2004年11月30日

任天堂の20世紀、任天堂の21世紀 5章:NINTENDO64 1997年(2)


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出揃うソフト
6月に入ってから「スターウォーズ帝国の影」などが発売され、月に2,3本程度というペースであるが次第にソフトが出そろってくる。しかし、相変わらずジャンルは3Dアクションに偏ったままで本体の普及もままならない。そんな中、8月23日にレア開発、任天堂発売の「ゴールデンアイ 007」が発売される。同名の映画を題材とした主観視点型3Dガンアクションといういかにも一般受けしないジャンルで、まったく売れる要素のないソフト。しかし、購入したユーザーの評価は非常に高かった。従来のような爽快に敵を打ちまくって先へ先へ進む単純なゲームではなく、スパイさながらに遠くからライフルで狙撃したり、敵に気づかれることなく静かに行動したり新鮮な快感がある。そして、なにより対戦プレイの評判が非常に良い。相変わらず難易度は高いのだがレアの底力を見せつけるソフトであった。海外ではマリオ64に次ぐ売り上げとなる700万本以上の売上げを達成し、様々な賞を受賞。のちにレアは同じシステムを使ったソフト「パーフェクトダーク」を発表する。

2度目の年末商戦
レアは11月21日にも「ディディーコングレーシング」を発売する。ドンキーコングの相棒のキャラクターを使ったレースゲームで難易度は高めだが、完成度も非常に高い。このころにはサードパーティーも次第に増え、様々なソフトが出揃うが、パッとしたものがない。年末には任天堂もスーパーファミコンの名作「ヨッシーアイランド」の続編に当たる「ヨッシーストーリー」を発売するが、低年齢層に向けた内容で前作と同じような期待していたユーザーからは不満の声が挙がる。ディディーコングレーシングとヨッシーストーリーはクリスマス、正月商戦にのって好調なセールスを示し、NINTENDO64ユーザーの中心が低年齢層であることを改めて認識させられる。

ROMカセットであることのデメリット
そのヨッシーストーリーで1つの問題が発生する。発売後、買いに行っても店頭に置いていないのである。単純に考えれば任天堂が発売本数を見込み間違えただけなのだろうが、カセットの生産には時間が掛かるという決定的な欠点がある。CDならば再販に1週間あれば大丈夫だと言われているが、カセットの場合そうはいかない。それで、あらかじめ発売日以外にも入荷日を設定し、売り切れた頃に再び店頭に並ぶようにしていた。いわゆる分納である。小売店は発売日に大量に仕入れたいのに問屋が卸してくれない。ユーザーも欲しいときに入手できない。下手すればユーザーの購買意欲がさめてしまうことになる。値崩れも起りうる。結局のところ、ヨッシーストーリーが年明けまで売れ続けたのはこのためではないかと思われる。

発売から1年半になるNINTENDO64は、まだまだ決定打不足と言える状態だ。

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スターウォーズ帝国の影

映画版スターウォーズのエピソード5と6の間に位置するサイドストーリーをゲーム化。映画には登場しない反乱軍の貨物船船長ダッシュ・レンダーが主人公。ルーク・スカイウォーカーやハン・ソロも登場する。

開発は任天堂ではなくルーカスアーツ。ステージにより3Dシューティングや3Dアクションなど異なるジャンルのゲームが楽しめる。

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ゴールデンアイ 007

1995年に公開された人気映画シリーズ17作目のゲーム化。軍事システム「ゴールデンアイ」を巡り、冷戦後の世界で犯罪組織ヤヌスに007ことジェームスボンドが立ち向かう。映画ではティモシーダルモンに代わり新ジェームズボンドとしてピアースブロスナンが主人公を演じた。

プレイヤーの視点=主人公の視点となる1人称タイプの3Dガンアクション。いわゆるFPSである。映画のストーリーに沿ってミッションを1つずつこなしていく。単純に銃やマシンガンで敵を撃ちまくるのではなく、コンピュータからデータを盗む、アンテナを使用不可能にするなどスパイとしての任務を遂行するのが新鮮。敵に見つかって警報をならされたり、不用意に大きな音を出すマシンガンを撃ちまくると敵が集まってきて任務遂行が困難になるため、慎重に行動を行う必要がある。スコープのついたスナイパーライフルで遠方から気づかれないように敵を打ち抜くなど息をのむアクションが楽しい。また、2人~4人で派手に撃ち合いをする対戦モードも非常に盛り上がる。

CMでは映画評論家の水野晴郎氏と浜村淳氏がジェームスボンドの扮装で登場したが、ゲームのイメージと一致せず不評だった。

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ディディーコングレーシング

ディディーコング、バンジョー、コンカーなどのキャラクターが陸上を走る自動車、水陸両用のホバークラフト、空を飛ぶ飛行機を駆使していくつものコースを競い合うレースゲーム。

8人のレーサーの中で1位をとる、コース状に点在するコインをすべて集めつつ1位をとる、ボスよりも早くゴールに着くなど様々な条件がコースに設定される。コース上にはスピードアップ用のバナナ、攻撃用のアイテムなどが手に入るバルーン、加速用のダッシュゾーンなどがあり、コース設計もバリエーション豊かで楽しい。。難易度は非常に高く、ボス戦はダッシュゾーンを1つも残さず通る必要がありミスはゆるされない。最終ボスとのレースは数十回程度のリトライじゃ済まされないだろう。ちょっと見るとマリオカート64に似ているが、作り込みが遙かに凄い。ダッシュゾーンやコインなどの位置が絶妙。見た目のポップさとは逆で、やり込みがいのある本格的なレースゲームだ。そのため、対戦は運の要素が低く実力差が出やすい

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ヨッシーストーリー

スーパーファミコンで発売されたヨッシーアイランドの続編。時代的にはヨッシーアイランドよりも前になる。絵本に閉じこめられたヨッシー達がベビークッパを倒すために冒険をする。

2Dでありながら3Dスティックを使用する、ゴールは存在せず30個のフルーツを集めた時点でステージクリアとなる、制限時間が無いなどスーパーマリオタイプの横スクロールアクションの新境地をNINTENDO64という新しいプラットフォームで模索した作品。2D性能は劣るとされたNINTENDO64において、毎秒60フレームの描画による高品質の画像を提供。特にパッチワーク風、段ボール風、ビニール風など素材感あふれるグラフィックは今までにない新鮮さを感じさせる。だが、ゴールや制限時間を排除したためにメリハリがない、オマケ要素が少ないために努力に対する見返りが少ないなど不満が多く残る。しかし、このソフトのメインターゲットである低年齢層には後半が若干難易度は高く感じられる難点はあるものの、残虐性もなく薦められる内容である。


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2004年11月30日:任天堂の20世紀、任天堂の21世紀 6章:NINTENDO64 1998年(1)
2004年11月29日:メテオスがヤバイ

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