「手のひらの露1〜3」を読んだ
友人のshachi氏の書いた「手のひらの露」全3巻を読了。
処女作ではあるのだけど、あれこれお仕事されている方なので"小説としては"処女作というただし書きが必要だろう。
京都を舞台にした、血の繋がっていない兄弟のお話。
兄は株のトレーダーで、弟は学生。主人公は弟。
デイトレード、京都の飲食店、料理、コンピュータ、ネットワーク、ハッキング、時事ネタなど雑多なジャンルを詰め込みながらも、それぞれの分野に疎い人にも、造詣のある人にも理解・納得できるレベルに情報量のバランスが取れている。
完全に自分の趣味をぶち込んでるな…という感じがして、登場人物の一人ひとりに著者の分身の一部が入り込んでいるように思える。
装丁やデザインも凝っていて、各章の扉ページが面白い。
1巻は、舞台となった場所の地図が示されている。
最近は毎年京都に行く用事があるので、このシーンはあのあたりだなと連想できて楽しい。
2巻は登場人物の略称と関係性が図で示されている。
Ygは主人公優吾、Tsは兄・手代木
3巻の扉ページが一番楽しい。エンジニア風のレシピ図だ。
料理の得意な主人公が作る手料理が再現されている。
本編にも料理の工程が割と細かく描かれていて、この図と合わせれば実際に作れそうだ。
1つだけシンプルかつ不可解なレシピ図が含まれているのだが、本編をみるとなるほどそういうことかと腑に落ちるのが面白かった。
全体のお話としては、いろんな事件は起きるし、警察も出てくるけど人は死なない。
余韻を持たせつつも、3巻できれいに話が終わっている。その後のストーリーは読者の想像にゆだねている感じ。
コンピュータ分野や株の話に、適度に嘘を盛り込んでいるが、実際の事件をベースにしている部分もあり、リアリティを感じた。何も持たない素人が株に手を出すと怪我するということがよくわかる。インターネット怖い!
最後に、1日遅れになりましたが、shachiさん誕生日おめでとうございます!
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