2010年06月24日

怪しげなオークションサイトに気をつけろ(後編):ペニーオークションサイトも騙されている


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前編からお読みください。

前編ではペニーオークションのシステムについて説明した。さて、こういったシステムは法的にどうなのだろうか?

ペニーオークションは違法か?

いまのところ摘発されたという話は聞かない。システムの説明は、多少わかりづらいが、一応サイトに書かれており、入札料だけとられて商品を手に入れられないことがある(というか、その方が多い)ことは理解した上でユーザが参加していることになる。宝くじを買うようなものだ。Webシステムを使う上で手数料を支払うことは他のシステムでも存在するわけだし、その金額が一般的な商習慣と比べて異常に高いのも、××円以上の手数料はダメという法律もないだろうし、金額もあらかじめ提示してある。問題ないという判断になるだろう。

このあたりは専門家の判断に任せたいが、これを法規制のあるクジとみなすのは難しく、おそらく現状は法的にグレー。法的に問題があるとすれば実際は多くの入札料が必要となるのに「99%OFFで人気商品が手に入る」と誇大広告を打っているあたりだろうか?

宣伝はともかくとして、システム自体はグレーというよりもむしろシロに近い方かもしれない。なんせ、東証一部上場企業であるゲオですらペニーオークション(GEOオークション)を運営しているぐらいだから。

 

上場企業も運営するペニーオークション


GEOオークションは取られっぱなしの入札料に関する批判をかわすためか、入札した商品は、支払った入札料の分だけ通常価格から値引いて購入することが可能になっている。ただ、これは辞退するひとが多いだろうし、売れた場合でもいつも売ってる値段で普通に通販サイトとしての儲けになるので、全く損はない。うっかり不人気の商品を出して多少損を出すかもしれないが、先程も書いたように超人気商品で入札が殺到すれば1出品で7桁の利益を得る可能性があるので、多少の損は誤差範囲だ。ゲオが儲けようが、信頼を落とそうが知った事ではないが、上場企業も運営しているシステムだと言うお墨付きをうさんくさいサイトに与えることになるのが非常にイヤな感じ…。

さて、話を戻そう。
ペニーオークションのシステムが(あくまで私個人の意見だが)一般的な商売とはかけ離れていて胡散臭いと感じられ、法的には問題がなさそうなことはご理解いただけたと思う。
さて、この胡散臭いペニーオークションが最近になって急に増えてきたのはどういう事だろうか?

急増するオークションサイトと宣伝

ある程度詳しい人が調べれば比較的に簡単にわかることなので、具体的な指摘は避けるが、ペニーオークションシステムは複数のシステム開発会社によってパッケージ化されている。つまり、金を出せば、誰でもこのシステムを動かして利益を得ることが可能だということだ。

これらの開発会社のうち一社はすでに100~150サイトぐらいペニーオークションのサイトを動かした実績があると宣伝している。誇大広告で水増ししている可能性もあるが、複数の開発会社がシステムを作っており、独自システムを自前で用意しているところもあるだろうから、現在、国内に3桁のペニーオークションサイトが動いている可能性が高いと推測される。軽く検索しただけでも数十サイトが簡単に見つかる。「××オク」という名前が非常に多い。名前がかぶりすぎだ。ちょっとは差別化しろよ。

ここからは根拠のない憶測になってしまうのだが、利用者の入札料を運営者が吸い上げるシステムよりも、さらに上のレイヤーで商売が行われているのではないだろうか?つまり、パッケージ化されたペニーオークションシステムと運営ノウハウの販売で利益を得る人たちが現れたと言うことだ。

オークション運営者を食い物にする人たち

私のペニーオークションに関する説明で「この商売はすごい!」と思った人もいるかも知れない。1台のiPadで100万円以上の利益を生む夢のようなシステムだから自分もやりたいと思うだろう。そうやって、良い側面だけ見せ続ければ、システム導入費が数十~数百万円(+売り上げの数%)という条件でも、あっというまに回収できると思って導入してしまう人も出てくる。

しかし、パッケージ化されたサイトのテンプレートそのままで運営して儲かるわけがない。同じパッケージを使ったサイトと差別化されていないのに一体誰がそのサイトの会員になるというのだろうか?ライバルは100以上あるのだ。入札合戦が起こることで多くの入札料を得るシステムなのだから、会員が多くないとまったく商売が成立しない。先行していてすでに顧客を多く獲得しているサイトはある程度の収益を得られるだろうが、後追いしたサイトが多くの利益を得るのは非常に難しい。先ほど例に挙げたiPadの入札料130万円はおそらく会員数が4桁以上ないと成立しないだろう。こんな怪しげな商売に対して、それだけのユーザを獲得し、維持するスキルがあるなら別の商売をしたほうがいい。

利益は出なくても、広告出稿費用やサーバ管理費毎月の出費はあるし、初期投資も回収しないといけない。するとどうなるか?このシステムで効率良く入札料を回収するには?商品を発送せずにすむ方法はないか?
自分が会員として参加して落札すればいい。"サクラ"だ。

サクラが存在しないとサービスインが困難

この手のサイトのFAQには「サクラはいないので安心して下さい」と書いてあることが多い。わざわざ書いてあると言うことは、サクラがいると非常にアンフェアになるシステムだということを自供しているようなものだ。実際、サクラがいることで、運営側は効率良く収入を得ることが可能になる。一般参加者の落札は不可能、商品の発送も必要ない、比較的人気の無い商品を安値で落札し、低価格で売れたという実績を作ることもできる。そして、一般参加者は購入したポイントをすべてドブに捨てることになる。

また、本当にサクラが全くいないのなら、サービス開始時に一気にユーザをかき集めることができなかった場合、最初のユーザが全商品を1円+入札料1回分で購入可能になる。どうやってサクラを使わずサービスインさせるのか、そのノウハウを知りたいところだ。

実際、Yahooオークションでは当然のように行われている入札履歴の表示が、直近10件だけしか見られないシステムがほとんどで、あとで誰が何回入札したのか調べられないようになっている。定価10万円の商品に10万円以上入札料を払う不審なユーザがいてもわからない仕組みだ。ユーザごとの落札履歴を確認する機能もない。これは、システム的にサクラを許容している、むしろ推奨しているような仕組みになっているといえなくもない。

先程は違法性がない可能性が高いと書いたが、サクラがいるなら話は別だ。違法か、ほぼクロのグレーになる。

うまい話には気をつけろ

そうやってサクラを使っても、どこが運営しているかも分からない怪しげなサイトで100万円以上の利益が出るはずがない。元手を取り戻せなくなった人が、次に考えるのは他の人にペニーオークション運営を薦めることだ。おそらく、100万円を超えるシステムの販売を斡旋できれば、10万以上のバックマージンが得られる。自分が紹介された時のように、簡単に数百万稼げる、元手はすぐに回収できると言うだろう。そして、ねずみ講によく似たシステムが出来上がる。情報商材でよく見られるパターンだ。

ゲオはおいといて、こういったサイトを運営する企業がマトモなハズが無い。運営者情報もあやふやにしているサイトも多い。いくら倫理的に問題があっても、法的に問題がないのであれば、地道に警鐘を鳴らすしかない。
「人気商品が安く手に入る」「このシステムを動かせば数百万円儲かる」そんな良い話が転がってきたら、「あれ?本当にそうなのかな?なにか罠があるんじゃないの?」と考えよう。おいしい話には必ず裏があるものだ。

関連記事:ペニーオークション情報は嘘だらけ。全部詐欺サイトと思ったほうが安全


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この記事の前後の記事
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2010年06月24日:怪しげなオークションサイトに気をつけろ(前編):ペニーオークションの問題点

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コメント

この記事スゲー。記事内容も興味深いし、記者の考察がメタ化して面白い。

前編、後編共に非常に濃い内容で読み応えがありました。

結局の所、運営者側のモラルですよね・・・

利用者側も、運営者情報などから判断して、本物のサイトか、そうじゃないか判断してから手数料コインを購入して欲しいですね・・・

わたくし個人としてはこういった仕組みは倫理的に問題ないことだと思います。実際、世の中の多くの企業を救うものになる可能性を秘めていると思います。楽天などの、激安モールが大部分の市場を占めている今、ECでできることも頭打ちになりつつありますし。
ただ、知識のない方に対して正しく紹介してあげられたら親切かもしれませんね。考えさせられました。

>倫理的に問題ないことだと思います。
サクラが居ないことが前提になるのではないでしょうか。サクラを使って値段を釣り上げて、入札料だけせしめるのは倫理的に問題オオアリでしょう。

ポロさんの言うとおり、そこまで倫理的に問題のあることだととは思えない。

私にいわせれば、この種のビジネスが問題だと言うのであれば、世の中のビジネスモデルの多くは倫理的に問題がある。
日本のビジネスモデルでは、サンクコストをいかにうまく隠蔽するかが美徳とされている節がある。

このブログに張られている広告も、そのビジネスモデルはマルチ商法とたいして変わらないことに気づいているだろうか?

詐欺サイトがあるのは事実であり、警鐘をならす目的というのであればわかるが、「ゲオはおいといて」というのがわからない。
想像にもとづく印象論と書いたのはそういうことなのだが、はてブしたらspam扱いされた。正直かなり心外だ。

もう少し視野を広く持たれたほうがよいのではないか?

オマエモナー

貴重なご意見ありがとうございます。

「詐欺サイトがあるのは事実」ということは、何か決定的な証拠をお持ちでしょうか。
fxsweep様のご指摘の通り、私の推測が多く含まれ、印象論であることは確かです。
でも、あなたは「詐欺サイトがあるのは事実」と記載された。

これは素晴らしいことです。
大変貴重なコメントです。こういったコメントが欲しくて、私は今回の記事をまとめました。
苦労が報われたのです。

詐欺サイトが存在していて、それを野放しにしていていいという道理はありません。ペニーオークションそのものが問題ないのであれば、なおさら詐欺サイトの存在は憎むべき存在であり、即刻消し去らなければなりません。消すのが難しいのであれば、多くの方にその事実を知らしめる必要があります。

詐欺サイトがどこにあるのか、そして、fxsweep様がそれが詐欺だと事実だと断定した証拠がどこにあるのか、提示してください。
善良なペニーオークション運営者にとっても、ペニーオークション愛好家にとっても、大きなプラスとなります。
お返事期待しています。

なお、spam扱いしたのはこのはてブに対するものです。
http://b.hatena.ne.jp/entry/aucstats.com/
あなたのコメントやアカウントに対するものではないです。

「ビジネスモデルの多くは倫理的に問題がある」ので見逃せ、って言ってるのかね、この人。
論理的に問題があることを指摘しちゃいけないルールでもあるのかな、この人の中では。
それとも指摘「されたくない」人なの?

サクラの排除が不可能な時点で…。
安く買おうと思うなら参加すべきではない。
パチスロと同じモノに見える

前後編ともに一気に読みました。なかなか興味深い内容でした。

一件落札というサイトをやってみてからこの記事を見つけた。

内容が理論的でおもしろい。

一件落札は明らかにサクラがいるようだった。3000円ほど突っ込んだ。

まぁ、とにかくろくな商売じゃないってこと。

怪しげなシステム屋がいるってのはいかにもありそうだ。

確かにゲオなら大丈夫そうだけど、どーしたものか。

ゲオって言っても、実際運営してるのは従業員20人足らずの子会社でしょ。サクラ行為やらない言っても、わかったもんじゃない

限りなく詐欺に近い。商品を仲間内で、たらいまわし。
たまに引っ掛かるビギナーを餌食にしている。悪質極まりない。
早々の退場を勧告するべき。でないと逮捕者続出か。
どのサイトも、裏でつながっている。のは見え見え。
皆さんかしこくなろう。世の中そんなに甘くない。

ペニーオークションはギャンブルのようなものでしょうね。
誰かが損をしてその分誰かが得をする。
宝くじ、パチスロ、競馬も同じです。
サクラがいるとかは問題外ですが・・・
新しいペニーオークションサイトがたくさんオープンしてるようですね。

ペニーオークションの基本システムは「商品を安く購入出来る可能性を示唆していながら、それが不可能である事を隠せる」悪知恵です。
何事も疑ってかかる人ばかりなら、「オレオレ詐欺」も広まらなかったはず。

まぁ、インターネットを日常的に利用している人達で、引っかかるヒトは少ないでしょう。

ドメインをwhoisで拾うとか、特商法の記載の会社名をググるとか、電話してみるとか、どこから出荷しているのか聞くとか、確かめる方法はいくらでもありますよ。

最近この手のオークションのネット広告が急増してる
ニュースや新聞に出るのは壱年後ぐらい?

やってみれば分かるが、入札すると必ず上乗せする同じ名前の人(24時間無休)が居ます
私は「人」としか表記していません
本気で「人」だと思ってます

パチンコよりも悪質じゃねえ?

これ、ギャンブルみたいな感じだね。
ユーザーの控除率はパチンコよりも悪いだろうね。。。

>商品の発送も必要ない、比較的人気の無い商品を安値で落札し、低価格で売れたという実績を作ることもできる。

商品を用意する必要もありませんね。
店舗も景品も要らない勝率0%のオンラインカジノはパチスロより問題ありです。とくに「オレオレ詐欺」、「小泉劇場」、「豊田商事」、「丸八真綿」などに騙されるマヌケ(お人よし)ばかりなので。


>世の中の多くの企業を救うものになる可能性を秘めていると思います。

こんなオープンイカサマに救える企業があるとも思えませんが。
基本は縁日のくじ引きと同じ。普通の人は遊び程度にしか出費しないはず。この程度の悪知恵にうさんくささを感じることも無い低脳がたくさんいるとしても、消費者としてどれだけアテになるでしょうか。

パチンコや宝くじに例えている方がいますが、それは当たらない。
パチンコも宝くじも法的に大当たり確率が設定されています。

このオークション方式はそういった枠組みがありません。

これを、博打というなら、賭博関連の法律に触れます。

「ギャンブルと同じ物」とか言ってる人がいますけど
宝くじはもちろん、コメントで色々言われてるパチンコですら、一応は風適法という法律と、警察とその外郭団体による許認可制によって公平性や仕様の透明性、違法行為の排除が担保されてるわけです
このペニーオークションはそういった物は一切無い
そしてそれ以上に話にならないのは、自分以外が落札したら落札したのがどこの誰かを確認する術がない
つまり実際に商品が取引されているのかを確認することすら不可能だと言うことです

こんな物はギャンブルですらないでしょう
自分だけ目隠しをしてジャンケンをするような物です
そんな行為はギャンブルとすら言えないでしょう

それともギャンブルということにすれば、まだ引っかかってくれる人がいるだろうって魂胆で言ってるんでしょうか

ちなみにこの手のペニーオークションが流行り始めの頃(この記事が書かれた頃?)には
ググれば「システム売り」のサイトが引っかかる事もありました
最近はどうだかわかりません。
「サクラによる自動入札システム」もシステムに含まれていたと記憶します。
サクラを運用するかどうかは運営者による、という感じの文言もあったと思います。

つーか、こんな信用できんモノに釣られんなよw


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