任天堂経営方針説明会 テキスト起こし4
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(黄金法則、成功体験からの脱却)
次に、据置型ゲームの今後についてお話ししたいと思います。
この2年間。ゲーム人口の拡大に取り組んで、DSで今日お示ししたような成果も上がってまいりました。そういう任天堂は据置型ゲームで何をすべきだろうか、ということです。
これまで、ゲーム業界は、技術の進歩を活用して「映像をよりリアルにする」「より豪華にする」そういうゲームを実現することで発展してまいりました。この、成功の言わば"黄金法則"があまりにも長く通用したので、「今もその法則が通用する、今後も通用するんだ」というふうにお考えの方は多いと思います。
そして、ゲーム業界がその"成功体験"に埋没してはしないかというのが任天堂の持つ危機感でもあります。実際、綺麗な絵は魅力的です。そして、作り手としても達成感や満足感があることも事実です。
しかし、その一方で、制作にかかる時間や人数…言い換えればそれは最終的に開発コストになるわけですが、その「開発コスト」と、見返りとなる「お客様の満足度」あるいはそれによる「販売実績」というものがどんどん釣り合わなくなってきております。
私たちは「従来のような形以外に、人を楽しませる方法があるんじゃないか」ということを考えて、私たち自身の考え方としてゲームを、もう、豪華でリアルなものにするための、た…なる…単なるハードの性能向上…まあ、言い換えればプロセッサの性能であるとか、グラフィックの性能であるとか、容量を増やすとか、そういうことについてをいくら続けても、もう、「ゲーム離れ現象」への答えにはならないのではないかと、いう判断をして、この『Wii』という機械を作りました。
(Wiiの名称について)
この、Wiiという機械、この名前については、E3の直前に発表して皆様に…えー、ちょっと物議を醸したかもしれません。
まぁ、いままでのゲーム機の名前としての文法にないようなことをいきなりしたものですから、戸惑われる方も多かったようです。
私どもがこの名前を付けたのは、なんと言っても、「より幅広い層のお客様に、短く親しみやすい名前」が必要だろうと、ゲーム機のことだけを考えて生きている方は、決して世の中に多くありません…むしろ、ゲームはたくさんの娯楽の中のひとつとして、みなさん、認識されておられるというふうに私たちは考えてます。
ですから、業界の人であればどんな長い名前でも覚えていただけると思うんですが、一般のお客様にアピールする上では、短くて親しみやすい名前を…。そして、ゲーム機というのは大体、正式名称があって、三文字の略称があるってのが、世界的なパターンなんですね。えー、あるいは日本で言えば四文字のカタカナにして略すというのが一般的かもしれません。(※任天堂ハードで4文字カタカナで略されるのは「ロクヨン」だけ…)
ただ、例えば「ゲームボーイアドバンス」と「GBA」が同じものであることは、業界の人は全員知っています。でも、知らないお客さんの方が世の中に多いはずなんですね。でも、そういうことを、ゲーム業界の中だけを見て、商品を考えていた人たちは、なかなか考えていない。
しかし、任天堂は今、ゲーム人口の拡大をしたいわけですから、そこを避けては通れません。その意味で、どうしても「これ以上略しようがない名前にして、お客様を混乱させないようにしたい」という狙いがありました。
そして、えー、「ゲームなんとか」というような、いかにもゲームらしい名前でないほうが良いのではないか。むしろ、あえてゲーム機らしくない名前を選びました。これはゲームに最初は興味が、お持ちでない方に対しても、その方が拒絶しないようにしたい、という思いがございます。そして、ご存じの通り、「Wii」は、英語の「We」…我々を意味しますから、みんなに関係があるゲーム機なんだということを同時にアピールしたかったということでもございます。
(Wiiの名称に対する反応)
この、耳慣れない名前であることは、やはり議論を呼びました。そして、色んな…批判も含めたご意見もいただきました。
ちなみに、『ゲームボーイ』という名前を初めて任天堂が作ったとき(※正確には、コピーライターの糸井重里氏が任天堂の依頼で命名した)、それを、西洋の人たちが聞いたときに、そのゲームボーイというのは、それはそれは変な名前だったそうです。
「じゃあ、女の子は遊んじゃいけないのか?」というようなことを真顔で、えー、話をした、えー、海外の法人の、えー、社員もいましたし、また、流通の関係者の方からも「いや、すっごい変な名前だ」というふうに当時言われたそうです。しかし、その当時変だったかもしれない名前は、今ものすごいブランド価値のある名前になっています。
ですから、私たちは、結果的にWiiという機械が普及して、たくさんの人たちに親しんでいただければ、その問題は必ず解決できるはずだというふうに思います。
(E3でのWiiの反応について)
私たちは、E3でWiiをプレイアブルの形で初めて公開いたしました。えー、きょうはまず、その様子をお伝えしたいと思います。
ちなみに、E3での数ある賞の中でも最も権威があるというふうに言われております、The Game Critics Awards Best of E3 2006で、最高の賞である、Best of ShowにWiiが選ばれる(※関連記事はこちら)など、たくさんの賞もいただいたんですけれども、当日ロサンゼルスにおこしいただいていない方もいらっしゃると思いますので、その様子をご覧ください。
(映像:E3の任天堂プレスカンファレンス会場)
これは、コダックシアターというところで、私どもがやった記者発表会の様子です。
(映像:荘厳な音楽とライトアップと共に、任天堂の専務取締役、宮本茂氏が指揮者の格好で登場)
宮本は、手にWiiリモコンを持っています。
(映像:ゼルダの伝説の楽曲に合わせてリモコンを振りかざす宮本氏)
お分かりいただけると思いますが、宮本の手を振るスピードに合わせて音楽が鳴るんですね。コンダクター(指揮者)のゲームです。
(映像:演奏を終え、宮本氏に会場中から拍手)
えー、続いて、記者発表会の最後のデモとして行ったテニスのゲームの様子です。
(映像:ステージ上にWiiリモコンを手にした4人が登場)
私と宮本の他、新しくNOA(任天堂アメリカ法人)の社長に昇格したレジー(Reggie Fils-Aime氏、モアイによく似ている)、そして一般の方の代表の4人でプレイいたしました。(※E3前に、AOLで「世界で最初にWiiで遊べる権」の抽選が行われていた)
(映像:ゲーム画面内に宮本氏そっくりの顔をしたテニスプレイヤー)
あの、実は私は、ミスを連発して負けてしまったんですけれども
(映像:宮本「もう1回やりますか?」 岩田「もう一回やります!!」)
まあ、先ほどあの、そちらの部屋で、あの楽しんでいただいた方もたくさんいらっしゃるかと思うんですが、次に…。これは、あの、その、ブースの様子をごらんいただきます。ロサンゼルスのコンベンションセンターですね。
(映像:E3会場、座り込んで並ぶ人たち。自前と思われるDSで遊んでいる)
え、開場前に列を成して並んでいる人たちです。みんな、DSやって遊んでます。脳トレしてますね。…これはテトリスのたぶん、通信対戦をやっていると思います。
(映像:我先に走る人たち)
開場しました。みなさんどこに走っていくかというと、あの、ありがたいことに任天堂のブースに走ってきてくださったんですね。
(映像:早送りで会場の隙間を縫うように並ぶ行列の様子を映している。最後尾まで10回以上角を曲がっているように見える)
でー、プレイ体験を望んでおられる方が非常に多くて、E3史上最長の行列になりました。えー、現時点では出来る限りの多くの台数を展示しようということで、70台ぐらい試遊台を持っていったんですけれども、結果的に多くの方にご不便をおかけしてしまいました。
えー、この行列の先にある、その、Wii展示コーナーの様子です。
(映像:Wii Music:オーケストラをプレイする人/カメラを持って数人がWiiのモックアップを撮影)
これは、あの、ハードが飾ってあった場所なんですけれども、ハードが飾ってある場所にこんなに人が集まるのも珍しい光景だったと…
(映像:Wii Music:ドラムをプレイする人)
これはドラムのデモですね。Wiiリモコンを2台使っています。
(映像:Wii感想を述べる人たち/Wii Sports:エアプレーン/Wii Sports:ゴルフ)
えー、任天堂のー、あのー、社員のみんながつくづく言っていたんですけれども、「遊んでくださった方々が、みなさん非常にニコニコしてくださるので、非常にこちらも元気が出た」と、いうふうに聞いています。
(映像:Wii Sports:ベースボール/再び行列の様子)
(映像終わり)
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次はWiiのコンセプトの紹介を、他社への痛烈な皮肉、批判を含めて熱弁する岩田氏、ジェスチャーも交えてノリノリ
2006年06月10日:任天堂経営方針説明会 テキスト起こし5
2006年06月09日:任天堂経営方針説明会 テキスト起こし3
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コメント
>(※任天堂ハードで4文字カタカナで略されるのは「ロクヨン」だけ…)
4文字はロクヨンだけですが、ファミコンもスーファミも4音省略。ゲームキューブの省略ってキューブでしょうか?
投稿者 : やま | 2006年06月11日 00:45
wiiの名前、オイラも「なんじゃこりゃ~!やめてくれー!」と思いました。
だけど、開発側には「ゲームマニアでない人々に親しんでもらいたい」という想いがあったんですね。
既にゲームマニアなオイラには、そういう発想ができませんでした。
それならば、この名前にもなじめそうです。
ロクヨンという名前が発表されたとき、ある雑誌で「とうとう“ファミリー”という言葉が消えてしまった」と目にしました。
家族だけじゃなく、同僚やら、その辺の誰かとかでもいいんですが。再び、皆で遊ぼうっ、てところに帰ってきましたねえ。
投稿者 : よっと | 2006年06月12日 07:49