い目にあいますよ。
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おまけ
今回の文章は福島民報のフェイスブックページにも掲載されているが、もともとフェイスブックでフォローしている人たちが読んでいるという母集団の偏りがあるためか、コメントの欄に賛同の声が多い。
たとえば最初のコメントがこれ。
ちなみに、その方のプロフィールがこれ
こちらの方も記事を絶賛している。
まあ、予想どおりのオチだと思うが彼のプロフィールがこれ。
要は賛同の声が多いように見せることができるかどうかだけである。一般読者が賛同しているかどうかなど、どうでもいい視野の狭いフェイスブックの内輪での話だ。
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