2006年05月16日

任天堂はE3でWiiの何を見せ、何を隠したか?


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E3も無事に閉幕。情報ソースによってとらえ方は様々だが、一通りの記事に目を通すと、Wiiが一番の注目であったことはほぼ間違いなさそうだ。試遊台には4時間待ちの行列もあったという。様々と言えば、発表の瞬間に会場から拍手が消え失せたという、プレイステーション3の価格への反応。ネット上ではおおむね「高すぎる」という評価なのだが、ファミ通副編集長が、多くのゲームファンが予想した価格だとblogで言い放った。いつからあんたらの雑誌は値札を見ずにモノを買うマニアとセレブのものになりましたか。つーか、ファミ通で小売店やメーカによる価格予想アンケートをやってなかったか?6~7万円超えなんて価格つけたのはメチャクチャ少数派だった気がするぞ。

そのほかにも、各プラットフォームメーカーのお偉いさんから愉快な発言の応酬があり、ゲームファン ─ もとい、ゲーム情報マニアたちが喜ぶいい話の種、というかネタが盛りだくさんでおなかいっぱいの1週間だった。

たとえば、SCEの久夛良木氏が「これはPS3の価格です。-略- 高級なレストランで食事をした時の代金と、社員食堂での食事の代金を比べるのはナンセンスですよね?」と言えば
任天堂の岩田氏はその発言を知ってかしらずか、「リッチなコンテンツはリッチなコンテンツで否定するわけではありません。-略-毎日フランス料理や会席料理じゃ飽きるでしょ。たまにはお茶漬けも食べたい。」と発言。
PS3とWiiの思想の違い、商品展開の違い、ソフトラインナップの違いがこの2つの発言に見事に現れているだろう。

さて、ヨタ話はおいといて、今回の本題に入るとしよう。任天堂は今回の発表で何を見せたか。そして、何を隠しているのか。

Wiiに関して今回明らかになったハードウェア情報のうち、重要と思われるものをいくつかピックアップしてみる。

1.コンセプト「Wii Connect24」の発表
2.リモコンにスピーカを内蔵
3.ヌンチャクにもモーションセンサーを搭載
4.ニンテンドーWi-Fiコネクションに対応
5.ガンタイプの拡張コントローラをオプションで提供

たいていの情報は昨年の東京ゲームショウなどで既に発表済み。今回発表された内容は意外なほど少ない。しかし、その中でもWii Connect24とリモコンに内蔵されたスピーカの存在価値は大きい。

Wii Connect24というのは、Wiiが「止まらない」ハードであることを意味する。多くの家電製品は、リモコンの信号を常時受け付けるために常に待機状態(スリープ状態)にある。Wiiのコントローラは名称自体が「Wiiリモコン」となっており、それで本体の電源を入れることが出来る、文字通りのリモコンだ。よって、Wiiにもスリープ状態が存在し、電源コードを抜かない限りは(もしくは存在するかどうか不明の主電源を切らない限りは)電源がOFFの状態にならない。通常、冷却ファンやCPU、GPU、その他制御チップ類のために50W程度の電力を消費するWiiは、スリープ状態で5W程度、豆電球と同程度に電力消費を抑えることが出来る。さらに、Wiiはスリープ状態でも無線LANでの接続を維持し、サーバからのゲームのデータをダウンロードしたり、友人からのメッセージを受け取ることが出来るという。

このスリープ状態での通信。どこかで体験したことがないだろうか?…そう、これはnintendogsのすれ違い通信と同じコンセプトである。違いは物理的に通信相手と近距離に移動する必要があるか、ニンテンドーWi-Fiコネクション(インターネット)経由で世界中と通信できるかの部分だけだ。

現在のところ、体現するソフトの具体像が見えてこないため、このコンセプトを理解することがむずかしいが、そのうちWiiに取って大きな力になることは間違いなさそうだ。Wii版のどうぶつの森でこれが活かされることは疑う余地もないが、他にもっと斬新な使い方をするソフトも出てくるだろう。しかし、しばらく待つ必要はありそうだ。実際、ニンテンドーDSでも、すれ違い通信を活用できるソフトが発売されるまで、発売から半年ほど必要だった。

ニンテンドーDSでもそうだが、スリープを利用することで、プレイをいつでも中断し、すぐに再開することができる。Wiiのスリープモードが完全にニンテンドーDSとは同一ではないにせよ、近いことは出来るようだ。具体的には内蔵されている512MBのフラッシュメモリに、ディスクキャッシュを配置し、次回プレイ時に同じディスクが挿入されたままであればそのキャッシュを活用するというものだ。ディスクが交換されていればさすがに何秒か待たされるのだろう。岩田氏は3秒でゲームがスタートできるように開発陣に話していると発言している。Wii Connect24もこのキャッシュを用いて実装していると考えられる。通信用のプログラムとデータをフラッシュメモリ上に配置し、通信が終ったときか次に電源を入れた際にセーブデータを上書きしているのではないだろうか。フラッシュメモリをいろいろと活用していることを考えると、512MBはフルに使えず、ユーザ領域はある程度制限されるだろう。バーチャルコンソールのソフト置き場にも使われることを考えると、ヘビィユーザは大容量のSDカードが必須かもしれない。

リモコンに配置されたスピーカもいろいろとイメージをふくらませる機能だ。5.1サラウンド機能で、前だけじゃなく後ろから横から音が押し寄せてくるのは今ではそう珍しくない。だが、手元から音が出るゲームは家庭用では未体験ゾーンだ。

単純に考えても、銃声、剣の音、ライトセイバーを振り回す音、釣り竿のリール音、弓のしなる音…その他諸々、手元から音が出るだけで臨場感が格段に違いそうだ。

しかし、今回発表された機能の他、以前から発表されている機能に関してもあれこれと想像は出来るのだが、いまいち実像が見えてこない印象を受ける。これはニンテンドーDSの時と同じなのだが、やはり実際に触ってみないと分かりづらい部分が大きいためだろう。早くさわってみたいものである。


これは単なる想像なのだが、Wiiの機能で未公表の部分はほとんどない。おそらくは現在の仕様にほんの数点の追加と一部デザインの変更があるだけで、そのまま発売される。E3の直前に未確認情報としてスピーカがコントローラに内蔵される話があったが、それは現実のものとなった。今現在、リモコンに個人設定記憶(パーソナライズ)機能が実装されるという噂がある。この機能が実際に組み込まれれば、わりと大きな仕様変更といえるだろうが、それ以上のサプライズはなさそうだ。

今後、ハード面での大きな変更がないと考えているのにはそれなりの根拠はある。Wiiに関して、任天堂はきめ細かく情報の露出を調整している。1年前のレボリューションのハードウェア外観の発表、昨年のゲームショウでのコントローラの発表、わざとE3の前に行ったWiiの名称発表、そして今回のE3。一貫した考えの基で発表を行っているとしたら、ハードウェア上でのサプライズはこれで終了と見るべきだ。振り返って欲しい。なぜWiiの名称発表がE3前に行われたか。仮にE3で名称を発表したとすると、逆説的だが「Wii」という名称が一人歩きし、Wiiそのものが無視されてしまう危険性があった。E3で任天堂が見て欲しかったのはWiiという名前ではなくWiiそのものにあった。

E3では結局ハード面でのたいした発表は行っていない。今回明らかにした情報は、本来それを活かしたソフトのデモが必要だが、少なくともWii Connect24に関してのデモはなかった。情報の露出に対して、その情報に対するアピールが全然間に合っていない印象を受ける。任天堂は、これまでに小出しにしてきた機能を理解して貰うための努力を、これから徹底的に行う必要がある。おそらく、今回のE3でハード面での発表は終わり。それと同時にソフトウェア面でのサプライズを提供し始めるスタート地点だ。まずは昨年のゲームショウで見せた、リモコンのコンセプトを実際に理解してもらうこと。それが任天堂がE3での目標だっただろう。

ある程度の事前リークがあったものの、公式にはWiiのゲーム画面は今年のE3が初出だ。これから半年かけてソフト面で話題を提供し続けるつもりだろう。発売3ヶ月前には現在の任天堂が最大の顧客と考えている、非ゲーマー層への訴求も始めなくてはならない。いまさらハード面で隠し球を持っていてもしょうがない。

さて、今回のテーマは「任天堂はE3でWiiの何を見せ、何を隠したか?」、任天堂がE3で見せたのはWiiのハードウェアのすべてだ。そして一体何を隠したか?…任天堂はWiiのソフトウェア、それと提供するサービスを隠している。それも、かなりの規模でだ。

E3で発表されたWiiのソフトは、ほとんどがヌンチャクコントローラを必須とするか、リモコンを横持ちにしてボタンと併用する、複雑な操作方法のソフトだ。リモコンを純粋に振るだけだったり、ポインタとしてだけ使用したのはWii Sportsやメイドインワリオ、それと技術デモぐらいしかない。Wiiがゲーム初心者に本当にアピールするためのものであるならもっと単純化すべきだ。ヌンチャクやボタンは使用するべきではない。

たとえばゼルダの伝説。ニンテンドーDS版の新作では、すべてタッチペンで操作できるという思い切りの良い仕様変更をしているが、Wii版のゼルダは─これはゲームキューブ用と同時発売が主な原因であるが─Wiiの特徴がオプション的な扱いとなっている。マリオ、ゼルダ、スマブラ…名前の売れたソフトの続編がWiiで発売されると言えば、確かにそれは魅力的だ。ニンテンドーDSで現在売れているソフトを考えると、続編タイトルは意外と少ない。むしろオリジナルタイトルのほうが、ニンテンドーDSの特徴をうまく生かしてユーザの心をわしづかみにしている。Wiiでも、魅力的なオリジナルタイトルの登場が望まれる。Wii Sportsがその候補となるだろうが、さらに"とっておき"を隠しているに違いない。

任天堂は、Wiiの名称のインパクトでWiiのコンセプトがかすんでしまうのを畏れたように、とっておきの新作がE3の騒音でかき消されてしまうことを畏れている。だから任天堂は隠している。まだ誰も目にしたことのない、まったく新しいソフトを。

それがどんなソフトか?─分かるはずがない。簡単に想像が付くようなら今までにどこかが発売している。どうぶつの森、nintendogs、大人のDSトレーニング…これらの分類に困るようなソフトを任天堂がまた披露してくれるだろう。そしてまた、すぐには理解されず、じわじわと火が付くのではないだろうか。

任天堂はまだたくさんの武器を抱えている。未発表のソフト、発売日、価格、バーチャルコンソールの詳細、未発表のサービス…。これから半年、少しずつこれらが明らかになってくる。自ら情報を追いかけ、海外情報やblogを読みあさるマニアだけではなく、大人のDSトレーニングを体験した数百万人に、「Wii」の名前、そしてソフトを知らしめるにはどのタイミングで公表すればいいか?任天堂は今も最良のタイミングを計っていることだろう。


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コメント

はじめまして。ゲーム情報マニアです。
コントローラーをカスタマイズできるという話については「噂」以上のものがあります。
宮本茂さんが下記のインタビューでそうしたいとおっしゃっています。
Miyamoto also mentioned is thatのパラグラフです。
http://www.kotaku.com/gaming/top/miyamoto-reveals-wii-details-to-kotaku-173232.php

Wiiの発売日まで興味を持続させるためにまだハードにも隠し球があるかなと思っていましたが、
このエントリーに挙げられた事項を見ると、広報戦略上の観点から見た場合には、
確かに秘密はもうあまりなさそうですね。

片手で遊べるライトユーザ用のソフトは当然あるでしょうね。むしろマリオも思い切って片手で遊べるようになってるかと思いましたが。
で、Wiiコンにはまだ秘密があると思います。まさに言葉通り。
サードやロンチには間に合わないかも知れませんが。
おそらくソニーのプライドをどぶに捨てたような戦略を鼻で笑わせてくれるような仕掛けじゃないかと...(笑)。

http://www.nintendo-inside.jp/news/184/18408.html
こんにちは。
所で、まだなんか秘密兵器がありそうですよ・・・・
「はい次の質問」なんて怪しすぎますよ。

今回のコントローラー。昔、FCで遊んだグローブ型のコントローラー(パワーグローブ?)を思い出しました。
レースゲームモードやフライトシムモードなど、当時のゲームでもドキドキしたことを覚えています。
任天堂にはまだまだ目が離せませんね。

リモコンにスピーカーをつけたのは
やもすれば自由に動きすぎるリモコンの動きを制限する
見えないアタリ判定を体現するための仕組みだと思っています。
自由であるがゆえに手ごたえがない問題にもっともスマートなかたちで対処してくれたと思っています。

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