3DS「Newスーパーマリオブラザーズ2」はダウンロード版も併売
任天堂は2012年3月期決算発表に伴う社長説明でニンテンドー3DSおよびWii Uでパッケージソフトとダウンロード版を併売することを発表した。
パッケージ版とダウンロード版併売ソフトの第一弾は8月発売予定のニンテンドー3DS用ソフト「Newスーパーマリオブラザーズ2」の予定。Newマリオ2以降の任天堂発売ソフトは原則的にパッケージソフトとダウンロードソフトの併売となり、今夏発売予定の「鬼トレ(仮)」も対象となる。また、Wii Uは同時発売ソフトから併売を行う。
日本と北米ではニンテンドー3DSの接続率が70%に達し、ネット配信の土台は整いつつあると判断して決定したようだ。
一般的なダウンロード販売はメーカー直売のみで、固定価格であるのに対し、今回のダウンロード販売は直売も行うが小売店(店頭/オンラインショップ)でもダウンロードコードの販売を行う。価格設定も、小売店独自のものとなり、値下げ販売も可能だ。
商品の選択、支払いは小売店の店頭(もしくはオンラインショップ)で行うが、実際のダウンロードはNintendo eShopで16桁のコードを入力することで行う。自宅にネット回線がない人は3DSステーションや公衆無線LANでダウンロードすることも可能だ。
16桁のコードはおそらく、ニンテンドーポイントカードと同様にスクラッチタイプのカードか、レシート印字になるものと思われる。
パッケージソフトは在庫を持つ必要があり、過剰在庫による値崩れや、品切れによる機会ロスなどのデメリットがあったが、ダウンロードコード販売は、実際に販売された時点で仕入れが発生する方式があるため、在庫を保つ必要がないメリットがある。
ダウンロード販売のソフトは本体にインストールできるため、複数のソフトを同時進行でプレイしている時にソフトの入れ替えが少なくなるのは非常に大きなメリットだ。特にどうぶつの森や脳トレシリーズなど、1回のプレイは短いが毎日起動するようなソフトを手軽に起動できることは、非常にありがたい。
その反面、SDカードの容量に上限(現在は32GB)があり、インストールソフトの数に限りが出てしまうことや、家族や友人間でソフトの貸し借りができないというデメリットもある。ただ、Wii Uの場合は任意のUSBストレージが使えるので大容量のHDDを接続すれば、容量不足の心配はない。
小売店からの反発を最小限に抑えつつ、ユーザ側のメリットも考えた任天堂らしい仕様といえるだろう。eShopへのアクセスを増やすことで、体験版ソフトやダウンロード専売ソフトの露出も増えることになる。
今思えば、近年の任天堂ソフトで付属のマニュアルを簡素化し、3DS上で閲覧する電子マニュアルに切り替えていたのも、ダウンロード販売の布石だったのだろう。先日の本体更新で追加されたパッケージソフトのパッチ機能もダウンロード版と整合性を持たせるためのものだろう。既存ソフトでも、電子マニュアル付きのものは、8月以降ダウンロード版が提供されるかもしれない(新パルテナはおまけが付いているので難しいと思うが)
オンラインショップの場合にどうなるのかは不明だが、まさか印字されたカードが郵送されてくるというバカなことはないだろうから、メールでコードが送られてくるだろう。夜中にソフトが欲しくなった時に、その場でamazonで買えちゃったりすると非常にありがたい(eShopで定価購入してもいいのだが)。
この仕様だとネット通販に抵抗がない人の場合amazon一択になりそうだが、小売店独自の価格設定ができるということは、今まではありえなかった「ダウンロードソフトなのにショップ独自の予約特典」ということも可能だろう。実店舗はこの部分で差をつけてくる可能性がある。
また、当然のことながらダウンロード版は中古対策という側面もある。ソフトをクリア後にすぐに売る人は今までどおりパッケージソフトを買うだろうから、中古店に売る人が極端に減ることはないと思われるが、中古ソフトの買い手が減る可能性がある。
仕入れ値がないダウンロードソフトは、ソフトメーカーが価格改正しやすくなる。今まで発売後しばらくしてリリースされていた廉価版を用意する必要はなく、値段を下げるだけでいい。そうなると、中古店で古いソフトを探す人たちはダウンロード販売に流れてくるのではないだろうか。
ここからは余談。
今回の発表では、Wii Uの販売予測も公表された…が、なにこれ…。
WiiとWii U合算ってなんの参考にもならないよ!
高めの数字を出したら達成できない場合つっこまれるし、低めの数字を出したらそれはそれで黒字化できるのかとつっこまれるし、今のところWii Uの発売日も公表していないので具体的な数字を出すと探られるし、色々と意図があって数字をごまかしているんだろうなあ…。
参考までに2006年末発売のWiiは2007年3月末までの販売予想が600万台、ソフトが1,700万本となっていた。実際の販売数は本体が584万台、ソフトが2,884万本。ソフトが当初の予定より1000万本多く売れてる。(自分でまとめた資料が役に立った。ありがとう、4年前の自分)
ゲームキューブとWiiを比べるのは微妙なところだが、あえて参考にすると、2006年度のゲームキューブは2005年度と比べて本体が1/3程度の売上となっている。これに従うと、2012年度のWiiは300~400万台ぐらいだろうか。Wii+Wii Uが1050万台の予想なので、Wiiが350万台、Wii Uが700万台ぐらいだと予想する。
同じくソフトで比較すると、2005年度と比べて2006年度のゲームキューブソフトは半分程度の売上になっているので、2012年のWiiソフトは500万本ぐらいだろうか。そうすると、Wii Uの当期予想は2000万本ほど。
Wiiのリリース時より若干強気の予想。実績と比べると、本体がやや強気で、ソフトはやや弱気。発売半年で本体1台あたりのソフト数が約3本というのは比較的多い。この数字は、海外のWii Sports同様に、Wii U本体にソフトが同梱されることを前提としている可能性が高い。
E3後の第一/第二四半期決算あたりでもっと具体的な数字が見えてくると思うが、果たしてどうなるか。
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