2005年02月03日

レビュー:biohazard4


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biohazard4タイトル画面 /この画像の著作権は株式会社カプコンに帰属します。当サイトではこれを引用の許容範囲内と認識し、画像を使用しております。不当引用と主張される画像の権利者はお申し出くださいタイトル:biohazard4
ハード:ニンテンドーゲームキューブ
発売:カプコン
開発:カプコン
発売日:2005年01月27日
価格:8,190円(税込み)
公式サイト
amazonで購入


biohazard4は紆余曲折を経まくってようやく発売されたタイトルである。

「BIOHAZARD 3 LAST ESCAPE」がプレイステーションで1999年9月に出てから今作の発売まですでに5年以上経過している。その間に「BIOHAZARD GUN SURVIVOR」「BIOHAZARD CODE:Veronica」「GUN SURVIVOR2 BIOHAZARD CODE:Veronica」「biohazard(リメイク)」「biohazard0」「GUN SURVIVOR4 BIOHAZARD HEROES NEVER DIE」「BIOHAZARD OUTBREAK」と多数の外伝的作品や派生タイトルが発売されている。

3の発売から5年。何故これほどまでに開発期間を要したかというと、ある程度完成した段階でそれを破棄してまた最初から作り直すという行為を繰り返したからだと言われている。実際、biohazard4の初期出荷限定特典のDVDには一つ前の試作版のプレイムービーが収録されている。敵キャラがゾンビではない、もっと異質な存在(幽霊?)ではあるが、いままでと同じ3人称カメラのため画面から受ける印象はあまり既存作品と変わらない。

背景のフル3D化、ガンシューティング、完全リメイク、オンライン化などと3以降発売された作品では意欲的にアレンジをくわえてはいるが、開発者達はマンネリに感じていたようだ。そこで最終的に製品版となったbiohazard4ではフルモデルチェンジと称して大幅な変更を加えた。ビハインドカメラの導入である。

既存の作品ではプレイヤの視点となるカメラは部屋の角などに固定されていて、主人公はその固定された空間を歩き回り、視界の外に出ると別のカメラに切り替わる仕様になっていた。それに対し、今回のビハインドカメラはむしろガンサバイバーのようなガンシューティングゲームに近い。主人公の斜め後ろにプレイヤの視点が来るようになった。完全に主人公の視点=プレイヤの視点としていないところがポイントだ。後頭部ではあるが、主人公の状態が見られるし、持っている銃やリロードの様子が画面内に収まり臨場感が高めている。


この視点の変更にはどのような意味があったのか。

ゲームを楽しむと言うことはある意味、不自由を楽しむと言うことである。例えばスーパーマリオブラザーズでジャンプの飛距離が無限にあったら?残りタイムがなかったら?1ミスしたときにその場で再開できたら?きっと楽しむことが出来ないだろう。

いままでのBIOHAZARDで最も不自由だったのは、限りある弾数、それと視点不一致の状況下でのいわゆる「ラジコン操作」ではないだろうか。弾がなくなる恐怖、敵に襲われたのに操作がもどかしく冷静に対処できない恐怖がBIOHAZARDの神髄ではないだろうか。今回はその視点を直感的なものに変更した。操作がやりやすくなり敵を正面に見据えて確実に撃てるようになった。その代わり、後ろが見えなくなり銃を構えても自動的に敵に照準を合わせなくなった。いままではせいぜい上下にしか銃の向きを変えられなかったのに、今回は非常に細かく照準を合わせる必要がある。不自然な不自由さを排除して、自然な不自由さを手に入れたのである。

この視点の変更は、新規ユーザと既存ユーザ間にある修得度の垣根を取り払う効果も狙ったものではないだろうか。あのBIOHAZARD特有の癖のある操作方法はしばらくプレイしている間に慣れてくるものだが、コメディアンの長井秀和の持ちネタであるBIOHAZARDのモノマネにもあるように、はじめてプレイするユーザはどうしても壁に肩をこすりつけながら走ってしまう。これはかなり間抜けだしイライラする。だがビハインドカメラなら少なくとも壁にぶつかりまくる事はないだろう。要するに、直感的な視点に変更することによって序盤の難易度で差が出にくくなっているのではないだろうか。

biohazard0 プレイ画面 /この画像の著作権は株式会社カプコンに帰属します。当サイトではこれを引用の許容範囲内と認識し、画像を使用しております。不当引用と主張される画像の権利者はお申し出ください
※ biohazard0における既存の固定カメラ視点
biohazard4プレイ画面 /この画像の著作権は株式会社カプコンに帰属します。当サイトではこれを引用の許容範囲内と認識し、画像を使用しております。不当引用と主張される画像の権利者はお申し出ください
※biohazard4におけるビハインドカメラ

ビハインドカメラになったことで敵の位置を正確に捉えられるようになった。そうなると、ゲームが簡単になってしまう可能性もある。そこで、今回は敵が非常に多く、そして賢くなっている。単純にこちらに向かってくるだけではなく、こちらの攻撃をかわしたり、遠距離から飛び道具で攻撃してきたり、窓を破って建物の中に進入してきたりもする。これがまた新たな恐怖と面白さを呼び起こす効果をもたらしている。

一般に主観視点で銃を撃ちまくるゲームをFPSと称するが、今回のbiohazard4は若干FPSとは異なる。まず、銃を構えたら歩くことが出来ない。右や左への横移動サイドステップが実装されていない。そして、武器の交換は相変わらずメニューを開く必要がある。このあたりは複雑さとのトレードオフなので致し方ないし、逆に自由度が高すぎるとBIOHAZARD的な恐怖がさらに薄らいでしまう。レオンが銃を構えつつサイドステップしまくりながら回り込むように敵を一掃していたら、それはもう別のゲームだ。

話を戻して、ビハインドカメラと敵の性質の変更の他に今回のゲームの変更点として空間の広がりが挙げられる。いままでの作品は狭苦しい洋館が舞台で、敵とすれ違うのも難しいような狭い空間がほとんどだった。確かに今回も狭い場面は多いのだが、非常に広い空間に多数の敵が散在しているシーンが多数用意されている。これもビハインドカメラのもたらした効果の一つだろう。いままでの視点で広い空間を用意しても、主人公の後方までまるみえなのであまり恐怖感はない。だが今回は後ろが見えないため、開空間ならではの恐怖を味わうことが出来る。前方の敵ばかりに集中していると、いつの間にか敵にうしろを取られてしまい、しかもそれに気づかないことがあるのだ。さらに今回の敵はよくしゃべる。敵の姿が見えないのに近くで声がするとビクビクしてしまう。しかも英語やまして日本語ではなく、スペイン語だ。まったく意味が分からないのでますます怖い。

エリアの広大さも今作の特徴の一つだ。例えば序盤の村の広場では、周りに立ち並ぶ2階建てを含めた3軒の家、4軒の小屋、1棟の塔、そのすべてが一つのエリアになっている。一つのエリアとはどういうことかというと、その中を移動する際に画面が切り替わったりしない完全に繋がった空間と言うことである。移動するのは主人公だけではなく、敵も自由に移動できるようになっている。敵はドアや窓を破って家の中に進入してくるし、二階の窓にも屋根やハシゴを伝ってどんどんはいってくる。ハシゴを倒しても敵が勝手に立てかけたり、広場を歩いていると屋根の上から鎌を投げてきたりとやりたい放題だ。いままでの作品のようにドアを一つ挟んで別の部屋に行けば全く別のエリアで一安心なんてことはなく、広場には10体以上の敵がうごめいている状態で、安全地帯は存在しない。大げさに言えば遊園地のお化け屋敷からハリウッドのパニックムービーに進化したようなものだ。

biohazard4プレイ画面 /この画像の著作権は株式会社カプコンに帰属します。当サイトではこれを引用の許容範囲内と認識し、画像を使用しております。不当引用と主張される画像の権利者はお申し出ください
※右手の見える二軒の建物の内部、二階の窓や屋根の上もシームレスに移動できる

空間が広くなったことも関係しているのだろうか、以前の作品では同じ場所を行ったり来たりして謎解きをする要素が強かったのだが、今回は基本的に一本道になっている。パズル的な要素もほとんど排除されている。それを善しとするかどうかは好みの問題ではあるが、臨場感とテンポを満喫するのであれば一本道のほうが良いだろう。

また、今回はリロードの仕様が若干変わっている。いままではアイテム画面で弾と銃を「組み合わせる」ことで弾の補充が可能だったのだが、今回はアイテム画面でリロードが出来なくなり、リロード時に一定時間無防備になるリスクを負うことになった。そのため、常に画面には残り弾数が表示されるようになっている。ある程度弾が無くなったら敵から離れるなどの戦略が必要になってくる。頻繁に使用することになる「ナイフ」も、わざわざ装備しなおさずにLボタンで使用できるように変更された。、これらの変更によりいちいちメニュー画面を開いたりせずに済むため、臨場感を高めるのに非常に良い効果をもたらしている。

他にも変更点はたくさんある。まず、通貨の概念が加わっている。いかにもゲーム的になってしまうが、敵を倒すことでPTAS(ペセタ・スペインの通貨)を得ることが出来る。たまったPTASは特定の場所にいる「武器商人」に対して使用することができ、新しい武器を購入したり、持っている武器を強化することが出来る。この要素に関してはちょっと蛇足のようにも思えた。どうも武器商人が居るためにあれこれ改造について考えてしまうのでテンポが悪くなってしまっているように思える。逆にムービーシーンにときどき挿入されるアクションボタンは非常に素晴らしい。ただのムービーと思ってぼんやり見ていると、突然A+Bを押すように指示が出たりする。開発者の自己主張の場になりがちなムービーシーンでもゲームの面白さを味わえるのは素晴らしい。終盤のムービーではシリアスな会話の中で連続して何回もボタンを押す場面が出てくるがこれがたまらなくカッコイイ。

これまでいくつかフルモデルチェンジでの変更点について触れたが、ほとんどが良い方向にゲームを進化させている。また、ゲームキューブでの第一作目のリメイクである「biohazard」は背景がプリレンダCGを貼り付けたものであったが、それと遜色がないほどにグラフィックが美しい。先ほども触れたムービーも素晴らしく綺麗なのだが、ディスクに収録された動画を垂れ流ししているのではなく、リアルタイムに描画している。そのため、普通のゲームシーンとの違和感がまったくなくなっている。逆に言えば他の一般的なゲームでのムービーシーンのクオリティで、ゲーム全編をプレイできてしまうようなものだ。非常に贅沢である。

最後に、ゲームの尺についてだが、おおむね20時間以内に1回クリア出来ると思われる。がんばって早くクリアしたとしてもいままでのように3時間の壁を越えることは難しく、6時間以上はかかるのではないだろうか。今回はセーブ回数に制限はなく、コンティニューするとちょっと前のシーンに戻るだけで特にリスクはない。がんがんコンティニューしながら突き進むといいだろう。

とにもかくにも、不満点を探すほうがむずかしいレベルの完成度である。怖いゲームが苦手な人以外は買って損はないといえるだろう。PS2版が2005年末に発売予定だが、このクオリティがどれほど再現できるのか気になるところだ。

ただし、18歳未満の人は購入する際に必ず保護者の許可を得てからにして頂きたい。強制力を持たないとはいえ、CERO18歳以上推奨は伊達じゃない。これは残虐極まりない毒まみれのゲームである。


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コメント

まさに自分が望んだバイオです(*´д`*)
あまりバイオシリーズには興味なかったんですが
これは、ドキドキしながら楽しめました。

ストーリーについてなにも触れてないので少しだけ。
今回のストーリは正直つまらないです。いろいろとキャラがでてくるのですが、すべてが薄っぺらい。
ネタばれになるので詳しくは書けませんがストーリーに関してはさっぱりしすぎで深みがなく、感情移入できませんでした。
いっそのことレオンのみでよかったのでは?アクションに関しては非常によくできていて楽しかったです。

久しぶりに何度もプレイし直せるゲームに出会いました。グラフィック、サウンド共に素晴らしい。しかも広大なフィールドを自在に行き来できるなんて。次作”5”が楽しみです。


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