Kindle PaperwhiteとKindle Voyageを同時に購入して、Paperwhiteを返品することにした
"Kindle"は、amazonの電子書籍サービスの名称であり、専用の電子ブックリーダーの名称でもある。いままで、サービスとしてのKindleは利用していたものの、モノとしてのKindleは所有していなかった。ちなみにKindle本は400冊以上所有していて9割以上が漫画だ。
もともとiPhone6 PlusのKindleアプリで十分満足していて、これ以上デジタルガジェットを増やすメリットはさほどなかったのだけれども、キャンペーン中でタダで試せるし、amazonプライムに加入しているとKindle(PaperwhiteでもVoyageでもない、無印モデル)なら3980円という信じられない値段だったので、よーしKindle試してみるかという考えに至ったのである。
結局、ライトのついていない無印Kindleは解像度も低いのでおすすめできないという周囲の声を受けて、Kindle Paperwhiteを買ったのである。もともと「欲しくて欲しくてしょうがないから買った」という状況でもないので、極端に低い期待のもとで入手したこともあり、その割には思いの外快適に使える端末であることが判明し、「それなら最上位モデルにも手を出しちゃえ、どうせ返品できるし」ということで、Paperwhiteを購入直後にKindle Voyageも注文したのである。
実は、amazonは各Kindle端末に対し「気軽に試せる返品保証。30日以内の返品で全額返金」のキャンペーンを現在行っているのである。いくら使い込んでも返品できるし、その時の送料まで負担してもらえる。ただし、4月末までに購入する必要があるので、わりとギリギリだ。
そういう経緯で、別に必要としていなかったKindle端末が手元に2つある。
それぞれ使ってみた結果として、Paperwhiteを返品して、Voyageを手元に残すことを決めた。
それぞれの製品比較の詳細はamazonのサイトにある比較表を見たほうが早いが、実際に比較して感じた大きな違いは3つある。
左からKindle Paperwhite、Kindle Voyage、iPhone6 Plus
あると嬉しい感圧ボタン
まず、一番大きな違いは感圧ボタンの存在だろう。Paperwhiteには存在しないボタンが画面の両端に2つずつ備え付けてある。
下の縦長のボタンが順送り、上の丸い小さなボタンが逆送りの機能を持つ。
※以下の画像は動画です。スマートホンでの閲覧の場合は画像をタップすると再生されます。
サンプル出典:松浦だるま「累」1巻
これは圧力を感知するタイプのボタンなので、触れたままでも反応はせず、グッと押しこむことで反応する。
片手でフレームを持ったまま、少し力を込めるだけで次のページが表示されるのだ。
一度指を離す必要がある画面タップやスワイプに対し、持ったままでいい感圧ボタンは片手持ちと非常に相性がいい。
画面が切り替わるときに画面が反転しているのは電子ペーパーの特性によるものだ。
液晶の場合はドットごとに異なる光が常時点灯している状態だが、電子ペーパーは画面をその都度印刷しているイメージになる。
だから、電源を切っても画面に内容が表示されたままになるというメリットがあるし、反応も液晶と比べると遅いデメリットもある。特にスクロールのようなミリ秒単位で何度も画面を書き換えるような処理は苦手だ。
搭載されたCPUパワーの差で、PaperwhiteよりもVoyageのほうがページ切り替えが明らかに早い。
起動時の測度を比較するとこのような感じ。左がPaperwhite、右がVoyage。
画面サンプルは小山 ゆうじろう+イーピャオ「とんかつDJアゲ太郎」1巻。とんかつ屋とDJが同じであることに主人公のアゲ太郎が気づいた感動的シーンだ。
微妙な差ではあるが、Paperwhiteは画面タッチ後にやや待たされる感じで本当にページ送りできたかどうか不安になる。
その面でも、物理ボタンでのページ送りはわかりやすくていい。押した時にバイブレーションでのフィードバックがあるからだ(設定でOFFにもできる)
ようやく合格点が出せる解像度
解像度の高さも、漫画読みには嬉しい。
Paperwhiteが212ppiであるのに対して、Voyageは300ppiだ。
2010年発売のiPhone4にも劣る解像度であるものの、十分実用的だ。…というか、Paperwhiteはわりと漫画読みにはつらいレベル。
Paperwhiteがギリギリアウトで、Voyageがギリギリセーフという印象を受けた。
合格点を与えられる壁をやっと乗り越えたと評価する。
この感覚かなり微妙で繊細なので、実際に現物を見てもらわないと伝わりづらく、写真に撮ってネット経由で見せてもおそらく半分も伝わらないだろう。
ダメ元で例示するとこんなかんじだ。
サンプル出典:得能正太郎「NEW GAME!」1巻
Paperwhite
Voyage
iPhone6 Plus
スクリーンショット機能で取ってきた画面をトリミングした。
実際の画面で見ると印象がだいぶ違うので、参考まで。
特にiPhone6 Plusは互換性と特殊な解像度を実現するためにスケーリング処理が入っているのでぼやけていて、スクリーンショットと実際の画面の違いが大きい。
そもそも画像のソースであるKindle書籍の解像度がそれほど高くないので、Voyageの解像度があれば十分ソースの解像度は再現できているのではないだろうか。
地味な違い、フレームの厚み
3つめの違いはフレームの厚みだ。
Peperwhite
Voyage
画面の角をよく見ればわかるが、Paperwhiteのフレームは厚みがあり、画面が奥に引っ込んでいる。
それに対し、Voyageのフレームは画面と同じ高さだ。
端末自体の厚みもPaperwhiteのほうが厚く、重い。
地味な違いだし完全に好みの問題なので、理解してもらうのも難しそうだが、私はこの段差が嫌いだ。
Wii Uゲームパッドでも、ニンテンドー3DSでもそうなのだけどこの段差があるせいでゴミが溜まる。画面を拭いても端まで綺麗に拭き取れない。それがたまにイラッとする。
まあ、タッチ操作をする端末で画面とそれ以外を明確に分けることは必要なことなのかもしれないが、なんというか美しくない。
買いか、否か
PaperwhiteとVoyageの違いを重点的に見てきたが、両方に共通するメリットとしては圧倒的な電池のもちの良さがあげられるだろう。
バッテリーはライトを点灯させても毎日30分で数週間持つという。数週間というのも曖昧だが、割とヘビーに使っても少なくとも数日間は充電は不要なのは間違いない。これはかなりありがたい。これで、本を読んでいる間はスマホやタブレットの電池を温存できる。
ただし、Wi-FiのON/OFFでバッテリの持ちがだいぶ違うという話も耳にするので、出先ではOFFにしておいた方がいいだろう。
また、電子ペーパーの読みやすさも魅力的だ。印刷物に近い見た目で、ライトも後ろから照らすバックライトではなく、手前から照らすフロントライトになっていて液晶と比べて目にやさしい。
Voyageの魅力は漫画読みの時に大きく発揮されるが、活字の本であればPaperwhiteとの差はあまり大きくない。価格差が大きいので、活字メインの人はPaperwhiteでも十分だろう。
残念な部分もある。
漫画読みには魅力的な端末ではあるものの、全モデル共通で4GBという容量の少なさは非常に残念だ。数百冊所有している場合、容量が足りずしばらく読まない本を削除する作業を強いられる。
まあ、これに関しては128GBのiPhone6 Plusに全データ入れてあるので、いざとなったらそっちを読むか、その場でテザリングでWi-Fiにつないでダウンロードすればいいと割り切るようにしている。5000円ほど高い3G通信機能付きモデルがあるが、余程のことがない限りWi-Fiモデルで問題ないと思う。
Paperwhiteでもそうなのだが、Voyageの背面は割と指紋が目立つのも少し残念。
電源を投入してから、画面が表示されるまで。背面にある電源ボタンを押して画面をスワイプすれば電源が入る。
操作してから画面に反映されるまでの微妙な間の悪さも慣れるまでつらい感じがする。
また、解像度が高いと言っても4Kテレビに出力してアップコンバートするような頭の悪い使い方にはかなわないし、電子書籍そのものが紙の本に勝てない部分でもある。
ちなみに先に例示したコマは紙の本だとこのような感じ。
下まつげの描写、左肩の後ろに流れる髪のトーン、セリフ内の濁点、左側にある雪の結晶のような模様あたりで電子書籍版と明確な違いがみられる。
今後、端末が進化していけばいずれは紙の本と同等の解像感が得られるような書籍が配信されるようになるのだろうか。
冒頭にも書いたが、30日以内返品で全額返金は4月末までなので試したい方はお早めに。
返品の際の手順を間違えると全額返金にならないので注意。ちなみに送料相当分も返金される。
非常にわかりづらいが、価格の下にある「気軽に試せる返品保証。30日以内の返品で全額返金。4/30まで。詳細」の「詳細」をクリックすると返品の手順が書かれている。
2015年7月 追記
Kindle PaperWhite 2015年モデルがリリースされた。
基本仕様は前のモデルと同じだが、解像度がKindle Voyageと同等になっている。
Voyageを選ぶメリットが、物理ボタンと自動明るさ調整ぐらいになって、価格差の割に微妙な感じになってしまった。今ならPaperWhiteのほうがオススメ。
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