2004年11月27日

任天堂の20世紀、任天堂の21世紀 4章:NINTENDO64 1997年(1)


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強敵登場
1997年1月、NINTENDO64ではなくプレイステーションで次世代ゲーム機戦争の決着を決定づけるソフトが登場する。スクウェアがファミコン、スーパーファミコンとシリーズ6作を発売してきたファイナルファンタジーの最新作、「ファイナルファンタジーVII」だ。このソフトでプレイステーションがスーパーファミコンの市場を受け継ぐハードと認識されるようになる。プレイステーション本体が売り切れになるほどの反響でプレイステーションの勝利を確実な物にしていく。

一方、そのときNINTENDO64はどのような状態だったのだろうか?──何もしていなかった。1月、2月と1本もソフトが発売されることがなく、1997年に最初に発売されたソフトは3月14日の「実況パワフルプロ野球4」である。これは1996年の「実況Jリーグ パーフェクトストライカー」に次ぐコナミのNINTENDO64ソフト第二弾となる。コナミが参入したことはNINTENDO64にとって大きな助けとなるが、コナミのほうとしてはマルチプラットフォームの一環としてNINTENDO64に参入したにすぎない。それでも、ROMカセットによるレスポンスの良さ、3Dスティックの操作性の良さからコナミのスポーツゲームをするならNINTENDO64に限る、という印象を少なからず植え付けられたことは低迷を続けるNINTENDO64にとってプラスとなった。

価格低下
1996年当初はソフトの価格を9800円と設定されていたため、消費者がNINTENDO64購入に踏み切れない一因となっていた。3月21日に発売された「ブラストドーザー」は6800円に設定され、それから低価格傾向が進行していく。本体価格も25000円から16800円と引き下げられる。しかし、ソフト不足のマイナスイメージや失った信頼は回復せず、努力もむなしくシェアを拡大するには至らない。なお、ブラストドーザーは任天堂発売だが、強力なパートナーであるレアが開発したNINTENDO64向けで初めてのソフトである。やや取っつきにくく、はまると非常に楽しい。完全クリアを目指すと非常に苦労する、というレア特有の雰囲気を醸し出していた。

広がる遊び
4月27日には"振動パック"を同梱した「スターフォックス64」が登場する。スーパーファミコンでカセットに特殊チップを搭載することによりポリゴンを使用可能にした3Dシューティングゲーム「スターフォックス」の続編となる。カセットながらも大量の音声を盛り込み、また振動パックを使うことにより自機がダメージを受けるなどするとコントローラが振動する機構で臨場感を盛り上げる効果を上げた。7月には「スーパーマリオ64」「ウエーブレース64」も振動パックに対応して再発売される。

おもしろパック構想
NINTENDO64発売当初からコントローラパックを装着するコントローラのスロットに様々な"おもしろパック"を接続するという構想があったが、振動パックによってようやく実現する。だが、元々大きなコントローラに電池とモーターの入った振動パックを接続すると重くなり、子どもには扱いがやや困難になる。電池を入れずに本体から電力を供給する方法も考えられたが、4人プレイ時に電力不足になるという問題があり実現されない。また、振動パック構想を早い段階で公表していたため、他のハードに振動機能を搭載したコントローラを先に発売されてしまう。1996年末の展示会「NINTENDO SPACE WORLD」ではブラストドーザーが振動パック対応で展示されていたが、ブラストドーザーは対応せずにスターフォックス64からの対応となったのは、振動パックのインパクトとスターフォックスの知名度による相乗効果を狙ったからだと推測されるが、裏目に出たと言えるかもしれない。

振動パック以降、何度か任天堂が構想を早い段階で公表し他の会社に真似されてしまうパターンが見られる。任天堂がNINTENDO64以前から牽制球として実現する前にアイデアを公表し、我々のハードでは将来的にこのようなことが出来ると、"ベイパーウェア"(蒸気=vaporのように実態のないソフト、ハードの意)を見せることで、他社のハードを買わせないようにする手法を用いていた。スーパーファミコンそのものも実際に発売するかなり前から発表され、「任天堂のハードがもうすぐ出るから他のハードは買わない」と消費者に思わせるようにし向けてきた。しかし、それが有効だったのは任天堂に力があったからである。ベイパーウェア戦略のメリット以上に他社に模倣されるデメリットのほうが目立ち出し、任天堂も2000年以降は情報開示に慎重になる。

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ブラストドーザー

危険な化学物質が搭載されたトレーラーが暴走。進路を確保するために、カータイプ、ロボットタイプなど様々なマシンを活用してトレーラーの前方にある建物を壊するのがゲームの目的。

序盤は単純に破壊を楽しむことが出来るが、後半になると進路確保のためにブロックを移動したり破壊手順を考える必要があるなどパズル的な要素が強くなる。トレーラーが目的地点に到達すると一応ステージクリアだが、その後進路以外の建造物をすべて破壊する任務が出現。それをすべてクリアすると進路確保までの目標タイムが設定されるタイムアタック、タイムアタックですべてゴールドメダルを獲得すると、より目標タイムが厳しくなるプラチナメダルモードなどが出現する。オールプラチナを達成するのは非常に困難だ。

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スターフォックス64

悪の皇帝アンドルフに「やとわれ遊撃隊」ことスターフォックスの4人が戦いを挑む。

基本的に奥スクロールの3Dシューティングだが、一部の場面で360度自由に動けるオールレンジモードが出現する。操作は割と複雑だが敵の弾を弾くローリング、回避のための宙返りなど多彩なアクションが可能。3人の仲間が応援に駆けつけたり通信でヒントを与えてくれたりする。ステージクリア時に一定の条件を満たすとより難易度の高いコースに分岐する。さらに一定数以上敵を倒し、条件を満たすと勲章が手に入り、すべてのステージで勲章を手に入れると、より難易度の高いエクストラモードを遊ぶことが出来る。

アイドルの広末涼子さんや多数のお笑い芸人を一堂に集めたCMが話題を呼んだ。


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この記事の前後の記事
2004年11月29日:DSにTouchしまくってきたぜ
2004年11月27日:任天堂の20世紀、任天堂の21世紀 3章:NINTENDO64 1996年(2)

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コメント

ベイパーウェア(vaporware)ではなくて、ペーパーウェアなのでしょうか。

失礼しました。
謝った用語を差替え、前後の文章にも多少訂正を入れました。

しかし、任天堂の64の誤算が無ければソニーの猛威は防げてたでしょうね。今のソニーはソフトを売るのではなく、ハードを売るって考えしか見えてこないのでこのままソニーの考えを許すと、第二のアタリショックは間違いなくやってきます。DSとレボリューションで起死回生を狙ってほしいですね。

プレステはもともと任天堂がソニーと提携してスーファミの次世代ハードとして出す予定だったみたいですが、任天堂側が途中でやめちゃったために こんなことに… ぁゎゎ
ソニーはあれ以来、確かにハード売ることや新規格出すことしか考えてませんよね。。

ソニーと任天堂は一緒にならなくて正解です。任天堂がソニーのやりかたに押されてたら任天堂の質が損なわれますからね。でも、いい加減みんなソニーの腹底見抜いてほしいよな〜(>_<)
ソフトがPSに集中してる以上それもかなわないユーザーもいるのは確かにだろうけど…

ソフトがよければどうでもいいじゃん?!ちなみにDSが予想以上に面白そうで、前金払ってPSPを予約したのを後悔してます。


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