2007年01月08日

Wiiソフトレビュー1:はじめてのWii


スポンサーリンク

はじめてのWiiパッケージタイトル:はじめてのWii
発売元:任天堂
発売日:2006年12月02日
価格:(はじめてのWiiパック)4,800円(税込)

任天堂からWii本体と同時に発売された4本のソフトは、それぞれ他にはない特徴があり、一癖も二癖もあるソフトばかりだ。その中でも、はじめてのWiiは主に価格面で他にはない特徴がある。定価は、なんと税込み1,000円。D3パブリッシャーのSIMPLEシリーズ並みの驚きの価格設定である。ただし単品販売はなく、「はじめてのWiiパック」という名称で3,800円のWiiリモコンと同梱されるため、販売価格は4,800円。それでも十分すぎるほど安い。

内容については後ほど記述するが、先に断っておくとこのソフトのみを購入することはオススメしない。最低でも、もう1本何か別のソフトも買うべきだ。Wii本体とこのソフトだけを買った人たちはさぞかしガッカリしたことだろう。

このソフトには9個のミニゲームが収録されている。ソフト代を1,000円とすると、ゲーム1本あたり111円。ゲーセンでの1プレイより高いが、缶コーヒーよりは安い。人それぞれ好みがあるので、すべてのゲームが値段以上に楽しめるとは言わないが、そのなかで2つ3つ気に入ったゲームがあれば、じゅうぶん元は取れると思う。

それぞれのゲームはWiiリモコンの特徴を理解するためのチュートリアルのようなもので、タイトルの通りはじめてWiiに触れる人たちがリモコンになれるための最初のステップとして最適な造りとなっている。その反面、やりこみ要素には乏しく、長時間遊ぶのは難しい。ゲームらしいゲームを楽しみたいと思っているゲーマーには物足りないものに思えてしまうかも知れない。

ただ、全くやりこみ要素がないわけではない。各ミニゲームで一定のスコアを超えると、金銀銅のメダルを獲得することが出来る。さらに優秀なスコアを取るとプラチナメダルも得られる。すべてのミニゲームでプラチナを取るためには、結構なやりこみが必要だ。しかし、そこまで遊び続けていられるかというとそうでもない。ゲームが簡単な分、一部のミニゲームでは高いスコアを得るために長時間ノーミスで遊び続ける必要がある。これはけっこうしんどい。

収録されているミニゲームは以下の通り。
 シューティング
 あのMiiをさがせ
 ゆびさしピンポン
 ポーズMii
 ホッケー
 ビリヤード
 つり
 牛ダッシュ!
 タンク!

すべてのミニゲームを詳しく紹介すると冗長になるので、簡単に解説していきたい。なお、すべてのミニゲームは1~2人用となっている。

シューティング
画面に出てくる的をひたすら撃つガンシューティング。テレビ画面内の的にWiiリモコンを向けて、AかBボタンで弾を撃つだけ。常に照準が画面に出てくるので狙いを付けるのは簡単だ。複数ステージ構成で、序盤は風船や射的の的など簡単なものだが、最後には動き回るUFOを撃たなくてはいけない。シンプルだが、非常に楽しい。このソフトで一番のお薦め。

ただ撃ちまくれば良いというわけではなく、撃ち漏らさずに連続して的にヒットさせるとコンボ状態になり、ボーナス得点が入るようになっている。プラチナを狙うなら最初の3ステージぐらいはノーミスでコンボを続ける必要がある。まあ、慣れれば結構できるもんだ。

余談だが、うちのSONY製ブラウン管テレビは4:3だけれど、上下を圧縮して16:9に強制変更できる機能があるため、Wiiで遊ぶときは常にワイド画面にしている。Wiiのワイド画面は画面領域が上下に狭くなるのではなく、左右に広くなるようになっているため、ワイドのほうが視界が広く数段遊びやすい。このシューティングでも左右の幅が広がるわけだが、それはすなわち的が小さくなり左右に分散することを意味し、ちょっと難しくなってしまうことにつながる。そのことに気づいたのはプラチナメダルを取った後のことだった…。

あのMiiをさがせ
Wii似顔絵チャンネルで作成できる似顔絵(Mii)が、画面上にたくさん登場し、問題文に則したMiiを探すゲーム。問題文は重複しているMiiを探す「同じ顔のMiiを×人さがせ」や、プレイヤ登録したMiiを探す「自分をさがせ」といったもの。

登場するMiiは、基本的にもともとゲームソフト内に収録されたMiiだが、似顔絵チャンネルで作ったMiiや、他のユーザからもらったMii、公開設定になっておりWi-Fi経由で流れこんできたMiiも登場する。

なかなか楽しいミニゲームではあるのだが、やや単調な上、長時間を掛けて相当な問題数をこなさないとメダルに到達できないので何度もプレイする気は起きない。メダルを狙わず、Miiを大量に自作したあとで2人対戦するのが楽しいのではないだろうか。唐突にどこかでみたことのある顔が出てくるので非常に盛り上がる。

ゆびさしピンポン
Wiiリモコンでポイントして遊ぶ卓球ゲーム。打つという動作はなく、飛んできた位置にラケットを持っていくだけというシンプルな操作法となっている。最初は100回のラリーを目標とし、目標を達成すると金メダルになる。それ以降は回数無制限のラリーが出来る。

シンプルすぎてゲームで遊んでいると言うよりは、作業をさせられている感じがする。

ポーズMii
何とも説明しづらいミニゲームだが、つまらないので別に説明する必要もないだろう。あのMiiをさがせと同様メダル取りに時間がかり、ゆびさしピンポン以上に作業感のあるゲームだ。面白い面白くない以前に、遊んでいて苦痛に感じた。

ホッケー
東京フレンドパークでやっているアレ。パドルを動かしてパックを打ち、相手のゴールに入れるゲームだ。特徴的なのは、パドルを傾けることが出来ること。Wiiリモコンにひねりを加えることでパドルを斜めにして打ったり出来る。このゲームは対戦が楽しい。

このゲームには、開始時にABボタンを同時押しするとパドルの形が変わるという裏技がある。裏技を使わずに、普通の形のままほうが遊びやすいんだけど。

ビリヤード
リモコンを突き出すようにして打つ、無駄に出来の良いビリヤード。ナインボールのように見えるが、9番ボールをポケットインしたらクリアというわけではなく、すべてのボールをポケットに入れる必要がある。シンプルだが良くできていて非常に楽しい。シューティングの次にお薦め。

このソフトに収録されているゲームの中では操作法が複雑で、結構色んなことができる。十字キーの上下で打つときのキューの角度を変えられ、上方からたたきつけるように手玉を打つとものすごいスピンがかけられるだけではなく、ジャンプボールまで打てる。猛烈なスピンで隠れた玉を狙ったり、ジャンプボールで手前の玉をよけたりすると非常にかっこいい。…ジャンプボールはよほど上手く打たないと台から落ちてファールになってしまうが。

点数の計算方法はいまいちよく分からないが、ブレイクショットで3個落とし、その後ノーミスで1個ずつ落とすと60ポイントになり、プラチナメダルが取れた。

つり
Wiiリモコンを釣り竿に見立てて魚を釣るゲーム。これは慣れるまで結構難しい。他のゲームではWiiリモコンが示す画面の位置とカーソルの位置が一致するのに対し、このゲームでは左右はWiiリモコンが示す画面の位置と竿の位置が一致するが、上下の位置は一致しない。Wiiリモコンを上下に傾けると、竿の位置ではなく角度が変わる。画面の上の方、池の奥に竿を持っていきたい場合は、Wiiリモコンを画面上部に向けるのではなく、画面に近づける必要がある。Wiiリモコンは竿なのだから、釣り上げるまでは上下に傾けずに地面と並行に近くなるように保たなければならない。分かっていても他のゲームの感覚が染みついているとなかなかうまくいかない。

慣れるまではイライラするが、操作に慣れてくるとサクサクと魚が釣れていくのでなかなか楽しいゲームではある。

牛ダッシュ!
Wiiリモコンを横持ちにして遊ぶレースゲーム。左右のハンドリングはもちろんのこと、加速と減速までもがWiiリモコンの傾きに対応する。さらにWiiリモコンをさっと持ち上げるとジャンプまでする。ボタンはまったく扱わない。

途中に出てくるカカシを倒すことでポイントが得られ、最終的にゴールに到達した際の残り時間がそのポイントに加算される。何となくエキサイトトラックを彷彿とさせるゲームシステムではある。

初心者向けの造りになっているためか、コース設計はあまりシビアではなくスピード感も乏しい。まあ、あまりやり込むものではなさそうだ。

タンク!
ヌンチャクを使用する唯一のゲーム。ヌンチャクのアナログスティックでタンクを動かし、Wiiリモコンで照準を動かしてBボタンで弾を撃ち敵を倒す。ついでにAボタンで地雷の設置が出来る。一応ヌンチャクなしでも遊べるよう、十字キーでも操作可能だが、十字キー操作だとAボタンが押しづらい。弾は壁で一度だけ反射し、自分のたまにもあたり判定があるので、目の前に壁に向かって垂直に弾を撃つとあっという間に自爆してしまう。

ステージ構成や敵キャラは多彩で、なかなか楽しいものだが、あいかわらずメダルへの道のりは遠い。もう少しで記録更新というところで自滅すると無性に腹が立つ。面白いことは面白いのだが何十回と遊べるものではない。


…思ったより説明が長くなった。
一通り遊んで感じたことは、ミニゲームの出来にばらつきがあると言うこと。好みの問題もあるだろうが、明らかに出来の良い物と中途半端なものが混在している。もうひと工夫あれば面白くなったのにと感じるものも少なくない。

これはあくまで自分の想像に過ぎないのだが、任天堂はあえてゲームの質を落として「ものたりなさ」を演出しているのではないだろうか。任天堂はソフトメーカである以前に、Wiiを販売しているハードメーカでもある。安くて何十時間も楽しめるソフトをだしてしまったら自分たちの首を絞めることになりかねない。任天堂としては、はじめてのWiiで満足してもらっては困る。はじめてのWiiはあくまでWiiリモコンになれて貰うためのチュートリアル、そして、単品販売のWiiリモコンを高いと感じさせないためのオマケであり、このソフト自体を目的にWiiを買ってもらうわけではない。

任天堂はニンテンドーDSでも、「ものたりなさ」をうまい具合に演出している。例えば大ヒットした脳を鍛える大人のDSトレーニングでもそうだ。このソフトは、無理にやり込まない限りは1日に数十分しか遊べない仕組みになっている。ブームに乗って本体と脳トレを購入した人々の多くは2本目のソフトを手にした。はじめてのWiiもそのポジションを狙っているのではないだろうか。

任天堂の意図がなんであれ、このソフトは値段以上には楽しめる。Wii本体に1本Wiiリモコンを追加購入する際には、是非Wiiリモコン単品ではなく、はじめてのWiiパックを選んで欲しい。


スポンサーリンク


この記事の前後の記事
2007年01月09日:パナソニックの乾電池でWiiが当たる!
2007年01月06日:Wii「ドラゴンクエストソード仮面の女王と鏡の塔」の新着動画

最新記事
2024年02月20日:3万アカウントの凍結を見届けた 趣味としてのTwitter(X)スパム報告
2023年06月25日:任天堂株主総会レポート2023
2023年06月21日:レビュー:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム
2022年06月30日:任天堂株主総会レポート2022
2022年03月15日:Hue Sync Boxで映像とゲームを画面の外から強化する
2021年03月11日:シンエヴァを鑑賞した人たちを鑑賞した[ややネタバレあり]
2021年02月12日:藤子・F・不二雄「ノスタル爺」を読み解く
2021年01月18日:「呪術廻戦」単行本での加筆修正一覧(15巻まで)
2020年09月28日:「2.5次元の誘惑」がとにかく熱い
2020年04月08日:緊急事態宣言が発令された日の雑感


トラックバック

» 「はじめてのWii」は面白い? from 任天堂Wii(ウィー)情報
発売前には予約開始から欠品状態が続いていたはじめてのWiiパックですが、現在は普通に買えるようになっています。 Wiiの発売前は、リモコン3800円にソフ... [Read More]

コメント

ポーズMiiは確かにゲームとしていかがなものか?ですね。自分はビリヤード大好きです。

ビリヤードのジャンプがおもしろい。


- N-Styles -