2010年08月08日

アンケート結果を疑ってみよう


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アンケートが行われ、その結果を元に何らかの結論を出したり、議論をしたりすることがある。アンケートで出される数字は鵜呑みにしていいのだろうか?

一般的に、アンケートを実施するにはコスト(金・時間)が掛かる。企業が業務の一環としてアンケートの実施、結果の公表を行なう場合は、それ相応のメリットがあると考えていい。アンケートで目的に沿わない結果が出る可能性もあるが、アンケートを実施する際にいくつかの工夫をすることで、自分たちの目的に沿った結果に誘導することができる。

Impressに「10代のネット利用を追う:子どものDSユーザー、マジコン率が7割!? 野良APでネット接続、WEP破りまで」という記事が掲載された。
突っ込みどころが多い記事なので、これを例にとって、このアンケートの結果を疑ってみる。

引用:ゲーム機の通信機能(Wi-Fi)を使って遊んだことがある子どもは全体(2174人)の55.9%と半数を超え、そのうち小学校低学年で19.0%、高学年で23.3%、中学生で33.3%が自分で通信機能の設定をしていたという。

Wi-Fi利用率が過半数超え。
これを読んで、本当にそこまで高いの?と思った。

引用:Wiiのネット接続率は35%前後、これは日本国内の数字ですが。それからDSは、恐らくですが20%台です。
http://www.nintendo.co.jp/ir/library/events/091030qa/index.html

2009年10月時点では、DSの接続率が20%しかない。
この数字は中高年ユーザも含むものなので、小中高校生だともう少し高い値が出てもいいが、それにしても数字がかけ離れている。

ここで、母集団が一般的な小中学生と違うのでは?という疑いが出てくる。記事を読み進めていくと驚くような記述が目に入った。

引用:今回のアンケート調査では、回答者の92.5%が女子だったことも書き添えておく

えっ…
これはアンケートとして問題がありすぎる。いったいどういう恣意的な抽出をすればそんな集団にアンケートが取れるのだろうか?
しかも、このアンケート対象の男女比はこの記事では掲載されているが、アンケートを実施した企業のプレスリリースには掲載されていない。同時に発表している保護者向けアンケートでは男女比が半々であることを明かしているので、意図的に隠しているようだ。

いったい、このアンケートはどのように実施されたのだろうか?

実施したのはフィルタリングソフトを販売しているネットスターという会社、協力したのはマクロミルとバンダイナムコゲームス。
マクロミルは一般ユーザを集めてアンケートを採る会社で、ユーザはアンケートを答える際にポイントを得られる。アンケート対象となるのがポイント目的でアンケートに答えるヒマなユーザというバイアスが入るので、マクロミルの集計結果には疑って見るようにしているのだが、今回はとりあえず無視しておこう。

今回のアンケートを取り上げた別の記事を見ると、以下の説明がある。

引用:子どもへの調査は、バンダイナムコゲームス(サークルリンク)に委託。2010年3月9日から3月15日まで、家庭内でインターネットを利用している小学生から中学生に対してWebアンケートを実施した。有効回答数は2174件。

サークルリンクはこのサイト
小学生向けのゲームコミュニティサイトだ。そりゃ、ネット接続率が異常に高い数値になるに決まってる。しかし、男女比の異常すぎる偏りはなんだろう?

【参加学年比率】小学生低学年:15.9% 小学生高学年:45.4% 中学生:26.1%
【男女比】男の子:31% 女の子:69%
【利用時間帯】ユーザーは放課後の16:00~19:00をピークに活動をしています。
【主な利用場所】95%が自宅PCからの利用で、80%が親との共用PCを利用。
http://link.channel.or.jp/parent_jobtown.html

男:女=3:7と、男女比が偏りすぎている。これだけ偏ってると、アクティブユーザーはさらに女性率が高くなっているだろう。この偏り方は、アンケートを取るには適さない。

これで記事の前半部分が偏った集団対して行ったアンケートであることが分かった。
後半部分はどうだろうか?

すでにツッコミが大量に入ったらしく、追記が行われているが田島氏が「ボットネット」と称しているのが、ウイルスのたぐいとは無関係な自作プログラムを含んだものだということがわかるし、7割というマジコン普及率もアンケートの対象が狭すぎてほとんど参考にならない数字だ。

ネット接続率100%のゲーム系コミュニティ参加者に対して行なった、ゲーム機でのネット接続率アンケートと、対象が狭く誤った判断を含んだ過剰に危機感を煽るコメントをだしたあとでペアレンタルコントロールソフトの宣伝。ある意味分かりやすい記事だ…。

フィルタリングは確かに必要なこともあるだろうが、実態と異なる数字を根拠に薦めるのはフェアではないなーと感じた。親のほうも、こういった記事を見て考えるのではなく、自分の子供をよく見て判断して欲しい。親が守る対象は、統計情報で現れる平均的な子供ではなく、今、目の前にいる自分の子供なのだから。


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コメント

自分もこの記事の数字は知っていて、驚きこそしましたが、信用するに値する記事なのかというところまでは(インプレスというフィルターがかかっていたためか(笑))、正直言って考えもしませんでした。
情報の上辺しかチェックしていないと、こういう記事に惑わされることがあって怖いですね。

good job!

深イイ~!

2010/08/06 22:40の追記 によると
「7割のマジコン普及率」はアンケートではなく、小学校3校の児童約190名の挙手による集計らしいですよ。


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