2006年09月04日

レビュー:ファイナルファンタジーIII


スポンサーリンク

タイトル:ファイナルファンタジーIII
発売:スクウェアエニックス
開発:マトリックス
発売日:2006年08月24日
価格:5,980円(税込)

電源を投入すると、「ファイナルファンタジーのテーマ」にあわせて2画面を駆使した美麗なムービーが流れ出す。
あれ、こんなシーンあったかな?へぇ、この場面って3Dで描くとこうなるんだ…と特に大きな感動もなくムービーを見終えるとタイトルが表示された。

「そのグルガン族の男は静かに語った・・・ この大地震でさえも単なる予兆に過ぎぬと」

一般に「クリスタルのテーマ」として知られる名曲プレリュード。その調べが響く中、淡々と語られる壮大な物語を感じさせるこのプロローグが表示される。16年の記憶がふつふつと蘇ってきた。懐かしさで胸が熱くなる。

序盤の展開はキャラクタ設定の変更の影響で、大きな変更がみられる。だが、その変更を抜きにしても内容を綺麗さっぱり忘れていることに驚いた。16年の月日は想像以上に大きい。

ストーリはすっかり頭から抜け落ちているものの、音楽だけはしっかりと覚えていた。当時PCエンジンのCD-ROM2が5万円以上した時代で、CDプレイヤはまだまだ高級品だった。新築の大きな家に住んでいた友人に、カセットテープにダビングされたFF2やFF3のサントラを譲ってもらい、繰り返し聞いていたような記憶がある。懐かしい。ちなみにDS版のサントラは9月20日に発売される。

このソフトが登場した1990年というのはゲーム機の世代交代の時期である。ファミコンの最後の大作が出そろい、ファンの間では新ハード、スーパーファミコンの噂で持ちきりだった。当時、スクウェアの最大のライバルであったエニックスが、ドラゴンクエストIVを2月に発売したばかり。それから約2ヶ月半の間を空けてこのファイナルファンタジーIIIが発売された。当時の自分に2本とも購入するという選択肢は許されておらず、結局FF3を選択した。それほど悩まずに即断だった気がする。

ドラクエ4とFF3に限らず、この2作品は何かと因縁が深い。これら2作品とポケットモンスターを加えた3大RPGと一般に言われる3作品の発売日と売り上げ本数を一覧表にしてみた。

3大PRGの発売日、売上本数 2006年9月現在
※売り上げ本数はYSOやWikipediaの情報を参考にした。

あとから発売されたファイナルファンタジーが、王者ドラゴンクエストをじわじわと追い詰めていっている様子が見て取れる。複数の開発陣で同時に複数のファイナルファンタジーを開発してるうちに、VIの時点で発売日がドラクエを追い抜いてしまう。

双方とも、プラットフォームがディスクメディアに移った段階で開発ペースが落ち、続編の発売に間が開くようになってしまった。特にドラゴンクエストはその傾向が強い。

2003年の4月に、永遠のライバルと見られていたこの2社が合併したのは大きな衝撃だった。近い業態なのに合併したのはスクウェアが映画で失敗したのが一番の原因だと言われることがある。しかし、ドラクエが発売される年かどうか売り上げ高が大幅に増減する不健全な経営状態の解消と、ファイナルファンタジーと発売のタイミングが被った場合に共倒れになる危険の回避も、エニックスがスクウェアとの合併を決めた一因といわれている。

さて、ファイナルファンタジーIIIのレビューからずいぶんと横道にそれてしまったので話を戻す。

前作ファイナルファンタジーIIがジョブシステムやレベルを排除し、独自の熟練度システムでRPGの新たな可能性を模索した意欲作であった。また、主要キャラの4人にはフリオニールなどの名前が与えられ、それぞれに個性を与えることによりドラマ性が重視された。ゲーム開始後すぐに4人目のキャラが離脱し、以降様々なキャラがストーリ展開に応じて入れ替わり、場合によっては離脱に死を伴うなど、ストーリ重視の展開が目立った。

今作では成長システムを初代ファイナルファンタジーに近い、オーソドックスなシステムに戻した。また、主人公達4人は「4人の少年」とひとくくりにされた。4人のキャラクタというよりは、1つのパーティとしてストーリが展開する。主人公達の掛け合いはほとんどない。4人のパーティは固定で、ストーリ上行動を共にするキャラクタが登場しても戦闘には参加しない。また、FFシリーズの特徴のひとつであるアクティブタイムバトルシステムは、次作から取り入れられたシステムであり、今作の戦闘では敵味方が原則1回ずつ行動するターン制を採用している。

毎回独特なシステムを取り入れるFFシリーズにおいて、比較的オーソドックスな造りのIIIはある意味異端だと言えるかもしれない。それでもこのソフトのファンが多いのは、非常に軟性の高いジョブシステムとそれを効率的に利用する必要の出てくる適度な難易度、中盤の意外なストーリ展開などが理由としてあげられるだろう。そして何よりラストダンジョンの凶悪な長さと難易度がファンの心を引きつけて止まない。結果、先行して発売されたドラゴンクエストIVには及ばなかったものの、FFシリーズとしては初めて売り上げが100万本を突破した。

今作は16年にもわたって移植やリメイクが行われなかったわけだが、結局のところ、「タイミングが悪かった」のが一番の要因で今まで発売には至らなかった。開発途中、あるいは企画途中で発売を予定していたプラットフォーム(ゲーム機)が史上から事実上消えてしまったり、開発コストを回収できるほどの売り上げを見込めなくなり、泣く泣く発売を中止せざるを得なかったようだ。実際、ワンダースワン版のFF3は開発を進めており、開発途中のスクリーンショットが雑誌に掲載されたが、発売するメリットが見いだせずに中止せざるを得なかったようだ。

紆余曲折を経て、ニンテンドーDS版がリリースされた。当時あれだけのめり込んでいたのにストーリをすっかり忘れてしまうほどに、16年の月日は長い。プレイした人たちからも内容を忘れられ、現在のファイナルファンタジーのファンの大半は未プレイ、もはや新作といっても差し支えないだろう。特に海外では未発売で、DS版の発売を心待ちにしていたファンが多いことだろう。ハードウェアがニンテンドーDSであることに、とやかく言う人もいるが、開発期間やハード性能、普及率の面から考えるとDSでのリリースは最適解であったと思う。

グラフィックが3Dに変更されたが、当時の雰囲気は完全に再現しており、あの場面も、あのボスも、あのダンジョンもすべてファミコン版の面影を感じさせる素晴らしい造形になっている。そして何より、クリアに生まれ変わりつつも、16年前の記憶を蘇らせる至高の音楽が奏でられる。

無個性だった4人の少年は、それぞれ名前と異なる見た目が与えられ、序盤に1人ずつ仲間に加わっていくように変更された。この変更は、無味に近かったストーリに適度な香辛料を加えたような良い効果を現している。旅の途中で仲間に加わるノンプレイヤキャラと、4人のうちの1人を密接に関わらせることで、主人公だけでなく、他のキャラクタにも個性を感じさせる結果となった。大幅に受け止める印象が異なるのに、オリジナル版から、台詞は(おそらく)ほとんど変更が行われていない。原作へのリスペクトと、現代に合わせたアレンジ、このバランス取りが実に秀逸だ。ストーリがより重厚になった印象を受けた。

ファミコン版のジョブチェンジシステムは非常に優秀で、途中、効率的に攻略するために特定のダンジョンで4人とも魔法使い系になったり、竜騎士だけのパーティになったりするなど、ジョブをアレコレと試すように作られていた。しかし、最後に得られるジョブがあまりに強く、最終的にジョブが忍者2人と賢者2人に帰着してしまう問題があった。リメイク版ではそれぞれのジョブの特性が大幅に変更された。ジョブの特性の他にも、熟練度システムやジョブの得られるタイミングなど、ジョブ回りでのアレンジが非常に大きい。その結果、プレイヤごとに様々な組み合わせのジョブが試されるようになった。今作の最大の特徴とも言えるジョブチェンジシステムが、16年の時を経て完成されたといっても良いだろう。

ラストダンジョンのリメイクにはいろいろと苦労があったことがうかがい知れる。ネタバレになるので詳しくは書かないが、「ある程度簡単にクリアできるように変更が加えられているが、極悪な要素は残ったまま」と表現しておこうか。これに関してはどうアレンジしても、逆にそのままにしておいても多方面から苦情がくるのは間違いない。簡単にしすぎたら、「あんなのはFF3じゃない」と当時のファンに叱責されるし、難しいままだと「クリアできないよ」と若いユーザに泣きつれる。DS版はうまいぐあいに落としどころを見つけてきたと思うのだが、いかがだろうか。

長い長いダンジョンとラスボスを超えると、感動のエンディングが待っている。このエンディングがまた素晴らしい。ファミコン版ではモノローグと後日談が描かれ、当時のファミコンソフトとしては比較的長いエンディングだった。途中、ファミコンの表示能力の限界に挑戦しているかのような、驚きのシーンがあるのだが、それも含め見事に再現、3D化している。何度も見返したい気がするが、正直あのダンジョンをもう一度通るのは面倒だなあ。…そういえばファミコン版の時も同じ事考えていたっけ。

懐かしさが評価を5割り増しにしているような気もするが、多少古くささは感じるものの、非常に良くできたRPGだ。ファミコン版を未プレイの人たちにもプレイして欲しい。中ボスで全滅してダンジョン突入前まで戻ってしまう悔しさを是非とも堪能して欲しい。昔のRPGは、そこら中にセーブポイントのある最近のRPGとは違って親切ではないのだ。

このようにほぼ文句なしの大絶賛なのだが、問題がないわけではない。まず、目が疲れる。テトリスを24時間やっていたときよりも妙に疲れた。原因は分からない。フレームレートが低いのだろうか?ついでに言うと、眠い。2,3時間連続して遊んでいると戦闘中に何度も眠気に襲われた。寝る前に遊んでいたというのもあるのだろうが、雑魚との戦闘が単調なのは否めない。そして、通信機能の存在には首をかしげざるを得ない。Wi-Fiやワイヤレス通信で他のプレイヤと手紙のやりとりが出来るのだが、入力インタフェイスが致命的に悪いし、手紙の送った件数で隠し要素が出るというのも腑に落ちない。1人プレイオンリーでよかったと思うのだが、何か事情があったのだろうか。作品自体の出来が良いだけに残念である。


スポンサーリンク
関連記事


この記事の前後の記事
2006年09月04日:ポケモンセンターオリジナルニンテンドーDS Lite発売
2006年09月01日:ポケットモンスターダイヤモンド/パールの売り上げを予想しよう

最新記事
2017年07月07日:私はキンプラに殺された
2017年06月30日:任天堂株主総会レポート2017
2017年06月20日:「映画 山田孝之3D」はとんでもない映画だった
2017年05月25日:ARMSはSplatoonの背中に追いつけるか?
2017年04月14日:amazonの検索結果からボッタクリ価格業者を消す方法
2017年03月29日:1-2-Switchは最高のパーティゲーム
2017年03月04日:Switch発売に寄せて
2017年02月14日:ニンテンドーSwitchと一緒に買っておきたいもの
2017年01月20日:IMAX版「君の名は。」は2倍泣ける
2017年01月19日:ニンテンドーSWITCHを確実に手に入れるにはどうしたら良い?予約はどこで?


コメント

早っ!早くもクリアしましたかあ。
『上手くリメイクできてるのかなあ?』と非常に心配だったんですが、レビュー読む限り、その心配は無さそうですね。
ただし通信機能の利用については同感です!

1ページ、2ページ目の当時のゲーム事情を読むにつれ『そうそう、まったくそのとおり』と、うなずきましたよ!あれっくすさんとは同年代かもしれないな~。
ちなみに当時の、「ほぼ1冊まるごとFF3特集」なんてことをやっていた「フ○ミマガ」などは、まだわが部屋の大事に本棚に残ってますよ(^^)

僕は最近の親切設計RPGに浸かりすぎてふやけたようなゲーマーだけど、FF3は最後まで楽しくプレイすることができた。最近の大物タイトルの作品は冷ややかな目で見ていたけれど、FF3のおかげでその見方も少し変わったかな…

僕もプレイ中に眠気に襲われ電源をつけたまま寝てしまうことがありました。
なぜか眠たくなるんですよね~

熟練度稼ぎはただの作業でしかない為、本当に退屈である。こんなんだったら、FF5風にした方がまだ良かったかも。

熟練度は、そういえばアノ裏技を使ってたなあ。金儲けはアノ裏技使ってたし。

さすがにDS版ではアノ裏技たちは出来ないだろうなあ。バグっぽかったし。

買おうかどうかまよってます…どうしたら良いですかね?

コメントする

※無記名投稿またはそれに準じる名前での投稿は、内容にかかわらず削除することがあります


- N-Styles -