2018年12月21日

ドルビーシネマとスクリーンXを体験してきた


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福岡市の映画館は、ここ数年大きな動きを見せている。
2016年のホークスタウン営業終了に伴うユナイテッド・シネマ福岡の一時閉館、2017年のビル建て替えに伴うTOHOシネマズ天神本館の閉館と、映画館の閉鎖が続き、主要シネコンはキャナルシティのユナイテッド・シネマ キャナルシティ13と博多駅のTジョイ博多の2館のみとなった。ほかは、中洲大洋映画劇場とKBCシネマ、TOHOシネマズのソラリア館と2,3スクリーンずつのミニシアターのみとなった。

ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13とTジョイ博多の2強争いで、先に動きを見せたのは、キャナルシティ13だった。
2015年のフォースの覚醒に合わせ、可動シートや雨風のエフェクトを楽しめる4DXを導入。2016年には日本初(そして2018年現在も日本唯一)の食事ができるシアター、プレミアム・ダイニング・シネマを導入した。
すでに導入済みのIMAXシアターと合わせて、13スクリーン中3スクリーンが特集上映用となった。

映画上映中に食事ができるプレミアムダイニングシネマを体験してきた | N-Styles

交通アクセスが格段にいい博多駅直上のTジョイ博多と比べて、駅から離れたキャナルシティ13は、いろいろ工夫しているようだ。4DXとIMAXはともかく、プレミアム・ダイニング・シネマはあまり客が入ってなさそう。

ドルビーシネマの衝撃

一方、オープン以来ずっとオーソドックスなスクリーンを提供していたTジョイ博多はついに特殊上映スクリーンを設置した。日本初上陸の『ドルビーシネマ』である。

ドルビー社の映画館向けシステムとしては「ドルビーアトモス」がすでにいくつかの映画館に導入されている。

ドルビーアトモスは簡単に言うとシアター内の壁や天井に大量にスピーカーを設置してそれぞれ個別に制御するシステムだ。5.1chや7.1ch等のサラウンドシステムと比較して、きめ細かに音の方向が区別されるので、対応した映画をドルビーアトモスで鑑賞すると、臨場感のある音を楽しむことができる。

音を充実させたドルビーアトモスに対し、ドルビーシネマは音だけでなく映像にもこだわったシステムだ。ドルビービジョンに対応したスクリーンの明るい部分はとことん明るく、暗い部分はとことん暗くしたHDRを採用し、没入感を高めている。シアター全体の設計もドルビーシネマの規格に沿う必要があり、スクリーン以外の光源が視界に入らないよう、壁やシートは光を反射しない素材が使用されている。当然のごとく、サウンドにも力を入れていて、ドルビーアトモスも内包している。
つまり、ドルビーアトモス+ドルビービジョン+α=ドルビーシネマということになる。

IMAXシアターに近いイメージではあるが、IMAXはあくまでスクリーンとサウンドの規格でしかなく、IMAXシアターであっても館内の設計は各映画館が自由に行っている。それに対し、ドルビーシネマは、基準に沿ったシアターデザインをしないとドルビーシネマを名乗れないようになっている。

シアターデザインで最も驚かされるのはエントランスだ。
一般的なシネコンにおけるシアターの入り口は、シアター番号が書かれた入り口に作品のポスターが飾っている程度だが、ドルビーシネマは入り口から驚かされる。

エントランスが動画。
普通はなにもない黒い壁があるべき場所に、横幅十数メートルのスクリーンがあり、天井に埋め込まれた複数のプロジェクタが横長の映像を流している。ちゃんと上映中の映画に即した内容で、音楽も流れている。

エントランス部分で通路は左右に分かれていて、角を曲がるところまでスクリーンは続いている。
角を曲がると、非常に暗い通路が続く。

IMG_4635.jpeg

シアター内は非常に暗い。
シートはフカフカで、改装前のものと比べるとゆったりとしている。そのせいで座席数は減ってしまった。421席だったのが、346席になった。
エキスポシティのレーザーIMAXほどではないが、スクリーンはとても大きい。

最初に鑑賞したのは、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の2D版。
現在公開中の「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」の前作に当たる。
ドルビーシネマオープン記念でのリバイバル上映である。

宣伝映像のあとで、ドルビーシネマのデモ映像が流れる。
IMAXや4DXなどの特集上映シアターではデモ映像でその実力アピールしてくるので、ドルビーシネマがどういう映像を流してくるか楽しみだった。

とにかくすごかった。
黒い。とにかく黒い。
シアター内が真っ暗になる。
コントラスト比が半端ない。

今まで見ていた映画のスクリーンは、黒い部分が黒ではなく「灰色」だったのだと思い知らされた。
映画館のスクリーンは、投影された映像をきれいに写すために光を反射しやすい素材になっている。それなのに、黒い部分がとことん黒いというのは衝撃的だ。
どれだけ黒いかというと、スクリーンの端と壁や床との境目がわからないレベルだ。
通常のスクリーンより若干縦長のようで、上映中はスクリーンの上下に黒帯が出ていたのだが、暗めのシーンだと黒帯部分と床や天井の境目が全くわからなくなる。

保安上の理由で、上映中も階段だけは少し明かりがついている。しかし、中央の座席で正面を向いている状態であれば視界に入らず、ほぼ真っ暗闇の状態だ。
座席番号もみづらくなるので、上映中は席を探すのは難しいだろう。遅刻厳禁だ。

コントラスト比がこれだけ高くなると、映像のメリハリが際立ってくる。
「黒い部分が本当に黒い」というだけでこれほど映像が美しく映えるのかと感動した。

このコントラスト比がもたらす衝撃は、どれだけ言葉を尽くしても伝わらないと思う。
実際に見に行ってほしい。

後日、続編の「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」をドルビーシネマ3Dで鑑賞した。

これもまた凄かった。
立体感がものすごい。今までの3D映画は何だったのかというレベル。
しかし、3Dメガネを装着している分、映画への没入感は損なわれる感じがするので、どちらかというドルビーシネマは2D版をおすすめしたい。

スクリーンXのエンタメ感

ホークスタウンの閉鎖に伴い閉館していたユナイテッド・シネマ福岡が、ホークスタウン跡地に建設されたマークイズももち内に「ユナイテッド・シネマ福岡ももち」として復活。
その目玉として投入されたのが「スクリーンX」である。

ドルビーシネマは映画を映画としてとことん堪能させるシステムだが、スクリーンXは方向性としては映画プラスアルファの楽しみをもたらすシステムだ。

シアター内の左右の壁がスクリーンになっていて、正面と左右の3面映像が楽しめる。

すごい力技感がある。
こちらも「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」を鑑賞した。

映画全編が3面スクリーンになっているわけではなく、迫力のある30-40分程度のシーンで視界が広がるようになっている。
バトルシーンはほぼ3画面。魔法省など、特殊な場所に移動したときもその空間を見せるために3画面になる。
映画製作時に使用したCGなどを流用して左右画面を作成しているようで、中央スクリーンとの境目もあまり違和感はない。

IMG_4691.jpeg

おおむね楽しめたが、3画面シーンとそれ以外のギャップが激しい。
左右の壁が投映用の銀色の壁紙となっていて、1画面シーンだとスクリーンの光を反射してしまい、シアター全体が明るく感じる。直前にドルビーシネマを見たあとなので、違和感がすごい。

スクリーン内にとことん没入させようとするドルビーシネマ、スクリーン外に映画を拡張するスクリーンX、この2つは完全に対照的だが、映画というエンターテインメントに付加価値をもたらそうという思想は同じだ。
特殊上映好きとしてはこういったシアターが増えることは歓迎したい。

ちなみに、海外には「スクリーンX with 4DX」という狂ったシステムが存在する。
3画面+動く座席+振動+風+水しぶき+雪+フラッシュ…という全部盛りの上映システムだ。スクリーンに集中させる気はまったくなさそうでさる。


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