2007年11月13日

Wiiソフトレビュー「スーパーマリオギャラクシー」


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タイトル:スーパーマリオギャラクシー
発売:任天堂
開発:任天堂
発売日:2007年11月1日
価格:5,800円

1985年9月13日、ゲーム業界に大きな衝撃を与えたゲームが発売された。「スーパーマリオブラザーズ」である。以降、何千ものゲームソフトがリリースされたが、このソフトを超える売り上げを達成したソフトは存在しない。まさにゲームの王様である。

SM64_SMS_SMG.jpgわずか40キロバイト、この1枚の画像よりも小さな容量に、1-1から8-4までの32ワールド、複数のBGM、数十種類の個性的なキャラクターがぎっしりと詰め込まれている。Wiiのバーチャルコンソールで今でも色あせることなく楽しめる、名作中の名作だ。今よりもずっとずっと小さい市場規模しかなかったこの時代に、これだけの売り上げを達成したのは一過性のブームや、偶然などではなく、確かなおもしろさがこのソフトに詰まっていたことの証明である。

その、王様の末裔、最新作がこのスーパーマリオギャラクシーである。スーパーマリオシリーズは、「2」「3」「ワールド」などの2Dアクションゲームが続編として作られ、NINTENDO64と同時発売された「スーパーマリオ64」で初めて3D世界の門を叩いた。

スーパーマリオブラザーズから10年を経て発売されたスーパーマリオ64は、3Dアクションの黎明期にあって、後に続く多くの3Dアクションに多大な影響を及ぼした偉大なソフトである。今作については以前レビューを書いているので参考にしていただきたい。しかし、このソフトが登場した頃、ファミコン→スーパーファミコンの任天堂黄金期は終焉を迎えていた。

その後、NINTENDO64とゲームキューブで任天堂の据え置きハードは低迷し、Wiiで再び任天堂が息を吹き返したのは周知の通りだ。スーパーマリオ64から約10年。任天堂の失われた10年は終わり、再び任天堂がゲーム業界の覇者として君臨し続けるための試金石の一つがこのソフトと言っても過言ではない。Wii Fitのような新機軸ソフトでゲーム業界をひっくり返すのか、それともゲーム然としたゲームで既存ユーザも満足させるのか…。

前置きが長くなったが、このスーパーマリオギャラクシーは、すごい。すごすぎる。

まず、球体地形が楽しい!
スーパーマリオ64や、スーパーマリオサンシャインのような大きな箱庭の地形もあるが、小さな惑星が複数組み合わさって一つのマップ(=ギャラクシー)が構成される。惑星上では重力が惑星の中心に向かって働き、視点によってはマリオが画面上で上下逆さまになってしまう事もある。球体地形では基本的に視点が上空から見下ろすことになるため、画面の四方に地平線が見える事になる。マリオ64では後ろから忍び寄ってきたクリボーに理不尽な体当たりをされる事があったが、見下ろし視点ではそのような事がない。しかも、前方への視界も地面が弧を描く事で広く確保できる。ニンテンドーDSのおいでよどうぶつの森をプレイした事がある人なら分かると思うが、地平線が見えるという事は、画面描画域の大きさに対して、多くの情報を詰め込む事が出来るわけだ。

単に球体の惑星が一つあるだけなら、妙な地形と、比較的見やすい視界があるだけの話になってしまうが、それだけでは終わらない。このゲーム内での重力の法則は、現実世界での物理法則に則していない多くのバリエーションを持っている。たとえば、球体の内側にマリオが入り込んで外側に向かって立ったり、複数の惑星が隣接する空間ではマリオが複数の重力に支配されて翻弄したり、スイッチで重力の方向が変わる仕掛けもあったりする。重力システムは遊びやすさと楽しさを両立させる画期的なシステムといえる。

また、球体地形とあわせてカメラシステムもブラッシュアップされており、ゲーム画面が非常に見やすくなり、迷いにくくなっている。
スーパーマリオ64では、初めての3Dへの挑戦という事もあり、視点には苦労の跡が見えた。場面によっては非常に見づらいアングルからマリオを見る事になってしまった。これは想像だが、マリオ64では「現実世界だとどう見るか」を考えて視点作りをしていたように思える。この考えだと、常にマリオの背中が見えているのが自然だし、進行方向の先が広く見える奥側にあるのが当然で、マリオのアクションや、周辺の様子は大きく見える方が良い。また、自由度を高めるために、プレイヤに視点変更の自由を与えてしまった。結果として、マリオが方向転換をしたり、プレイヤがCボタンを操作する度に、視点が大きく変わるようになった。そして、同じ場所にいるのにどちらの方向から来たかによって、視点がずれ、画面上での見た目が大きく変わってしまった。その結果、プレイヤは今自分がどこにいるのか分からなくなり、迷い、そして酔ってしまうこととなった。

スーパーマリオギャラクシーでは、どの視点が「一番遊びやすいか」に主眼を置いてカメラを設定しているように思える。一応、十字キーで視点の変更は可能だが、エラー音が鳴り、変更できない場面がほとんどだ。そのため、基本的に、マリオが同じ場所に立ったら、同じ視点から同じように画面に映し出される。プレイヤは迷ってしまっても、画面に同じ光景が映し出されれば「さっき通った場所だ」ということがすぐに分かるようになっている。また、地形を覚えるのに役立つようマップを単調にせず変化を持たせ、一見ゲームの進行とは無関係と思える草木や石ころなどのオブジェクトが目印として存在している。

シンプルな操作体系も魅力の一つだ。
左手のスティックでマリオを操作して、Zボタンでしゃがんだりしながら、右手のWiiリモコンで画面をポインティングしつつ、Bボタンでスターピースを発射し、Aボタンでジャンプ、リモコンかヌンチャクを振ってスピン、十字キーで視点の切り替え…と書くと複雑そうに思えるが、基本はスティックとAボタンだけで十分遊べるように構成されている。他の動作は操作になれてから少しずつ覚えていけば十分だ。

ゼルダの伝説トワイライトプリンセスでも感じた事だが、コントローラが二つに分かれるだけで、自然な姿勢でプレイ出来るので操作が楽になる。脇を締めてからだの正面にコントローラを構えなくとも、だらりと肩を落とし、必要なときだけ画面にリモコンの先端だけ向ければいい。とても楽ちんだ。

テンポの良さも、このゲームの魅力の一つだ。
スーパーマリオ64と同じく、スターを集めていくのがゲームの目的であるが、全120個のスターに対し、60個で最終決戦を迎えられるようになっている。そのスター一つ一つに要する時間は比較的短い。平均すると10分程度でスターが1個とれるのではないだろうか?しかも、その10分間は凝縮したミニイベントの集合体で形作られている事が多く、数分に一度達成感を味わえるようになっている。

一方通行の場面が多いのもテンポをよくしている要因の一つだろう。小さな複数の惑星で構成させるギャラクシーでは、次の惑星に移ったあとでもとの惑星に戻れない事が多い。おかげで、先しか見なくて済み、あれこれ迷うことなくサクサク進む事が出来る。これに関しては自由度が低くなったと感じる事もあると思うが、今作では意図的に自由度を殺し、ゲームをクリアしていく事の楽しさを強調しているに思える。

このゲームは素晴らしい。しかし、悲しい事に自分にはこのゲームの素晴らしさをうまく言葉に置き換えることが出来ない。重力システムが画期的だとか、視点が安定していて酔いにくいとか、リモコン操作が快適だとか、一つ一つの要素を取り上げて、それを褒め称える事が出来ても、それで自分がこのゲームから感じた事を表現できたとは思えない。「××が××だからすごい!」と端的に表現できない超越した部分に、このゲームのおもしろさがある。

例え話がいろいろと誤解を生む事を覚悟した上で、あえて例えると、このゲームは「コース料理を出すレストラン」だ。スーパーマリオギャラクシーは複数のギャラクシーで構成されているが、個々のギャラクシーは1品の料理ということだ。他のゲーム、たとえばテトリスのようなシンプルなゲームは牛丼屋などの専門店、マリオパーティのようないろいろ詰め込んだゲームはビュッフェ(バイキング)に例えられる。いや、マリオパーティはむしろ鍋料理か。

スーパーマリオギャラクシーのもっとも素晴らしい部分は、一つ一つの料理のうまさ以上に、その料理を出すタイミング、順番、量などが絶妙であるところだ。料理にばかり目が向いてしまうが、給仕が非常に良い仕事をしているのである。あっさりした料理から始まり、ピリ辛でこってりしたものもあれば、ときには甘~いスイーツも出てくる。バリエーションを出しつつも、コース料理として、完璧に調和がとれている。各ギャラクシーが色んな方向に尖ってはいるが、はみ出してはいない。
まさにおもてなしの心、京都のゲーム職人の仕事だ。しかもこのレストラン、どこかの高級レストランとは違いお手頃価格でコース料理を出してくれる。なんと素晴らしい事か。

たとえ話でややこしくなってしまったが、要するにゲーム全体でのバランスが非常に良くとれているのである。おそらく、Wii本体と同時発売でもリリースできたものを1年かけてじっくりと練り込んでいったのだろう。

細かい部分に目を向けると、開発途中に公開されたムービーでは、ライフが8まであった事が分かる。実際はライフが3つ、3回敵と接触すると、マリオは倒れてしまう。スーパーマリオ64やスーパーマリオサンシャインでは、ライフを潤沢にし、回復ポイントを多数もうける事を救済措置としていたが、今作はその逆である。非常に倒れやすい。その代わり、倒れたあとの再開ポイントが細かく設定されており、ステージの最初からやり直しなんてことがない。これは素晴らしい選択だったと思う。うわー死んだ、もう一回!わっまた死んだ、こんどこそ!といつまでたっても止められないのだ。「死んで覚える」この感覚は、初代スーパーマリオブラザーズで味わった感覚を思い出させる。

新要素の一つであるスピンジャンプも遊びやすさに大きな貢献をしている。スピンジャンプは、滞空中にWiiリモコンかヌンチャクを振る事で、ほんの少し空中ジャンプが出来るものだ。重要なのは、「ジャンプ中」ではなく「滞空中」であること。落下すると死亡する場面で、走りながらうっかり足を踏み外した場合でも、素早くリモコンを振れば、スピンジャンプが発動でき、もとの足場に戻る事が出来る。足場の小さな地形をジャンプで渡り歩く場面で、落下しそうになった場合でもスピンジャンプで着地点の微調整が出来る。これはスーパーマリオサンシャインのホバーノズルと同じだが、スピンジャンプは救済されているというより、自分のテクニックで切り抜けた感触が強く、心地よい。

重力システムにしても、スピンジャンプにしても、とことん練り込んでいる。やはりバランス取りに長い長い時間をかけたのだろう。最近見つかったばかりの食材を、まるで何十年も前から定番素材として調理されているかのように、完璧な料理に作り上げてしまえるのは、執念の為せる業だろうか。

スーパーマリオで手に入れ、10年後のマリオ64で失った任天堂の黄金期。再び10年が経過して登場した最高傑作が任天堂の次の10年をどう形作るのか。このゲームの開発で得た事を基に、任天堂が次にどんなゲームを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。

スーパーマリオギャラクシースーパーマリオギャラクシー
発売日:2007/11/01
発売元:任天堂
定価:¥5,800
価格:¥4,982(14%OFF)

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コメント

序盤は迷子にならないよう一方通行が多いですが、慣れてきた頃に箱庭が増えてくるあたりの調整も絶妙。惜しむらくは端で見ている人に難しそうにみえる点か。今までゲームをやったことがない妹でも夢中でやってもうそろそろクリアできそうなので、やれば誰でもできると思うんですけどね。

後ろから忍び寄って体当たりされるのが理不尽と言っちゃーおしまいだ

3Dマリオは、この作品でほぼ完成しちゃいましたね。
しかも今作は宇宙が舞台なだけあってスケールが大きいから、次回作でどこを舞台にしてもスケールダウンしてしまいそう。
最低5年は出ないと思いますが、続編がどうなるか少し不安です。
あとWii Fitやスマブラが出た後のWiiが心配です。

>>シリコンさん
マリオカート、メトロイド、カービィなどがあるから大丈夫だと思いますよ。
たぶん…

でも今の所、FFやDQの最新作は出ないしなぁ…
モンスターハンターの新作が出るのは心強いですが、それだけじゃまだ思春期の中高生に対してパンチが弱いと思います。

衝撃がほしいですねぇ・・・
っていってもわからんですがスマブラはさんざん前からチラチラ見せてるんですごいのが出てくるんだと信じてます

今回のマリオは、2Dアクションゲームで
「スーパーマリオワールド」がほぼ完成の域に達したときのような印象を受けます。
まだまだやり込みは足りませんが、頑張って進めたいと思います。
文章からはかなり魅力が伝わってきますよ。

私もマリオギャラクシー買いました。

面白いです。
失敗しても「もう1回!」という気にさせるところがいいですね。
昔のマリオを思い出します。

マリオ64やサンシャインで3Dマリオを敬遠しちゃった人にも
是非お勧めしたいです。

なんていうか、各ステージごとに絶妙な緊張感を持たせてくれますね。
決して楽にクリアできるレベルでもなく、かといってひとつステージが終わるごとにどっと疲れると言うことも無い。終わった達成感によって緊張が完全にチャラになるように作られているんですよね。
だから、気がつくと2時間とか普通に遊んでいるのに気づかされます。

前このサイトの記事でギャラクシーに興味を持って購入に至ったのですが、本当面白いですよね~。
ミスって何度もやり直すほど、そのステージに思い入れが深くなっていく感じです(*^^*)
やはりすんなりクリアできてしまうと、例え面白くても記憶に残りにくいですし、ライフを減らしたのは良かったと思います。

今作のマリオは思わずニヤリとするネタ満載ですね!
ノコノコの甲羅を敵にぶつけるボス戦なんてバーチャルボーイの「マリオクラッシュ」じゃないですか?!
他にもピクミンのドルフィン号(初号機?)が出てきたりファンには嬉しいです!
正直、極めたいんですけど「Miiコンテストチャンネル」が面白過ぎてちょっと…(笑)

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