廃墟と日常生活が共存する島、池島 (後編)
午後からは有料の坑内探検ツアーに参加した。一人2500円。
長崎さるく|池島炭鉱さるく
元炭鉱マンがガイドを務めているので、解説はバッチリ。
今回は、平日で人も少なく時間の余裕があったので、普段はあまり回らない見学コースを案内していただけた。
テレビで紹介されることも増えて、週末だと数十人がいっぺんにやってくるため、だいぶ省略気味になるそうだ。
誰も住んでいないアパートの一室を、観光用に開放していてそこを案内してもらった。
普段は鍵がかかっているので、ガイド付きじゃないと入れないようになっている。
中に入る。
このアパートには4畳半2部屋に台所とトイレが備わっている。風呂はない。
部屋の中には当時を偲ぶ資料や生活道具が置かれている。
さらに、特別に屋上に登れる階段を設置してあり当時の住民たちも見ることができなかった絶景が堪能できた。
建築時期や立地などによって廃墟度が違っている。
植物に侵食されると一気に廃墟感が増す。
建物と植物が組み合わさった奇妙な感覚は福岡のアクロスに通じるものがある。
参考:福岡市のド真ん中にある穴場スポット:アクロス福岡・ステップガーデン
こちらは坑道の中で炭鉱マンを現場まで運ぶ高速人車。ドイツ製だ。
こちらもふだんはあまり見せないそうだ。
比較的新しい機種で、操作はタッチパネルになっている。
こちらの機関車はだいぶ機械的で、複雑で、錆びていて、そのスジの人が見たら大喜びのシロモノだ。
ここからが探検ツアーの本編
トロッコで坑道に入る。
閉山したあとは入れないことになっているので、入るのはホンモノではなく研修で作られた擬似的な坑道だ。
乗ってきたトロッコはこんな感じ。
奥に、外の光が見える。
地上の荒廃したアパートも捨てがたいが、こちらの非日常感もたまらないものがある。
午後から晴れてきて気温が上がってきたが、坑道の中は涼しい。しかし、とてもジメジメしている。
オトコノコの夢の一つであるドリルをギュインギュイン回す体験もできる。
ぜひとも巨大ロボの腕に付けたいシロモノだ。
入ってきたのとは反対側の出口。
こちらは島の中央部にあり、海岸沿いの入り口と高低差があるため、15度の急角度になっている。
坑道内では他にも様々な機会や道具の説明、池島炭鉱の歴史を学んだ。
2500円の価値は十分にある体験をした。大満足。
帰りの船まで時間があるので、港の周りをぶらり散策。
池島にはもともと鏡池という池があり、それが島の名前の由来だったが、炭鉱の営業開始に合わせて池を掘って外海とつなげて石炭船が入港できる大きな港にしている。
石炭をベルトコンベアに載せる巨大機械だが、閉山後に錆びついて、台風や海風で操縦席部分が折れてしまっている。
となりのベルトコンベアも土台だけの部分があるので、先頭は落下してしまっているのだろう。
朽ち果てるのは建物や重機だけではない。港もフェリー乗り場以外はメンテナンスされておらず、船着場が落下してしまっている。
それにしてもこの島は猫が多い。
上陸してから出会った人の数より、猫の数が多いのではないか。
朽ち果てていく機械も、彼らには関係がない。
ただ、涼しい場所を求めて横になるだけだ。
猫スポットは何箇所かあり、フェリー乗り場もその一つだ。
どこからともなく猫が集まってくる。
閉山前は猫はいなかったそうだ。
彼らは賑わっていた池島を知らない。
島にちょっとしたにぎわいを持たせて、車を走らせるのにちょっと邪魔になる存在。そういう風に島民たちは考えているのかもしれない。
そう考えると、ぶらりと島に訪れたぼくらも、猫とあまり変わらないのかもしれない。
2013年09月20日:山内社長、ありがとう。さようなら。
2013年08月27日:廃墟と日常生活が共存する島、池島 (前編)
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