2013年12月17日

ゼロ・グラビティは4DX版を観ろ!


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話題の映画「ゼロ・グラビティ」を観てきた。

ゼロ・グラビティは、最近の大作映画で必須になりつつある3D対応はもちろん、迫力のある大スクリーンで楽しめるIMAXシアターにも対応している作品だが、さらに「4DX」版も公開されている。

4DXは、3D対応の飛び出す映像だけではなく、座席が前後左右にうごいたり、振動したり、風が吹いたり、水しぶき(ミスト)をかけられたり、スモークが炊かれたり、スクリーン周辺でフラッシュが光ったり、匂いがしたり、シャボン玉が飛んだり、とにかくなんでもありで驚異の映画体験を満喫させるシステムだ。

まだまだ普及しておらず、日本国内では名古屋市に続いて先日設置された北九州市でやっと2例目。
自宅から自転車圏内にIMAXシアターがあるが交通費と時間を惜しまず、4DXの初体験を兼ねて北九州の小倉コロナシネマワールドに足を運んだ。

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クレジットカード決済になるが、WEBからのチケット購入も可能で、2,800円だった。購入後届くメールについている二次元バーコードを使って、発券機からチケットを受け取れる。
この映画館は3Dメガネが別料金なのだが、4DX版だと窓口にチケットをもって行けば無料でもらえる。

座席が動くのでなるべく身軽な格好で行きたい。気の利いたことに、スクリーンの入り口に無料のロッカーが置いてあったので、上着とカバンを預ける。

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座席のサイズはやや大きめ、そして、座面が床から高い。フットレストが床から少し高い位置にある。背もたれ部分、頭の左右あたりにエアーが吹き出す穴がある。前の座席の後ろにミストの吹き出し口も見える。

座席の指定は、予約時に席単位ではなく、大まかなブロック単位でしかできないようになっており、思っていたよりも後ろの席になってしまった。
スクリーンの近くの数列は4DX未対応の座席のようで、誰も座っていない。予約画面で先頭の方に位置するブロックが、実際には中央に近い位置となる。
予約する時は、一番前の中央のブロックを指定するのがオススメだ。

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係員による口頭での注意事項アナウンスの後で、映像でも注意事項が流れる。こぼれる可能性があるので、飲食物は原則持ち込み禁止。…のはずなのに、ポップコーンやコーラ持ち込まれまくりで、静寂したシーンでむしゃむしゃ食べる音が聞こえたのはかなりマイナスだった。

本編に入る前に4DXのデモンストレーション映像が流れる。

シートがビリビリと振動し、車の動きに合わせて、想像していたよりもかなり激しく揺さぶられる。耳元からエアー、前からミストもぶっかけられて、観客から驚きの声が漏れる。
映画というよりアトラクションだ。

今回鑑賞したゼロ・グラビティは、事故で漂流した宇宙飛行士が生還を試みるストーリー。
地上の管制室の映像や、他のクルー、家族といった、物語に厚みを持たせる要素をバッサリカットし、最初からずっと主人公の周りだけを描き続ける手法をとっている。
そのおかげで宇宙空間での孤独感、絶望感が痛いほど伝わってくる。

4DXの仕様を初めて知った時、映画に勝手に余計な味付けをして台無しにしてしまうんじゃないかと、不安に感じていたが、それは不要な心配だった。

事故の衝撃や、制御を失ってぐるぐると回るときの加速度が座席からダイレクトに伝わる。
宇宙空間に投げ出されてパニックになる主人公と、座席に振り回される自分が重なり合い、より一層、映画にのめりこめた。
衝撃を受けて激しくシートが動くシーンよりも、制御を失って宇宙空間を浮遊するシーンで、グラスの中のワインのような、ゆったりとした動きで揺さぶられる動きが印象的だった。
アクション映画ではないので静かなシーンも多い。その時は当然シートは動かないので、静と動の対比が際立ってくる。

4DXとは無関係な感想になってしまうが、この映画は3D映像の完成度が高い。対象物がなく、本来距離感が掴みにくいはずの宇宙空間の映像なのに誇張された立体感のおかげで、迫ってくるデブリ(宇宙ゴミ)や、遠ざかるシャトルからリアリティを感じ取れる。
今作の3DについてはImpressに非常にいい記事があるので、鑑賞前でも後でもいいので一読してほしい。
【本田雅一のAVTrends】「ゼロ・グラビティ」に見る新しい3D映画の可能性 - AV Watch

また、冒頭部分などで見られるカット割りのない長回しのシーンも印象的だし、本当に国際宇宙ステーション内で撮ったのではないかと思われる自然な無重力状態も素晴らしい。

多少、映画的な誇張はあるが、宇宙という特殊な環境をなるべく忠実に表そうとしている努力もいたるところで感じられる。特に、事故で破壊されつつある国際宇宙ステーションからソユーズ帰還船を離脱させる瞬間に激しい効果音と振動を瞬時に止めた演出が素晴らしい。すぐそばで大規模な破壊があっても、真空では伝わらない。スターウォーズのように、ドカーンバキューンとはいわないのだ。

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4DXで受けた衝撃と頭のなかでミックスされていて、映画自体の感想が純粋に抽出できない状態になっているので、パンフレットを熟読した上でIMAX 3D版で再度鑑賞する予定。他の人達も絶賛しているので、映画そのものも素晴らしかったのは間違いない。

最後に、4DXの感想に戻すが、「ゼロ・グラビティは4DXで鑑賞すべきか?」という問いに対しては全力でYESと答えたい。4DXはゼロ・グラビティの魅力を最大限に引き出すことに成功している。激しくシートが動くシーンは限られているし、上映時間も短いので、体力に自身のない人でも安心だ。すでにゼロ・グラビティを観た人にもおすすめしたい。

しかし、「4DXをゼロ・グラビティで堪能できるか?」と聞かれると、そうでもないように思える。ゼロ・グラビティでは4DXの演出の一部しか活用されておらず、4DXの魅力を最大限に引き出しているかというと、疑問符が出てくる。
4DXはパシフィック・リムやワイルド・スピードのようなバリバリのアクション映画のほうが映えるシステムだろう。ただ、2時間揺さぶられ続けるのも相当つらそうなので体調が悪い時は避けたほうが良いだろう。

いずれにせよ、4DXで鑑賞することによって、映画の魅力が数割増しことは間違いなさそうなので、今後、4DX対応映画がリリースされるたびに小倉に足を運ぶことになりそうだ。移動を含め、丸一日潰れるのはつらいので、さっさと日本全国に普及して近場でも観られるようにしてほしいものだ。


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