2013年12月12日

インターネットと同化した男が生み出した衝撃的なアート


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昨日から私の周辺のごく一部で話題になっているページがある。
トラのバターで焼いたホットケーキについて - no reblog, no like.

長いページをスクロールして感情が揺さぶられた。
圧倒的なパワーが液晶画面から湧き出してくるのを感じ、感想を言葉にすることができない。

何も考えず、見てほしい…と言いたいところだが、このページの意味を理解していないと何がなんだか分からないかもしれない。

tumblrユーザやヘビーなネットユーザであれば、説明は不要だろうし、説明が必要な人達に説明をした上で見てもらっても私が感じた衝撃を味わうことはできないだろう。
だから、ここから先の文章は完成されたアートに対する、無意味な蛇足だ。

09dc7f98655d5eca82d91710eb86c450.pngこの作品は、クリスマスに向けて12月1日から1日ずつ記事を投稿するADVENTARというサービスに、一部のtumblrユーザが集まって「tumblr の回りをクルクル廻る人々の、インターネッツ生態系に関するアドベントカレンダー」というテーマで投稿を募る中でretlet氏により投じられたものである。

ADVENTARが私もよく知らないので説明を割愛するが、tumblrは「reblog」という特徴的な機能のついたSNSだ。
reblogはフェイスブックでいうところのシェア、TwitterにおけるRTに該当する機能で、他のユーザの投稿をそのままコピーして貼り付ける行為である。reblog対象はtumblr内の投稿にかぎらず、あらゆるネット上のコンテンツがreblogされる。
Twitterで言うところのタイムラインはtumblrではdashboardと呼ぶ。
ちなみに今回の作品中でも何度か言及されているが、reblogはrblg、dashboardはdsbdと略されることもある。

今回の作品はreblog中毒者が行き着いた到達点を垣間見ることができる。

基本的にtumblrユーザは、自分がフォローしている他のユーザの投稿を見て、良いと思ったらreblogする。

retletを含めた複数のtumblrヘビーユーザのreblogを生で見たことが何度かあるが、キーボードショートカットを駆使し、次々に新着投稿を表示させ、1秒に満たない時間でreblogする。写真だけではなく、長文に対しても彼らは秒速でreblogする。
自宅にいるときは寝る直前まで、そして外出中も常にreblogし続ける。現実世界で気に入った風景があればその場で写真を取りreblogする。

気に入った投稿を集めて、あとで読み返すというおそらく本来想定されていたであろう機能を無視し、彼らはreblogするためにreblogする。
一度reblogした投稿も、目にするたびに何度でもreblogする。


275a7adc4bec8a2ddfb04afddcb51a6a.png彼らのスタイルにおけるreblogはフィルタである。
彼らの琴線に触れない投稿はreblogされず、洗練された投稿がreblogされ続け、拡散され続ける。
何重にもフィルタをかけられた投稿は純度の高い結晶を作るのだろうか?
いや、そうではない。広大なネットの海から常に新たな投稿が行われ、彼らの高速reblogがそれを再びフィルタリングする。
そうして彼らは毎日新たな投稿をreblogし、古い投稿を再度掘り起こし続ける。reblogに終わりはない。

中毒者たちのreblogで生み出されたdashboardには本来メッセージ性はない。
引用の要件を満たさず、他人の著作物の窃取でしかないものが大半で、何かのメッセージ性を示すものではない。

今回の作品も他人の著作物や、誰が書いたかわからないポエムがランダムに並んでいるだけだ。
しかし、そこに並べられた裸の女性の写真、ネタ画像、ネット上のミーム、それぞれが普段とは違うメッセージ性を持って明確に語りかけてくる。

reblog中毒者、ネット依存者の苦しみ、喜び、悲しみ、その総てが1ページに収められている。
即物的で、移り気で、優柔不断な感情が滲みでている。

relogはREMIXだ。
turntablistがリアルタイムで既存楽曲をREMIXするように、
tumblristはリアルタイムにWebをREMIXする。
音楽ではなく、WebをREMIXするDJパフォーマンスが今回の作品なのだ。

何かを表現するときに完全な無から生み出す必要はない。
既存作品をREMIXして何らかのメッセージを生み出し、それが人の心を打つのであれば意義のあることだろう。

retletは常にreblogし、ネット接続環境がなくなると「呼吸ができない」と訴えかける。
retletにとってreblogは生きることと同価なのだ。
retletはインターネットに溶け込み、もはや分離できなくなっている。
コンマ数秒でrelogを繰り返し、連続した投稿の中に自己を投影する。
retletがreblogになり、reblogがretletになった。

私が見ていたのはretletが生み出したreblogだったのだろうか、それともreblogの先に存在するretletの姿だったのだろうか。


余談だがretlet本人は「時間なかったからLikeを上から棚卸していった結果なんかそれっぽくなった」と証言していた。
更に余談だが、以前retlet家に泊まった時にメイド服がおいてあったので魔が差して着てみたらreblogされた。あの時のメイド服姿は今でもインターネットの海を泳いでいるのだろう。


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