2017年06月20日

「映画 山田孝之3D」はとんでもない映画だった


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映画 山田孝之 3D」を観た。

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テレビ東京で放送されたドキュメンタリー風ドラマ番組(モキュメンタリー)の「山田孝之のカンヌ映画祭」において、俳優の山田孝之がカンヌ映画祭に出展する映画を作るために奮闘するのだが、その結果がこの映画である(と認識している)
本来であれば、テレビ版を観た上で鑑賞すべき作品なのだろうが、様々な要因によりまったくの予備知識ゼロでこの映画を観ることになった。そのため、テレビ版鑑賞済みの人たちとは感想が大きく異なることはご容赦いただきたい。

とっとと本編の感想に移ってもいいのだけど、せっかくなので観ることになった経緯を説明すると、2016年1月に公開された映画「KING OF PRISM by PrettyRhythm(キンプリ)」の登場キャラ、カヅキとタイガの誕生日を祝うリバイバル上映(応援上映)が今年のゴールデンウィークに行われて、それを鑑賞したときに、山田孝之3Dの予告が流れて「おいおい、なんだこの映画、どういうことだよ」と気になっていたのだが、キンプリの続編である「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(キンプラ)」が6月10日に公開され、何度か鑑賞し、19日に11回目の鑑賞後、次はいつ観に行こうかとスケジュールを確認したらその日のレイトショーで山田孝之3Dが上映されていたので、怖いもの見たさでチケットを取って飛び込んだわけなのである。レイトショー割引と3D特別価格で、1600円だった。キンプラの特別鑑賞料金と同額である。

さて、山田孝之3Dなのだが、レイトショーとはいえ福岡で唯一の上映館であり公開3日目だというのに両手の指で数えきれるほどしか客がおらず「おっ、これはすごいところに来たぞ」と少しわくわくしてきた。

タイトルや予告編から想像していた内容は、山田孝之が自分語りをしつつ、様々な演技に挑戦する感じで、3Dならではの演出があるかなと思っていたのだが、概ね正解だった。正解だったのだが、自分語りの尺が長い。異常に長い。9割は自分語り。

しかも、椅子に座ってる。動かない。全く動かない。
カメラからの距離も微妙に遠いから、立体感もあまりない。

話しながら身振り手振りをするが、大げさに手を伸ばしたときに多少3D感があって少しうれしい。

合成用のグリーンバックの部屋に椅子が置かれていて、背景には山田孝之の自分語りに即した映像が流れる。3D映画なので奥行きを感じる。たまに山田孝之の手前にも映像が流れる。それほど高度な映像表現ではなく、透明なスクリーンが山田孝之の前後に1枚ずつ置かれている感じ。

全体的に3Dへのこだわりは薄く、ホタルについて言及しているシーンでCGのホタルが飛んでいるのだが、ホタルが上下左右にしか動かない。前後への動きはないように見える。

特集上映が好きなので、さまざまな3D映画を観てきているが、この山田孝之3Dではいままで3D映画で感じたことのないすごい体験をした。

3D映画は、右目用と左目用の二台のカメラで撮影し、両方の映像をスクリーンに投影して特殊な眼鏡で片方の映像だけをそれぞれの目に入れることで視差を与えて飛び出して見えるようにする仕組みだ。ここでもし、右目には赤い丸が見えていて、左目には青い丸が見えているような、視差以外の違いがあれば、赤と青がチカチカと点滅しているように見える。3D映画では絶対やってはいけないタブーだ。

山田孝之3Dでは、それをやってしまっている。おそらく照明の影響だろうが、グリーンバックと髪の境界線の切り抜きが左右で違っていて、左右で色の違う映像が出力されてしまっている。髪の輪郭が黒い映像と白い映像が同時に両方の目に飛び込んできて、髪の毛の輪郭が白黒の点滅をし続けているのだ。しかも一部のシーンではなく、かなりのシーンで。

髪の毛の輪郭を加工する手間を省くためか、山田孝之は3D撮影シーンでずっと帽子をかぶっているのだが、襟足が長めでそこがずっと点滅してしまっている。髪を切っておくか後ろに流しておくべきだった。

自分のルーツを辿って、鹿児島の実家跡地に訪れるシーンがあるが、ここは3Dメガネを外していい。おそらくテレビ用で撮影したシーンで、3Dカメラが用いられていない。ハイビジョン撮影だから、映画のスクリーンには合わず、左右に黒帯も出ている。

本人も映画の出来については色々思うところがあるようで、舞台挨拶でも結構きわどい発言をしている。

個人的には山田孝之の出演した「凶悪」は割と好きなのだが、彼の演じる記者が、ピエール瀧が演じる殺人犯に取材をするシーンにおいて、彼がどのようにこだわって演じたのかを語るシーンは大変興味深かった。あの作品ではピエール瀧とリリーフランキーの演技に食われている感はあったのだが、山田孝之に注目してもう一度観たいと感じた。

また、漫☆画太郎作品について言及するシーンも有り、漫☆画太郎ファンにはたまらない映像も流れる。

映像がトンチキなだけで、語ってる内容はしっかりしている。ただ、映画館で金を払って効くような話ではないと感じた。B級映画を面白半分で観に行くつもりでチケットを取るとだいぶ後悔するだろう。

しかし、山田孝之を語る上では通るべき道であり、「えっ?山田孝之3Dも観てないのに山田孝之を語ってるの?」という謎マウンティングには使える。しかし、この映画がモキュメンタリーから派生した作品であることを考えると「えっ?山田孝之があんな作品で本気で自分語りしてるわけないでしょ」という更に上位の攻撃を食らう可能性がある。
そういう意味では既に山田孝之の術中にはまっているのかもしれない。


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