2016年07月30日

ポケモンGOリリースに寄せて


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"フィーバー"、"一世風靡"、"熱狂"、"ブーム"、"社会現象"…世間で何かが流行するとそういった言葉で語られる。だが、多くの場合は誇張表現であったり、実際に流行っていたとしても特定ジャンル内でトップになるレベルで、その影響を肌で感じることは少なく、本物の社会現象と呼べるような流行を長い間感じたことがない。

そんな中、正真正銘、本物の社会現象が起きた。ポケモンGOである。

7月22日、すでに海外で旋風を巻き起こしてきたポケモンGOは日本に上陸した。

瞬く間にダウンロードされ、Android/iOSのランキングで1位を奪う。夏休みの子供達は街に飛び出し、仕事を終えたサラリーマンたちもそれに続く。周りを見回すと、スマホを持ってニコニコしている人たちがあふれていた。
まわりのポケストップにはルアーモジュールがセットされたことを意味する桜吹雪が舞っている。
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SNSではポケモンGOの話題が大半を占める。普段ゲームの話をしない人たちも、どのポケモンを手に入れたか、レベルがいくつになったか話をしている。現実世界の風景に溶け込むポケモン達の写真が次々と投稿される。
あらゆるコミュニティでポケモンの情報が交換される。真偽不明な攻略情報やレアポケモンの出没情報が飛び交う。

ポケモンを集めながら普段よりも時間をかけて帰宅すると、Ingressにハマっていた時期に自宅近くで申請したポータルはポケストップに姿を変えていた。
そのポケストップにルアーモジュールをセットして、ポケモンGOの情報を収集をしながら自宅でのポケモン狩りを楽しむ。

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ふと、窓の下を見下ろすとスマホの灯りが2個3個…、いやよくよく見ると自転車にまたがったままの人や、道路の向かいにもたくさん…、あわせて10人はいるだろうか?みんな明らかにポケモンを集めに来ている。
普段は人通りが非常に少ない路地で、立ち止まる人など皆無なのに…。
なるほど、ルアーモジュールはポケモンだけではなくトレーナーも集めるのか。
意図せずにフラッシュモブを仕掛けた気分だ。

ジム戦に挑戦したいと思い、日付が変わるぐらいの時間にポケモンジムがある場所へ散歩に出かける。
明らかに普段よりも通行人が多い。みんなスマホを見ている。
ノロノロ運転の自転車に追い抜かれたと思ったら、そいつもポケモンを集めていた。危ないよ。
何が危ないって、この道の先にあるポケストップの隣には交番があるんだよ。

少し歩いて立ち止まってポケモンを集め、また歩いて、信号で止まって、信号待ちの間にポケモンを整理していたら信号が2回変わって…なかなかジムにたどり着けない。ウォーキングのお供にすると運動効率を落としてしまうアプリだな。

ジムは交番そばのポケストップよりも先にある。
交番の前では自転車から降りてうなだれている人と、何か書類に書き込んでいる警官のペアが2組いた。さっきの自転車スマホの人だろうか。
警察も大変だなあと思いつつ、ジムに向かう。

ジム戦は高レベルトレーナーの殴り合いだった。
時間をかけてレベルを上げて、強いポケモンを集めてからまた挑むことにしよう。初日にレベル20ってすごいな。

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その後の週末は、ポケモンやゲームとは全く無関係な集まり(自分以外の大半が20代女性)があったが、半分以上がポケモンGOをプレイしていた。参加者の一人が会場近くにルアーモジュールを設置して、イーブイ出た!と誰かが言うと、みんなで一斉にスマホを操作し始める。
ポケモンが出てくるタイミングと座標はすべてのトレーナーで共通となっているおかげで、その場での情報交換が非常に楽しい。

明け方近くになっても、繁華街のポケストップにルアーモジュールが設置されていた。トレーナーたちの姿は見えなくても、街中のみんなが一晩中ポケモンを楽しんでいることが分かる。ああ、本当に流行っているんだ。

平日の夕方に、ピカチュウが多く出没するという大濠公園に行ってみた。
確かにピカチュウがたくさんいたが、それ以上にトレーナーがたくさんいた。まるでお祭りだ。

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何度もジョギング目的で訪れている公園なので、普段どの時間帯にどれくらいの人がいるかおおむね把握している。この時間帯は通常、視界に多くても10人程度、公園全体で200人程度だ。
当然のようにあらゆるポケストップにルアーモジュールが設置され、ポケストップの密集しているエリアは多くの人々が座り込んでスマホを操作している。一番多い場所は200人ぐらい集まっていた。

ポケモンを集めながら人数を数えつつ1周2kmのジョギングコースを回る。
スマホを手にしていない人のほうが少数だ。ジョギングしている人もたまに立ち止まってスマホをチェックしている。自転車をこぎながらスマホを操作する無法者も数人レベルではなく数十人見かけた。なんとかならないものなのか。

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ざっと数えた感じだと、公園内に1000人ぐらい集まっていて、8割がスマホを操作していた。残りの2割もバッテリーセーバーモードでプレイしていた人もいるかもしれない。
年齢は20代から30代が多い印象を受けたが、仲良くポケモンを集める中年の夫婦や孫と一緒に遊ぶ高齢者もいた。

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これだけ人が集まると、珍しいポケモンが出てきたときに画面を見なくてもすぐにわかる。
周りから「ミニリュウだ」「ミニリュウ出た」「あっ、ミニリュウだ」と次々に声があがる。
知らない人同士が集まっているのに妙な一体感がある。

あたりはすっかり暗くなっていた。ポケストップの密集エリアに腰かけてポケモンを集めていると、部活帰りの高校生の集団の会話が耳に飛び込む。
「おい、もう帰ろうぜ」「まって、イーブイ出たから!」「じゃあそれで最後な……ってお前ズバットも捕まえようとすんなよ。ズバットとかどうでもいいだろ」「ごめんごめん」
結局、彼らは笑いながら10分ぐらいポケモン集めをしていた。

ポケモンGOに触れた人たちは、とにかくみんな、楽しそうだ。
任天堂は笑顔を作る会社だと生前の岩田さんは繰り返し言っていた。
この1週間でポケモンGOがもたらした笑顔をどれだけ目にしただろうか。
人々が太陽の下に飛び出し、任天堂が生み出したキャラクターを追い求めて歩きまわる。
この光景を誰よりも真っ先に見たかったであろう人が、人々の笑顔を目にすることがないまま旅立ってしまうなんて。

もちろん、ポケモンGOがもたらしたのが笑顔だけではないことはわかっている。
多くのトラブルがあり、批判がある。
ゲームの内容も理解していなさそうな人からもコメントが出たり、政府や公共機関から告知があったり、便乗した商売を始める人がいたり。
ポジティブであれ、ネガティブであれ、ポケモンGOに何かひとこと言わずにいられない雰囲気があった。
ポケモンGOは、わずか1週間でだれも無関係ではいられない、無視できない存在になった。
これが、これこそが社会現象だ。

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なにもかもが規格外で、爆発的に普及しすぎて社会がついてきていない。
ナイアンテックとポケモンの共同発表初日から情報を追いかけて、海外でのリリース後の状況をつぶさに見てきた自分でさえ、日本国内での社会変化の早さに驚き、困惑している。
ポケモンGOトレーナーたちの行動が、ポケモンGOのことを理解していない人たちとってどれほど奇異に映るだろうか。そりゃあ拒否反応も出る。

だからといって、このブームを矮小化させる方向に動くのはもったいなく思える。
こんなビッグウェーブ、乗らなきゃもったいないでしょ。

ただ、株価のビッグウェーブはかんべんして欲しい。
この1週間のチャートは健康に悪すぎる…。


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