2005年03月13日

ロングレビュー:メテオス


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タイトル:メテオス
発売:バンダイ
開発:キューエンタテインメント
発売日:2005年03月10日
価格:5,040円(税込み)
amazonで購入

※このレビューは1万字超の異常な長さになっています。

私がメテオスにはじめて触れたのは2004年11月28日、ニンテンドーDS発売前体験イベント「ニンテンドーワールド Touch! DS」の会場でのことだ。事前に仕入れていた情報でルールは理解していたが、実機で動くメテオスは想像をはるかに超えて激しいゲームで、それまで想像していたゲームとはまったく違っていた。そして何より実際に触ってみると、その新鮮な感覚に衝撃を受けた。

そのころ、メテオスはほとんど注目されていなかった。数あるニンテンドーDSソフトのブースの中で、あえてメテオスの列に並びプレイする人は少なく、長くても15分待ちという状況。任天堂のソフトが1時間待ちを超えたりするのと比べると寂しい印象を受けた。

その、待ち時間が少なかったのも一つの要因だろうが、メテオスブースでは他のブースでは見られない現象が起きていた。このイベントは国内で一般へのニンテンドーDSの初お披露目。数多くのソフトに触れてニンテンドーDSそのものを体感して貰うのが本来の趣旨である。だが、メテオスブースでは繰り返し並ぶ人たちの姿があった。私も6回プレイした。

同じTouch!DSの会場内のとあるメーカのゲームキューブ用某ソフトブースの話だが、参加者が明らかに操作に戸惑い、先に進むことが出来ずどうにもならない状況になっていても案内スタッフが見て見ぬふりをしている状況を目の当たりにした。結局、その人は途中で投げ出しイライラした様子でブースをあとにした。わざわざ行列に並んでプレイしてくれているお客様にその態度はないだろうと、見ていて悲しい気分になった。それに対し、メテオスブースでのスタッフは親切に操作案内をし、参加者に対戦相手がいない時には楽しそうに参加していた。その上、開発元であるキューエンタテインメントの水口氏は一日中メテオスブースの近くで参加者の反応を見て、時には感想を求めていた。実際、メテオスは全国5会場でのイベント開催中に体験版のバージョンアップまで行っている。この時、制作者のメテオスに対する鬼気迫るほどの情熱を感じた。

イベント終了後、周囲を巻き込んでメテオスの自主的PR活動を行った。
それはイベントで魅力溢れるメテオスのゲーム内容とは裏腹に、認知度の低さを肌で感じたからでもある。自分を含め、メテオスに対して過小評価している人が多いに違いない。少しでも注目を集め、メテオスを知って貰いたかった。
結果として、把握している分だけでも十数件の売り上げにN-Stylesが貢献できた。把握できていない分と、協力してくれたNintendo iNSIDEでのトップページからのリンクをあわせるとそれなりの効果があっただろう。次は触発されて買った人たちが他の人たちにもメテオスを勧めてくれれば最高だ。

さて、話を戻す。次にメテオスに触れたのは2005年2月6日、次世代ワールドホビーフェアのバンダイブース。発売を目前にして、メテオスはさらにバージョンアップしていた。ブースで触れることの出来る一人用体験版はもちろんのこと、その場でダウンロードできる体験版まで用意されていたのだ。そして、今回も全国4会場での開催中に少しだけバージョンアップをしている。ゲームの細かいチューニングが行われ、発売延期のため発売日表記が2月26日から3月10日に変更になった。

ダウンロード体験版はDSダウンロードプレイに対応したもので、ニンテンドーDSの電源を落とさない限りずっとプレイできる。この体験版の恐ろしいところは2P対戦が可能ということだ。
イベント参加はオフ会を兼ねていたのでそのまま体験版対戦をした。時間を忘れて何度も何度も対戦した。メテオスは面白い。間違いなく面白い。それが実感できた。

その後、ダウンロード体験版が店頭で配られるようになった。メテオスに触れる人が増えたことで、以前よりも注目されるようになってきた。そして、メテオスはファミ通のクロスレビューで携帯ゲーム機用ソフトとして最高得点となる38点を記録。一気に注目を集めた。


さて、前置きが長くなったが3月10日についにメテオスが発売された。発売後数日しか経過していないが、思う存分プレイしたのでレビューを書こう。ゲームそのものの内容の紹介は公式サイトが非常にわかりやすくなっているので、そちらを参照していただきたい。

このレビューを書く前に検索を駆使してメテオスについて記述しているサイトを見て回った。それをリストにしてまとめた。ほとんどの人が問答無用の大絶賛。ネガティブな意見は皆無に等しい。
ゲーマーという人種はひとりひとりに一家言あるように好みがバラバラで、時にわがままで、口うるさい気分屋だ。彼らが一致団結して大絶賛というこの状況こそが、メテオスがいかに魅力的なソフトかを表していると言えるだろう。あえて自分の言葉でメテオスを評しなくても、彼らの声を集めて紹介すれば理解してもらえるかとも思ったが、それではレビューにならないので愚考を書き連ねるとしよう。

以前、アナザーコードのレビューを書いた際にも触れたことだが、レビューとは「良いこと探し」だと私は思っている。わざわざ悪いところを並べるようなことをしても読者が不快感を抱くだけだからだ。だから好きなゲームしか取り上げないし、不満に思っているところがあっても文中では触れずにいる。だが、メテオスの場合はちょっと事情が違う。特に悪いところが見あたらないのだ。気持ち悪いぐらいにパーフェクト。これほど自分のハートにど真ん中ストレートのゲームに出会ったのは久しぶりだ。

思うがままにキーを叩いてもまとまりのない文章になりそうなので、メテオスの魅力を10個のキーワードで語りたい。

1.「大衆向け」
人を選ぶゲームは多い。それは続編ソフトであったり、特定の趣味を持つ人たちのために作られたゲームであったり、極端なジャンルのゲームだったりする。そういったソフトは人に勧めにくい。もちろん、人を選ぶゲームが悪いというわけではなく、自分の趣味嗜好と合致したときは人を選ぶゲームのほうが魅力的に見えることが多い。弾幕に陶酔するシューターや鬼のような譜面に狂喜乱舞する音ゲーマーは少なからず居る。

メテオスは人を選ぶゲームではない。敷居が低い。

メテオスのルールは単純だ。

メテオがガンガン降ってくる!
つもったメテオを上下にずらし
同じ色どうし3つならべるのだ!
そろったメテオは打ちあがる!
さらに空中でどんどんそろえて
宇宙まですっとばしてしまえ!

※体験版メニュー画面の説明より引用

このようにたった数行で説明できる。あとは触って貰えばいい。10分もプレイすればルールは理解できるだろう。これは薦めやすい。


2.「体験版」
メテオスは通信機能が豊富で、3つの通信モードがある。
まず、人数分のメテオスがあれば最大で4人までの対戦が出来る。そしてソフトが1枚しかない場合は、使える惑星が限られてしまうがダウンロード対戦も可能だ。

さらに「おためし版」の配布にも対応している。体験版を別のDSにダウンロードさせることが可能なのだ。そのうえ、おためし版同士で2P対戦が可能だ。

店頭で配布されているダウンロード体験版はこのおためし版よりも古いバージョンだという。

メテオスにおいて、体験版が果たしている役割は大きい。体験版は製品版と比べて内容がはるかに少ない。ジオライト以外の惑星は選べないし、一人用も対戦も3分程度で終わってしまう。だが、前述のようにルールは単純、敷居の低いゲームなので、体験版を数回プレイすればすぐにのめり込むことが出来る。イベントや店頭で持ち帰った体験版をスリープモード(DSを閉じる)にして消さないようにして何日もプレイする人が沢山いたようだ。

製品版と違ってルールや惑星が固定されているために余計なところに気を回さずにすむので、むしろ製品版よりもメテオスの腕がメキメキあがるようだ。体験版で慣れ親しんだ人たちは製品版によりすんなりと入ることが出来る。

体験版での対戦も楽しい。だが、発売後の今となっては体験版で対戦することはまずないだろう。

3.「多様性」
メテオスはアクションパズルゲームにしてはモードが豊富だ。シンプルモードではルール設定もある程度可能になっている。そして数多くの惑星が用意されている。中にはゲーム性がガラリと変わってしまうほど個性的な惑星まである。ステージの幅、打ち上げの強さ、メテオの色数、その他諸々のパラメータがすべての惑星で異なっている。

体験版の固定された設定でプレイした人たちにとって、この贅沢さに大喜びしたことだろう。

長所は時として短所となる。初心者がメテオスの基本テクニックも修得できないうちに様々な設定でプレイしてしまうと難しく感じてしまうだろう。

まずはテクニックを覚えるためにも惑星を固定してプレイするのがいい。2分間タイムアタックを連続してプレイすれば基本は押さえられるだろう。

ステップジャンプを繰り返し全消しが出来るぐらいになったらはじめて他の惑星に挑戦しよう。

4.「ごほうび」

長期的な目標を据えずに同じ事をを繰り返すことは難しい。例えばクイズで延々と問題を出され続けても次第にやる気はなくなってくる。100問とか10分とか、制限や目標を設けると次々と問題に答えられる。さらに賞品が用意されていればなおさらだ。

メテオスは1ゲームを延々と続けるようなゲームではない。だいたい3分ぐらいで限界が来るような仕様になっている。テンポが良いのでもう1ゲーム、という気分になる。また、プレイ中に打ち上げたメテオが蓄積され、惑星やアイテムと交換することが出来る。それぞれのモードである一定の条件を満たすこと出てくる要素もある。スタートリップモードではいくつものエンディングが用意されている。

単純にスコアを更新することを目的にプレイし続けるのは余程好きな人でないと難しい。慣れないうちは、このごほうびがプレイの動機付けとなり、ごほうび目的で遊び続けることでだんだんとテクニックが身に付いてくる。

5.「サウンド」

話は変わって、音について触れよう。
メテオスには複数の惑星が用意されているがそれぞれの惑星で流れる音楽や効果音が異なる。これがまた良い。いや、非常に良い。すばらしい。ブラボー!

ありとあらゆるジャンルの音楽を取りそろえており、なおかつクオリティが高い。さらにゲームの状況によって曲が変化するわ効果音もイイ感じに曲とマッチしてるわで大変なことになっている。

プレイ中の音楽以外でもおすすめなのが対戦メニュー画面音楽だ。対戦相手が居なくても新規ルームを作って待機状態にしていれば聞くことが出来る。
この画面で聴けます


6.「インタフェイス」

メテオスでは十字キーでの操作も可能だがタッチスクリーンを使うことを前提にしたゲームバランスになっているので、とてもじゃないが操作が追いつかない。タイムアクセルで使用するLRボタン以外は基本的に使用しない。

タッチスクリーン前提と言うだけあって、メニュー画面もすべてタッチスクリーンで操作する。このメニューが面がすごく洗練されている。まったく説明不要で、直感的にどう操作していいのか分かるので非常に親切だ。

プレイ中もタッチすることで、上画面の内容を変更したりすることが出来る仕組みが用意されており、LRボタン以外はまったく使う必要はない。


7.「中毒性」

メテオスにはひどい中毒性がある。一度プレイし出すと止まらない。これは大いに主観が入っているので何とも言い難いのだが、なかなか止められないゲームであることは確かだ。実際、他の人の感想を見ても何時間も連続でプレイしてしまったという話を何度も目にした。

この中毒性の一番の要因はテンポの良さにあるのではないだろうか。1プレイせいぜい3分、モードによっては10秒で決着がつく。もっと記録を伸ばしたい、もっとメテオを集めたい。そう思うと、あともう一回、もう一回だけ・・となってしまう。他にも携帯ゲーム機であることの手軽さ、待ち時間がほとんど無いシステム、プレイし続けることで上達する楽しさなどが原因の一部にあるだろう。

恐ろしいことに一つのモードに飽きても、多彩なモード、惑星が用意されている。一度はまるとメテオスからは逃れられない。

8.「トリップ」
これは中毒性に通じるところがあると思うのだが、ある一線を越えると脳内から快楽物質が分泌されているかのような高揚感が得られる。メテオスは本当に恐ろしいゲームだ。
上達するにつれ、ゲームオーバーまでに要する時間が長くなってくる。ゲームオーバー寸前で降ってくるメテオの数は、隕石と表現できるものではなくなっている。バケツをひっくり返したような土砂降り、もしくは弾幕としか言いようがないぐらいメテオが降り注ぐ。

さらにサウンドがトリップ感を倍加する。5分タイムアタックのレイヤーゼロの音楽が非常に秀逸で、のこり1分を切ったときの怒濤のごときメテオをさばきながらこの音楽を聴いていると、普段は処理しきれないほどの大量のメテオをバヒュンバヒュンと打ち上げられてしまう。5分間の猛攻に耐えきった頃には恍惚の表情を浮かべてしまいそうな勢いだ。なんというか、脳汁どばどば。

このあたりは水口氏の過去の作品「Rez」に通じるものを感じた。

9.「ストイック」

このゲームにどっぷりとのめり込んでしまうと、おそらく数日のうちにすべての隠し要素を開いてしまうことになるだろう。だが、それで終わりだと思ってはいけない。惑星もサウンドもアイテムも、全部そろっていて当たり前だ。これがスタート地点だと考えた方が良い。今までこれらの要素を隠していたのは大人の事情だと考えよう。

では、このあとはどうすればいいか。
対戦に向けて練習するのもいい。DSを持っている知人全員におためし版を配布してもいい。それと、記録に挑戦するのもいい。

タイムアタックとメテオアタックは10位までの過去の成績が残る。スタートリップとチャレンジは残念ながら1位の成績しか残らないが、チャレンジは惑星の数だけ用意されているので我慢しよう。

タイムアタックとメテオアタックは是非とも挑戦して欲しい。何度も何度もひたすらストイックにプレイするとメキメキと腕が上がるし、そして何より気持ちいい。バランス調整が他のモードと違っていて気持ちいいほどにガンガンとメテオが打ちあがっていくのだ。

10.「対戦」
出来れば製品版の対戦を経験してからレビューを書きたいと思っていたのだが、機会に恵まれなかったので、対戦に関する記述はまたの機会ということにしておく。
ただ、体験版での対戦をやった感じだと1人用の数倍面白い。4人対戦だとなおさら楽しいだろう。


さて、長々とメテオスの魅力について語ってみたが、これがちゃんと伝わったとは思えない。

人は未知のものを想像するときに、それを細かい項目に分解し、それぞれの項目に対して既知のものとの共通点を探し、それを再構成することで理解しようとする。だから、長々とメテオスの魅力を細分化して記述したが、これで正しくメテオスがイメージできたとは思えない。おそらく想像したメテオスと実際に触ったメテオスはまったく別物だ。

まずはメテオスに触れて欲しい。

そのときに抱いた感想、それがこのレビューの何倍もの意味を持つだろう。

と、ここまで書いてレビューを終えようかと思い、読み返してみたらメテオスの本編についての説明が一切なされていないことに気づいた。なんてことだ。

実のところ、メテオスについて自分の言葉で無から構築できる自信がない。だから誤解の懸念を抱きつつ既存のアクションパズルゲームとの差違からメテオスの本質に迫っていこうと思う。

入れ替えて並べると言う行為、既存のゲームで自分が思いつく範囲ではインテリジェントシステムズ開発の「パネルでポン」、データイーストの「マジカルドロップ」がこの仕組みを持っている。他にもコナミのとっかえだまなんてのもある。

パネルでポン、通称パネポンは1995年、10年前に任天堂から発売されたスーパーファミコン用のアクションパズルゲームである。自分を含め、今でもファンは多い。京都方面では未だに大会が開催されており、多数の参加者を集めている。最近になってニンテンドーパズルコレクション収録作品としてゲームキューブで復活を遂げた。
パネポンの基本ルールは、下からせり上がる多色のブロックを並び替えて同色を3つ並べることで消滅させるというものだ。パネポンが画期的だったのは、ブロックの消滅中に次のアクションが取れることだ。ぷよぷよで確立された連鎖の仕組みを仕込みではなく、後付けでやることが出来る。これをアクティブ連鎖と呼ぶ。メテオスとの相違点はブロックの供給が上ではなく下から来ると言うこと、そろえたときにブロックが消滅すること、それと並び替えが隣接する左右のブロックに限定されることだ。相手からの攻撃が上から降ってくる点は同じだ。

もう一つマジカルドロップは天井にドロップがぶら下がっており、それを吸い込んで別の列に吐き出すという行為を繰り返し、同色を3つ繋げることで消滅させるゲームだ。メテオスとの共通点は少ないが、このソフトでもアクティブ連鎖は可能だ。

さて、テトリスやぷよぷよに代表される落ちモノパズルゲームの場合、次のように4つのフェイズが繰り返されることでゲームが成立している。

1.次ブロックを確認する
2.落下地点を検討する
3.検討結果の位置にブロックを落とす
4.落下したブロックが条件を満たせばブロックが消える

常にこの処理の繰り返しだ。3の行動が確定すれば1に戻る間は操作を行う必要がない。ぷよぷよの例だと、連鎖が発動すると4で示した部分が比較的長くなる上にまったく操作が出来ない状況になる。
一方でアクティブ連鎖要素を持ったソフトでは休まるタイミングがない。上級者同士の対戦において、手を休めるという行為はすなわち敗北を意味する。だから上級者の十字キーさばきは常軌を逸している。はっきり言って傍目から見て怖いほどだ。

手が休めないのとは別にもう一つ大変なことがある。入れ替えという行為は移動距離が大きいのだ。
落ちモノパズルならブロックは真ん中から落ちてくるので左右の移動はせいぜい5ブロック分だ。だが、パネポンではフィールド全体をカーソルが上下左右にせわしなく動く。マジカルドロップでは動かせるのが左右だけという制限を設けることで、ある程度の移動距離の軽減がなされているがそれでも立ち止まることは死を意味するので止まることはない。これでさらにせわしなく指が動く。

これらのゲームとメテオスとの間にある、越えられない壁がタッチパネルを用いたインタフェイスだろう。パズルゲームがタッチパネルというインタフェイスを獲得したのは革命といっても過言ではない。操作法が2次元から3次元に進化した歴史的瞬間だ。

ペンによる操作でメテオスが得たメリットは2つ。移動速度と分かりやすさだ。

画面の端から端まで移動するのにカーソル移動なら何度もボタンを連打する必要がある。だが、ペン操作になるとそんなことは関係ない。すぐ隣だろうが端だろうが、大して変わらない時間でジャンプできる。上下左右でしかなかった操作にZ軸が加わり、二次元で表現されるゲーム世界からみるとまるでワープしているかのような挙動を示す。まさに革命だ。

そして、ペン操作の分かりやすさ。これについては、ドンキーコングジャングルビートのレビューで指摘した「ゲーム的な文法」というものを考えると分かりやすい。スーパーマリオにおけるBダッシュジャンプを自然言語に置き換えると次のような表現になる。

「Bボタンを押しながら十字キーを右に入れ、踏切地点で十字キーを右に入れたままAボタンを押す」

このような難解な処理もゲーマーの間ではゲーム的な文法として慣例として定着し、共通認識となっているため難しいと考えることはないのだが、果たして本当に分かりやすい操作方法なのだろうか。

一方で、タルコンガという新しいデバイスで操作を行うジャングルビートでは同じ行動が「右のタルを連打して踏切地点で左も一緒に叩く」という、よりプリミティブな操作に置き換わった。

メテオスでは行動を十字キーとボタン操作に置換する処理を脳内で行わなくとも、直感的に操作できる。メテオスのペン操作がいかに革新的なのかはメテオスを十字キーで操作すればすぐに分かる。十字キー操作を自然言語で記述すると「次に入れ替えを行う場所に移動するために複数回十字キーを押す、移動対象のメテオを選ぶためにAボタンを押す、連続して移動するときはAボタンを押し続けたまま十字キーの上下を何度か押す。」となる。しかも十字キーの移動速度はボタン連打の早さで変化する。なんと不自由で難解なことか。降り注ぐメテオを処理するときにジオライト星人はこんな事を考えたりしない。
今まで我々はこんな不自由を甘受していたのだ。

画面を見る→次に動かすメテオを探す→ペンで動かす

この単純化されたルーチンがメテオスの敷居が低く、奥が深く、そしてキモチイイ理由の一つだ。

横井軍平氏の忘れ形見である十字キーからの長きにわたる奴隷開放により、メテオスは飛躍的な高速操作を手に入れた。その結果、ゲームはよりスピーディによりダイナミックに変化する。1アクションに対して行う操作は1回ペンを動かすだけ。この1対1の操作のため、どんなに状況が悪化しても1秒に1回ないしは2回ペンを動かせば何とかなる。目にもとまらぬ早さでボタンを連打しなくてもいいのだ。例えば、100メテオアタックで8秒を切るようなタイムを出すときは少なくて6回、多くても10回程度だけ入れ替えれば100個のメテオを打ち上げることが出来る。

シューティングゲームの弾幕や音ゲーの高難易譜面と言った、ごくごく一部のマニアだけが突破の喜びを享受していた未体験の領域に初心者が容易に到達することが出来るようになった。あぁ!俺ってすごいかも!?そんな感覚がメテオスのもたらす快楽の一つだ。

不合理な操作法の拘束からの脱却により、より大局的に状況を見ることが出来る。逆に言えば画面全体に気を配らせなければならないゲームデザインになっている。画面全体を見る必要があること、直接さわる必要があること、それを考えるとメテオスはあの画面サイズのDS以外では考えられない。

また、画面全体を見る必要があるということ、ペン操作に正確性を求められることを考えると1プレイ数十分のゲームデザインは考えられない。どうしても疲労してしまう。1プレイ3分を限界として作られたのはテンポをよくするためだけではなく、それ以上の時間を連続してプレイすることが困難であることも意味している。5分のタイムアタックで他のモードと異なるトリップ感を得られるのは、ノリのいい音楽だけが原因ではなく、本来の集中力持続の限界を超えてしまうことも要因の一つではないだろうか。

もう一つパネポンとメテオスとの差違をあげると、メテオスはいつでもアクティブ連鎖(n次点火、ステップジャンプ)を始動できるということだ。パネポンで一度連鎖を始動すると連鎖が完了するまで次のブロックの供給が絶たれる。そのため、アクティブ連鎖の下準備を行いつつブロックを溜め、ある程度溜まった段階ではじめて連鎖を始動するという流れがある。それに対し、メテオは常に降り注いでいる。連鎖中にもタイムアクセルでメテオの供給を増加させる事も出来る。

ところで、開発者の桜井氏の言葉を借りるとゲームは「リスク」と「リターン」で成り立っているという。
ぷよぷよで連鎖のたねを仕込むのも、パネポンでアクティブ連鎖の仕込みを行うのも、そうしておくことで多くの得点や攻撃力、つまりリターンを得られるからである。

メテオスはその境界をある程度曖昧にしているのではないだろうか。
ぷよぷよにしてもパネポンにしてもリスクの蓄積フェイズから発散フェイズが明確に分離している。そのため、リスクの蓄積で手を誤ると飛躍的にリスクが増大して敗北する。一方でメテオスは任意のタイミングでリターンが行えるように感じられた。ガシガシ点火していけばとりあえずの危機脱出は可能だしある程度のリターンもある。だが、堪え忍んで全列打ち上げ状態にして、降り注いだメテオをたっぷりと載せた固まりを打ち上げたほうがリターンが大きい。そのどちらにも任意のタイミングで路線変更が出来る。

しかし、一概にはそのように言えない部分がある。

数十もの惑星が存在し、それぞれがまったく異なるパラメータの上に成り立っている。リスクが高まったほうが打ち上げ力が強い惑星もあれば、その逆もある。極端なパラメータの設定が行われているヘブンズドアではn次点火やステップジャンプの概念が存在すらしていない。

惑星ごとに別のゲームになっていると言っても過言ではない。もちろん、惑星を変えるだけでぷよぷよがパネポンに変わると言うわけではないが、ぷよぷよ通がぷよぷよSUNになるぐらいの違いがある。いや、それよりも大きいかもしれない。

異質な惑星が混ざり合っているにもかかわらず、このゲームの全体像は無矛盾に構築されている。
メテオスのこのパラメータチューニングは奇跡の産物だと言って良いだろう。

メテオスは恐ろしい。本当に恐ろしいソフトだ。


さて、無駄に長い文章をここまで読んでもらって非常に申し訳ないのだが、メテオスの面白さはやはり触ってもらわないとわからない。素人がダラダラと書いた文章で、屈指のクリエイターが時間をかけて構築したものを分かったつもりになるなどおこがましい。

だが、一つだけ言わせて欲しい。
いちゲーマーとしての実感でこれだけは確信している。
メテオスは歴史に残るゲームだ。
きっとメテオスは10年後も語られるソフトになる。

それをふまえて、少しでもメテオスに触れるゲーマーが増えることを私は祈っている。


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コメント

私もメテオス買いました。
丁寧な作りと新しい面白さに感心しました。
ここの日記も購入のキッカケになって良かったです。知り合いも購入したので2本は確定です。
ちなみに、私の母星はフロリアスです。

現在メテオスは持っているのは自分だけですが
対戦はしました。結構面白いです。

ただ、どうしても実力が出てしまうんですが
このゲームで怖いのは上達がめちゃくちゃ早い・・・
友人にお試し版をダウンロードさせましたが
一瞬で差が縮まっていき怖いもんです。はい。

友と一緒に買って、早速対戦してみたら見事にはまりました。
音楽もいいし最高です!

母星はアナサジを使っています。音楽がカッコいい!

私も「メテオス」は発売日に購入しました。忙しいこともありなかなか遊ぶ時間が取れませんが、これは非常に良いですね。濃い目のアク(パズルにしては)が人を選ぶ可能性も若干ありますが、私は何の文句もありません。桜井さんの作られるソフトに外れなし、と確信したのでした。

ところで本筋とは外れますが、文中にある「レビューとは「良いこと探し」である」という一文にはとても感銘を受けました。とある任天堂系ファンサイトでは、レビューの欄ではひたすら揚げ足取りに終始し、良作に対してもグダグダと文句を垂れ続けるという不快極まりない作りとなっています。それに比べるとこちらのレビューはとても気持ちがいい。近頃の任天堂ファンは文句をつけることだけに快感を感じているふしがありますが、「良いものは良い」ときちんと主張できるサイトの存在も不可欠。「揚げ足とり」も作品を語る上では必要なのでしょうが、きちんと作られた作品にはやはり褒めることが第一でありたいなと私は思っています。このサイトの良質性を、改めて確認させていただきました。

揚げ足取りって言うか、改善要求ですね。
改善要求はレビューというカテゴリに属するモノじゃないです。
そういうのはアンケートはがきの余白にでも書くのが良いでしょう。

私はまだまだやりこみが足らなくて全隠し要素も出てませんが
今の所サボンがお気に入り。
うっかり端っこ1列だけ残っちゃった時なんてその絶望感に
ゾクゾクするぅっ!

「長ぇよバカ」
すみません。
どうもありがとうございました。

何度読まさせて頂いても本当にいい気分です。
僕も心底同感です。
メテオスはすばらしいですね。恐ろしいソフトですね。
感動をありがとうございました。
なぜかお礼が言いたくて言いたくてしょうがなくなったので。

この長いレビューとひそレポを見て、今さらながらメテオスを購入致しました。
これは結構楽しめそうです。
また面白いゲームがあったら、長いレビューお願いします。

NDSのソフトのレビューを探してフラフラしてたらこちらに辿り着きました。
なんか楽しそうで、公式を見てますますそう思ったので購入を決意しましたが、ディズニー版のページでも書かれてるとおり、秋葉原まで行ってきましたがディズニー版しか見つかりませんでした。
中古なら2,3点あったのですが、せっかくなのでアマゾンで注文しました(もちろんこのページから)。
アマゾンだと1-2週間とのことで、待てずにマーケットプライスの新品を注文しましたが、そちらでもアフィつくのでしょうかw
届くのが楽しみです。

すばらしい記事に感動しました! メテオス大好きですっ! なのに周りに誰もメテオス持ってる人がいないんです。
やっぱりダメなのかなって諦めかけていたんですが、この記事を読んでなんか励まされました。
頑張ってメテオスプレーヤーを増やします!

最近またメテオスをやりはじめました
ぜひ新作をDSでだしてほしいです

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