レビュー:「メテオス ディスニーマジック」
タイトル:メテオス ディズニー・マジック
発売元:ディズニー・インタラクティブ・スタジオ
開発元:Q Entertainment Inc./ASPECT Co.,Ltd/Platinum Egg Inc.
発売日:2007年04月26日
価格:5,040円(税込)
国内では発売前だけど、半月ほど前に北米版を購入してそこそこにやりこんだのでレビューしておこうと思う。
前作というか、元ネタとなったゲーム「メテオス」については以前、超長いレビューを書いたので、そちらを見ていただけるとありがたい。「メテオスディズニーマジック」はそれの続編というか、ディズニー版である。オリジナル版のメテオスは、店頭ではほとんど見かけなくなっちゃったけど、amazonなら入手可能だ。
メテオスディズニーマジックがどのようなゲームなのかを説明するには、メテオスとの違いを示すのが一番手っ取り早い。ただ、メテオス自体があまり売れていないので、大半の人がさっぱり分からないことになりそうだ。最終的な売り上げは把握していないが、おそらく国内で5~7万本程度しか売れていない。
メテオスについて簡単に説明すると、「上から降ってきて積み上がっていくブロックがてっぺんまで埋まっていかないようにタッチペンでスライドさせて縦か横に3つ以上並べることで点火させて上に打ち上げるゲーム」だ。簡単じゃないな。
メテオスは本当に良くできたゲームで、非常に直感的に操作できるし、プレイすればするほど自分の腕が上がっていくことが分かるようになっている。シンプルなルールを最大限活用するための惑星(=特性の異なるステージ)のバリエーションも豊富で、破綻しない範囲で極端な特性を与えられた惑星でプレイするとまるで違うゲームを遊んでいるような感覚を味わえる。ニンテンドーDSという新ハードが発売されてわずか3ヶ月で発売されたメテオスは、限りなく高いクオリティでそのハードの特性を生かし、アクションパズルゲームの新境地を切り開いたと言っても過言ではない。
このゲームを生み出したのは、星のカービィや大乱闘スマッシュブラザーズの開発者である桜井政博氏である。彼は発売前からメテオスに関する非常に細かなコラムを公式サイトで連載しており、このソフトにどのような思いを託しているのかを語っている。是非、一読して欲しい。なお、桜井氏はディズニーマジックのクレジットで「METEOS ORIGINAL GAME DESIGN」に名前を載せているだけで、開発には関与していない。
余談だが、メテオスはファミ通のクロスレビューで38点を獲得した。これはパズルゲームとしては最高得点であり、40点満点を記録したnintendogsに塗り替えられるまでは携帯ゲーム機における最高得点であった。
前置きが長くなったが、今回の「メテオス ディズニーマジック」は、メテオスのゲームシステムにディズニーのキャラクターを被せた、いわゆる「キャラゲー」である。ディズニー社は豊富なキャラクターを所有しており、そのターゲットは世界中の子供達である。ゲームとの関係は密接で、ディズニーのキャラクターを使用したゲームは星の数ほどある。最近では、新作映画が公開されると、ほとんどのハードでその映画をテーマとしたゲームが発売される。ただ、既存のゲームに単純にキャラクターを追加した作品は意外と少なく、コナミの音楽ゲームやカプコンのテトリスぐらいじゃないだろうか。そのなかでメテオスを採用したのは、ネームバリュー目当てではなく、ゲームデザインに惚れたということではないか。
今作は、ディズニーの特定の作品をテーマにしたものではなく、キングダムハーツのように複数の作品からキャラクターを取り込んでいる。
ただ、単純にメテオスの惑星をディズニーキャラに置き換えただけではなく、大胆にゲームデザインを変更している。
まず、操作画面は縦画面になった。
同様に「パネルでポンDS」も縦持ちに変わっているから、落ちモノパズルとしては割と普通の発想と言える。メテオスでは惑星ごとに横に並ぶメテオ(ブロック)の数が違っていたのに、この変更のため、ディズニーマジックでは8個でブロック数固定されている。5列打ち上げ+4列打ち上げの2回だけで、全列打ち上げが出来てしまう。これで難度が下がった。
また、この本体の持ち方の変更に伴い、メテオスではLRボタンで、メテオの落下を加速させていたが、十字キー下(左利きの場合はA)ボタンに変わった。
そして、こちらのほうが大きな変更かも知れないが、ブロックが横に動かせるようになった。
メテオスはタッチペンを上下にしか動かすことが出来ず、必要なメテオがその列になかったら、別のメテオでそろえる必要があった。ディズニーマジックでは足りないブロックを横から引っ張ってくることが出来るようになったわけだ。これで難度は一気に下がる。
横に動かせるとなると、誤操作が増えそうだが、そのあたりの配慮は十分になされている。一度ブロックを移動を開始すると、その軸にしか動かなくなる。つまり、縦に動かし始めたら横には動かず、横に動かし始めたら縦には動かない。右斜め下に動かす場合は、一度右側に動かしたあとでタッチペンを離し、再びブロックをタッチして下にスライドさせる必要がある。この配慮のおかげで、打ち上げられて上昇中のブロックも難なく操作できる。
なお、ストーリーモードの「エキスパート」に到達すると、ブロックの水平移動が禁止され、メテオスと同じ操作感覚になる。狭いフィールドでブロックの種類が豊富なので、難度が非常に高くなるが、メテオスに慣れていると逆にこちらのほうがプレイしやすく感じる。
ほかの大きな変更点としては、スペシャルアビリティがある。
プレイしている間に溜まっていくスペシャルゲージが満タンになったときに、十字キーの上を押すか、ゲージをタッチするとスペシャルアビリティが発動する。アビリティは「ニトロブースト」「スローモード」「ホリゾンタルブロックムーブメント(水平移動)」3種類あり、ストーリーモードの場合は固定だが、それ以外のモードでは開始時に選ぶことが出来る。
それぞれのアビリティは読んで字のごとく、そのままの効果が一定時間持続する。「ニトロブースト」は点火力が上がり、「スローモード」はメテオの落下速度が落ちる。「ホリゾンタルブロックムーブメント」はエキスパートモード限定のアビリティで、効果が出ている間だけ水平にブロックが動かせる。
また、前述の9作品のうちミッキーマウスのみが1ステージで、それ以外は2ステージのバリエーションがあり、合計で17のステージになり、32種類の惑星があったメテオスよりもすくない。メテオスにおける惑星(ステージ)の違いは大きく、極端な惑星だと1度点火しただけで完全に打ち上がってしまったり、逆にだんだん火力が弱くなっていったり、縦点火じゃないとほとんど打ち上がらなかったりする。ただ、32種類はいかにも冗長で、余程やりこむ人じゃないと違いが分からない程度の違いしかない惑星もあったので、17種類でも少ないとは感じられない。メテオスにあった惑星の違いによるプレイスタイルの違いは今作でも十分に楽しめる。ただ、前述のように横幅が固定なので、その違いが味わえないのは残念ではあるが。
改変点は、すべて「とっつきにくいけど遊ぶうちに慣れる」と感じられる要素の排除である、全体的に難度が極端に低くなっている。基本的に子供向けの優しいゲームである。ただし、エキスパートモードはメテオスをやりこんだ自分でもそれなりに難しさを感じるので、すぐに飽きることはないと思う。また、対戦時の処理の重さがなくなっているので、対戦にはディズニーマジックのほうが良いかもしれない。まあ、それも好みの問題だが。
メテオスはエンディングのスタッフロールが全員手書きのサインであったり、細かな遊び要素がちりばめ合った反面、直前の延期などの影響によるものかいくつかのバグが残っていたりバランス調整に問題があった箇所があった。それに対し、ディズニーマジックからは、その愛くるしいキャラクターの裏側に、企画と開発と販売とキャラクターが完全に分離した大量生産の工業製品のような冷たさを感じた。
これは「テトリス・ザ・グランドマスター」と「マジカル テトリス チャレンジ featuring ミッキー」を比べるようなもので、そもそもメテオスをやりこんだヘビーユーザーは対象としていないソフトだから、自分がこのソフトをメテオス以上のものだと感じることが出来ないのは仕方がないのかも知れない。しかし、メテオスという優秀なソフトが、さらに遊びやすくアレンジされているのだから面白くないわけがない。メテオスが気になっていたけど難しそうで手が出せなかった人たちには、文句なしにお薦めの1本だ。
PC用のメテオスオンラインってのがあるらしいけど、遊んだことがないのでそちらはどういう内容なのかは知らない。つーか、メテオスをマウスとキーボードで遊ぶのはなあ…。
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コメント
オンライン版はハンゲームにもありますが、Qの直営版もあります。ログイン方法が違うだけで、システムが同じですけど。
横移動はこのオンライン版からみたいですね。
しかしこのディズニー版、ブロックが見にくくありません?
投稿者 : 前進青年 | 2007年03月19日 16:52
なんかねぇ・・・オン版は打ち上げたーって感じがなんかしないのよ、打ち上げ時のエフェクトが発生しないのでからかなぁ~?
投稿者 : おやじ | 2007年04月04日 08:08