2006年04月16日

レビュー:ネコソギトルネード


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ネコソギトルネードタイトル画面/(c)2006 NINTENDOタイトルネコソギトルネード
開発:任天堂ゲームセミナー2005(男組/C TEAM)
配布期間:2006年4月13日~4月26日
価格:無料

ネコソギトルネードはちょっと特殊なソフトだ。箱に入れられて販売される市販ソフトではなく、期間限定の無料配信ソフト。しかも開発はゲームソフト会社ではなく、任天堂が毎年開催している「任天堂ゲームセミナー」の参加生徒が行った。商品として販売する予定はなく、今回の配信は生徒作品の披露と市場調査を兼ねたもののようだ。現在、任天堂がアンケートで感想を募っている。

配信期間中に、DSダウンロードサービス実施店舗の店頭で、手持ちのニンテンドーDSにダウンロードすることでこのゲームをプレイすることが出来る。販売の予定はないため、配信期間の2週間以内に手に入れられなければ二度と入手することは出来ない。また、手に入れたとしても、電源を切ればダウンロードしなおしになるため、このゲームを手元に置いておきたい場合は専用のニンテンドーDSを用意する必要がある。電池切れになれば当然消えてしまう。ある意味非常に貴重なゲームだ。

ネコソギトルネードの起動メニューで「男組」「C TEAM」とロゴが表示されるが、おそらくゲームセミナー内で班分けが行われていたのだろう。後述するスタッフロールを見ると、開発者は10人未満のようだ。2005年度の募集要項では40名の人数制限が設けられていて、生徒作品は全部で4作品配信される。ということは、A TEAM~D TEAMまでの4チームがあったのではないかと予想される。…じゃあ、男組って何だろう?C TEAMの別名か?

ネコソギトルネードメニュー画面/(c)2006 NINTENDO起動すると表示されるメニューは4項目。
・ノーマル
・ハード
・ゲロムズ
・せつめい

ノーマル~ゲロムズは基本的に同じ内容だが、敵や撃ってくる弾の数が違っていたりする。…書き忘れていたが、ネコソギトルネードはシューティングゲームである。ボタンは一切使用せず、ペンのみで操作するようになっている。
一度クリアすると、画面下部に「おんなのコをタッチすると・・・?」と表示される。指示通りに画面上のイラストをタッチすると、「ネコソギトルネード!」と女の子の声がして、プレイヤキャラが女の子になる。戻すときは同じように男の子のイラストをタッチすると良い。今度は男の声で「ネコソギトルネード!」と言う。スタッフロールのボイス担当は一人なので声色は違っていても両方とも同じ人なのだが。

「せつめい」は文字通り、ゲーム内容の説明だ。
前述の通り、タッチペンだけで操作するシューティングゲームのため、操作方法はかなり特殊だ。まったく見ずにプレイすると、何が何だか分からなくなるのはほぼ確実なので、しっかりと目を通しておいた方が良い。「コレツカハカセ」なる人物からレクチャーを承けられる。ちなみに主人公の男の子はハカセから「ナゲル」と呼ばれている。女の子モードでせつめいに入ってもナゲルが登場するため、女の子の名前は不明。

ネコソギトルネード「せつめい」/(c)2006 NINTENDO主人公には弾を発射する能力はなく、地面に設置されているありとあらゆるモノを両手でつかんでぶん投げる。設置物をタッチすることで拾うことができ、モノを持った手をペンで弾くことで、その方向に投げることが出来る。これをぶつけて敵を倒すわけだ。何かモノを持ったままの手で敵を直接殴ることも可能だが、この場合は倒すことは出来ず、気絶させることになる。気絶は後述するコンボで威力を発揮する。

投げられるものには4タイプがある。
・ノーマル 敵にぶつかると跳ね返りながら飛ぶ
・ヤリ まっすぐ飛んで敵を貫く
・ブーメラン 弧を描いて飛ぶ
・バクダン 爆発して周囲の敵を巻き込む
手でつんだときに、それぞれのタイプを示すアイコンが表示されるが、基本的には形状でそのタイプっぽいことが分かるようになっている。くの字型に曲がったモノはブーメラン、長いものはヤリ、爆発しそうなモノはバクダン、それ以外がノーマルだ。

モノを掴んだ手を主人公の回りで大きくぐるぐる回転させ続けると、必殺技「ネコソギトルネード」が発動する。通常は片手に1個ずつ、合計2個までしかモノを持てないが、回転させ続けると周囲のモノを巻き込むことができ、それを一気に真正面に投げ飛ばすことが出来る。この場合、どのタイプのモノでもまっすぐ前に飛んでいく。バクダンも爆発しない。

基本的にペンで動かすのは両手のみで、主人公自身を直接動かすことは出来ない。タッチしたままスライドさせることで、主人公の左右移動は可能だが、動きはゆったりとしている。弾幕を1ドット単位で避けるタイプのゲームではない。

間を空けずに連続して敵を倒していくと、コンボが発動する。コンボ状態だと点数が通常より高くなるので、高得点を狙う際には意識しておく必要がある。気絶させるなどしてわざとまとめて敵を倒さずに、少しずつ倒していきコンボを貯め、10コンボを超えるとコンボブースト状態になる。コンボブースト中はスクロールスピードが上がるため、敵が普段よりも速いペースで登場する。そのため、さらにコンボが繋がりやすくなる。

1ライフ制で、1度撃墜されれば即ゲームオーバーだ。しかし、敵や敵弾に接触してもすぐに撃墜されるわけではなく、魂が抜けた状態になる。主人公をペンで擦れば魂は戻ってくる。何度も魂が抜けると、擦っても擦っても戻らなくなる。

文章にするといささか複雑だが、チュートリアルはしっかりしているので、それほど戸惑うことなく遊ぶことが出来るだろう。

ネコソギトルネードゲーム本編(1面)/(c)2006 NINTENDOゲーム本編は全部で2面。それぞれの面の最後にはボスが待ちかまえている。1面は普通の町並みの上を飛ぶ。主人公は駐車してある車やバイク、電柱、電話ボックス、ベンチ、ガスボンベ、マンホールの蓋…その他諸々をちぎっては投げ、ちぎっては投げして敵を蹴散らしていく。迷惑な話だ。1面のボスはゼルダの伝説に出てきそうな多関節蛇型キャラで、ご丁寧に弱点のしっぽにハートの器っぽいモノまである。しっぽ側から一つずつ潰していけば、めでたく1面クリアだ。

2面ではさらに上空で戦う。眼下に見えるのはビル街だ。今度はそのビルをぶん投げる。ドーム球場も、テレビ塔もガスタンクもぶん投げる。迷惑どころの話ではない。2面ボスとの対決は通常と逆、下方向へのスクロールとなる。ボスは両手に回転ノコギリの歯のようなモノを持っているが、ボスがそれを投げてきたときに奪い取ることも出来る。

2面ボスを倒せば精算画面となる。1ポイントあたり3億円の賞金から、壊したモノの賠償金を引いたものが最終的な賞金となる。最後にはちゃんとスタッフロールまで用意されており、宇宙空間に浮かぶ開発者の名前を惑星や隕石で壊すことも出来る。

長々とゲーム内容紹介をしてしまった。配布期間を過ぎれば目にすることすら出来なくなるわけで、資料として残しておくことを考えると、こういう紹介もアリかなと。

このゲームは、何かのソフトのミニゲームとして収録するには十分すぎるほどの面白さを持っている。複雑化した最近のゲームと比べるとシンプルで、テンポが良く、ゲームバランスも悪くない。音楽やグラフィックもしっかりしている。しかし、仮に面数を増やしたりパワーアップアイテムなどの追加要素を加えたとしても、正直言って製品として販売するには弱い。

ただ、資金を使った力技を使えば…例えばキャラクタを他の著作物から持ってきてそこそこの宣伝をすれば、ヒットとは言わないまでもそれなりに売れそうだ。しかし、少人数、低予算で作成したものにそのような予算をつぎ込んで、無理矢理ヒットさせるよりも、ありのままでユーザに届けるようにして欲しい。前回も書いたが、こういったコンパクトなソフトを無料、または低価格で提供する仕組みが欲しい物だ。

ネコソギトルネードゲーム開始時演出/(c)2006 NINTENDO最後に、スタッフロールの内容を転記する。この中の何人かが、いずれ市販ソフトのスタッフロールにも名を連ねることになれば良いなあ。
プログラム
 あさば あきのり
 しまむら ともふさ
 はたけやま たくみ
 ほさか げんや
 みやしろ ともたか

デザイン
 おかざき たくろう
 かみやま しょうた
 こんの りゅういち

サウンド
 たむら りゆう

ボイス
 とみた さとこ

サブディレクター
 あさば あきのり

きかく/ディレクター
 こんの りゅういち


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2006年04月21日:MOTHER3発売
2006年04月07日:任天堂ゲームセミナー生徒作品の配布について考える

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コメント

はじめまして。
自分もこれDLしてやってみました。
かなり面白いです。
なんとなくツインビーを思い出させる雰囲気で懐かしさも感じました。

ミニゲームぐらいを保存できるシステムは欲しいですね。
せめてセーブデータだけでもいいけど...

せっかくWMやら流行ってきてるのに、どこもあまりネット通貨採用しませんよね
WM300円とか500円でWi-Fi通信してるならどこからでも落とせる仕組みがあれば
こういった作品をもっといい形で、次に繋げていける資金調達としても世に広められることにならないのかなぁ
やっぱり自分で金を稼いだってのが作者にとってはとてもよい刺激になると思うので・・・

ゲーム開発しようという、若い世代の方々にも夢が出来て、いいですね。
アレックスさんによる詳しいゲーム解説、ありがたいもんです。
オイラはゲームやってませんが、イメージが膨らみました。

 ネコソギトルネードは先日ダウンロードしてきましたが、実に面白かったです。(ビルからガスタンクまで投げ飛ばすことができるという無茶な発想がいいです)ちなみに、某巨大掲示板の情報によると、男の子の名前は猫祖木 ナゲル、女の子は田津巻 スロゥだそうです。


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