2020年04月08日

緊急事態宣言が発令された日の雑感


スポンサーリンク

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延に伴い緊急事態宣言が発令された。
私の住む福岡も宣言の対象で、当面は自宅にこもって仕事をすることになった。

世界全体を不安が覆い、ここまで影響の範囲が大きい災害は歴史的にもまれだろう。
この状況で私自身がどのような心境であったのか、どんな事を考えていたのか、記録を残すことは大事だろうと思い、頭の中に溜まった感情を吐き出すことにした。
読ませるためのものではないので、とりとめがなく、矛盾や誤解を含んだ内容となることをご了承いただきたい。

誰もが当事者

地震や戦争は、その現場では大きな被害が発生するが、離れた場所では直接的な影響はない。今回のコロナ禍は、グローバル化がもたらした感染の範囲の広さ故に、世界中のほとんどの人が当事者である。

みんな、誰かに手を差し伸べる余裕はなくいっぱいいっぱいになっているように感じる。
日々情報がアップデートされ、1週間前に言われていたことが、否定されることも多々ある。
新型コロナ絡みのいざこざも多い。ウイルスと戦うために議論を交わすのは大いに結構だが、議論の武器としてウイルスを持ち出すのはやめてほしい。それは、誰かを叩くための道具ではない。悪いのはウイルスだ。悪人探しをしてもしょうがない。

【健康】とは「病気になっていない状態」だけではなく「肉体的にも精神的にも社会的にも満たされた状態」を意味する。
緊急事態宣言が発令され、社会的な制約を受けて、精神的にも傷つけられている我々は、すでに健康な状態ではない。
「ウイルスとの戦いに勝利する」と言う人もいるが、多くの人の命が奪われ、大多数の健康が失われた状況はすでに負け戦で、勝利条件はすでに失っている。我々は勝つための戦いではなく、負けを最小限に抑える撤退戦を展開しなくてはいけない。

大変な状況ではあるが、みんな自分と、自分の大事な人を守ることに専念してほしいものだ。

コロナ宝くじ

感染が広まっているとはいっても、日本の人口と感染者の比率を考えれば、よほどのことがない限り感染することはないし、感染した上で必ず重篤化するわけでもない。
手洗いを徹底し、気をつけて行動していればだいたい大丈夫だ。
…などと、考えてるとひどい目に会う。

確率が低いことと、確率がゼロであることはイコールではない。
しかも、感染したときのダメージが非常に大きい。本人も苦しいし、死ぬかもしれないし、周りも大迷惑だ。場合によっては感染したことが多くの人に知らされ、非難を浴びることもある。
確率が低くて当たるとでかい。要は宝くじだ。

当たることがほとんどないのに人々がなぜ宝くじを買うかというと、当選したときに人生を変えるほどの金額が手に入るからだ。

当たると人生が変わるほどの苦痛を味わう宝くじを買うのは馬鹿らしくないか?なるべく当たる場面から逃げよう。

感染していることを前提とした行動を

感染を避けるための行動指針として「移されないようにする」よりも「移さないようにする」のほうが理にかなっているように思う。

自分がすでに感染していると思えば、外出を控えるだろうし、人と会話するときも距離を取るだろう。まして、飲み会に参加したいなどと思わないだろう。
大事な仕事をしている場所や、大事な人の前にわざわざウイルスを持ち込むような真似をしない。
手も徹底的に洗うし、触ったところはアルコール消毒したくなるに違いない。

たくさん栄養をとって、たくさん寝よう。

9年前よりデマは減った?

東日本大震災のときはなにか記録を残していたのか確認したら、デマをRTする行為を非難していた。
災害時、あなたの善意で、人が死ぬ

今回の新型コロナ関連のデマが多数出回っているし、それをろくに読まずにRTする人がたくさんいる。9年前と同じだ。

世界は複雑で、あらゆる側面があり、正しく言葉で表すのは難しい。
わかりやすい情報はすっと頭に入ってくるので正しい情報だと認識しがちだが、わかりやすさは正しさを担保しない。
たいていの正確な情報は、シンプルではないし、素人にはわかりづらく、断言されていないことが多い。

ただ、以前よりはデマに対するカウンターは働いているように見えるし、人々は冷静になっているように感じる。
不確かな情報にエビデンスを求める動きをよく見るようになった。

しかし、冷静であるがゆえに起きている弊害もある。
トイレットペーパーが入手困難になったのは、「中国から輸入できなくなり、トイレットペーパーがなくなる」というデマではなく、「トイレットペーパーがなくなるというデマのせいで品薄になっている」という情報をみて「デマに騙された人が買う前に買わなきゃ」という冷静で合理的な判断のもとで購入者が続出したせいだと言われている。
買いに走った人の大半がデマがデマであると理解している。

さらに加えると、ここまで品薄になるのは冷静であることに加えて「困っている家族(友達)のぶんも買わなきゃ」という自己(+α)中心な考えの人たちのせいだと思っている。彼らはそれを周りに配って、その人達からは感謝される。だから良いことをしたと思っているし、彼らの視界に入らない一つ外側の人たちのことなど考えてはいない。「多めに買ってあるから分けてあげる」と言われたときに感謝するのではなく買い占め行為を叱る勇気も必要かもしれない。

まあ、彼らも自分と自分の愛する人達を守るために必死なのかもしれないが、せめて買い占める前に、周りで本当に緊急の需要があるかどうかぐらいは確認してほしいところである。

すこしずつ不便になろう

「公衆衛生」は、地域社会が努力して健康を阻害する要因を排除して社会全体を良くしていく技術だ。
目的を達成するためにはコストやリスク、不便がともなう。
例えば、下水はそのまま垂れ流したほうが手間がかからないが、コストを払って下水道を整備すれば伝染病の発生が抑えられる。痛くてお金もかかるワクチン接種を徹底することで天然痘を撲滅させた。

在宅勤務や文化活動の自粛は苦痛を伴うが、社会全体の健康を守るためのコストとして背負っていかなくちゃいけないのかなと思う。
社会が変化したのだから、今まで通りではいられない。
みんなが少しずつ不便を我慢して、ウイルスの脅威が去るのを待とう。

その中で工夫して、自分自身の精神的な健康も維持する必要がある。

退屈に、救いを

3月上旬にあらゆるエンターテインメントが消えていく様子を見ていてとても悲しかった。
大好きだった志村けんさんの命まで奪っていった。

その、喪失感を補えるのも文化活動だと思う。

海外の動画で、自宅から出られなくなった人たちがベランダで音楽を奏でているものを度々見かける。
日本でも、星野源さんの弾き語り動画に別のアーティストがコーラスを合わせた動画を披露している。

各出版社は多くの電子書籍を無料化した。
数十巻ある漫画の大半を無料で読めるようにしたり、連載中のWeb漫画を第1回から全部無料にしたり、週刊漫画誌を何号も無料にしたり、もちろんそれは宣伝活動の一環なのだろうけど、不急不要といわれたエンターテインメントが人々に力を与えるところを見せたいという思いも含ませていただろう。

ウイルスは我々から真っ先にエンターテインメントを奪っていったが、ウイルスがもたらす退屈から救い出してくれるのもエンターテインメントだと思う。

世界は確実に前に向かっている

ウイルスがここまで急速に拡大したのは、人類が得た技術で世界中どこにでも格安で容易に移動できるようになり、社会活動がいち地域で収まらずに世界中で人と物が飛び交うことが前提の文明になっていたせいだ。ある意味、技術の進歩がウイルスの爆発的拡散を招いたと言える。

今の時代、工業製品を一つ作るために、世界中のあらゆる国の材料、技術をまとめ上げる必要があり、国境閉鎖状態が続くとスマートフォンの新製品を発売することもできないだろう。

だが、技術の進歩はウイルスと戦う武器にもなっている。
世界中のあらゆる感染データをほぼリアルタイムで全世界の人間がみられるようになっている。ウイルスに対抗する医療機器やワクチンの研究開発もものすごい速度で進んでいる。
インターネットのおかげで、外出禁止令が出ても(業種によっては)仕事ができる。

遠隔医療やオンライン授業が急激に普及し、必要のない会議や商談がどんどんなくなっている。わざわざ印刷して判子を押す業務フローも見直されている。

ウイルスの影響で不便がものすごい勢いで解消されているし、選択肢が増えている。
授業や仕事のために家を出ないという選択肢が生まれている。

ウイルスの脅威が去ったあとも、選択肢は選択肢として残しておくべきだし、かならずしも必要ではないと判断したものはそのまま廃止してもよいだろう。

新型コロナだったかもしれない

…と、いろいろ偉そうなことを書いたが、思い返すと危機感が足りていない行動をしていた。
日本で新型コロナの驚異が現実的になってきたのは2月末頃だったと記憶している。
ちょうどそのタイミングで複数の友人とそれぞれ遊ぶ約束をしていて、結構楽しい日々を過ごしていた。

IMG_8330.jpg

閉園が決まる少し前のディズニーランドに行けたことはかなり幸運だった。
すでに自粛ムードがあり、普段より人がまばらで、それでも自分たちはこの未曾有のウイルス騒動の当事者ではないと思っていた。

3月上旬に、あらゆるイベントが中止になっていたころ、風邪を引いて寝込んでいたがタイミング的に最悪だったので念のため4日待ってから福岡市の新型コロナ相談窓口に電話して病院に行った。コロナ検査を受けることはなく、インフルエンザは陰性、すでに熱も引いていて、あの風邪がなんだったのか未だに不明だ。咳がほとんどで、くしゃみはなく、鼻水はなし。嗅覚の異常はなかった。
完治後もしばらく外出を控えていたし、症状が出ている間は人とほぼ会っていないのでコロナだとしても感染は広めていないと思う。

風邪が治って2週間ほどはおとなしくしていたが、開花宣言が出る直前にも遊び回ってる。

3人でスワンボートに乗った。たのしかった。

IMG_8630.jpg

公園だし大丈夫だろと思ったが、夜に焼鳥食べに行ってるので全然ダメだし、その後も自宅に人を招いてあそんだりしてたのでダメ。


スポンサーリンク


この記事の前後の記事
2020年09月28日:「2.5次元の誘惑」がとにかく熱い
2020年04月05日:24年前、真賀田四季は「他人と実際に握手をすることでさえ、特別なことになる」と言った

最新記事
2024年07月10日:任天堂とアクセシビリティ
2024年06月28日:任天堂株主総会レポート2024
2024年06月16日:10年ぶりにテレビ周りを刷新した話
2024年05月01日:次世代Switchの現実味のある予測(2024年5月現在)
2024年02月20日:3万アカウントの凍結を見届けた 趣味としてのTwitter(X)スパム報告
2023年06月25日:任天堂株主総会レポート2023
2023年06月21日:レビュー:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム
2022年06月30日:任天堂株主総会レポート2022
2022年03月15日:Hue Sync Boxで映像とゲームを画面の外から強化する
2021年03月11日:シンエヴァを鑑賞した人たちを鑑賞した[ややネタバレあり]



- N-Styles -