特集

NINTENDO SPACE WORLD 2001 レポート
(行列ウォッチ・ハードウェア編)

書き手の都合で時系列に沿った順番で書いております。読みづらいでしょうけど。

会場が開くまで

はるばる九州から3人連れで丸1日かけて電車に揺られて会場付近の海浜幕張駅に到着。一応行列の様子を見に行こうかと言うことになり、会場に向かうと徹夜組のオフ会メンバーと偶然合流できたので朝6時に会場内の行列に紛れ込むことに成功した。行列が2階から会場内の様子が眺められる絶好のポイントに位置していたので、スタッフが数人歩いているだけの会場の様子をガラス越しに撮影することが出来た。

メインゲート GBAコーナー
会場のメインゲート。画面はまだ電源が消えた状態。左奥がスマブラDXの予選会場、スマブラDX体験コーナー。 手前と右側がゲームボーイアドバンスコーナー。若干狭め。正面奥がメインステージ。
GCコーナー  
奥がスマブラDX、手前がゲームキューブ体験コーナー。同時発売ではない任天堂ソフトはここに集められた。  

徹夜組の行列は例年より若干多いらしいがパニックに陥るほど多いわけではなく、間隔をあけて座り込んでいた。並ぶ側も手慣れてきたのか、敷物や寝袋を用意し、仲間内でゲームボーイアドバンスの4人対戦などを楽しんでいた。

行列 行列2
午前7時、行列を後ろ向きに撮影。1回折り返して中頃が最後尾。 午前7時30分、行列の先頭方向を撮影。2回折り返してだんだんと列が長くなる。

7時40分頃、会場側を覗いてみると朝のミーティングと思われる集団が確認できた。今年の任天堂スタッフのシャツの色は濃い緑系。ミーティングは7時30分頃にはじまったのだろうか、自分がミーティングを確認できた直後に全員が解散し散らばっていった。

朝礼
GC本体同時発売ソフト&サードパーティー用の体験コーナーとGBAコーナーとの間での朝礼。

ミーティングの解散直後、行列の視察に今西広報室長が登場。腰に手を当てて状況を見たあと、行列の先頭付近にいたファンから「今西さーん」と声をかけられると軽く手を挙げてすぐに会場に戻っていった。

今西さん
行列の入り具合を確認しに上がってきた今西さん。今年も運営委員長を務めている。

再び会場の様子を眺めると、それぞれのブースで個別のミーティングが始まっていた。このころ会場入りするスタッフも多数いたがサードパーティーのスタッフだと思われる。また、会場の至る所に設置されたモニターでイメージビデオが流れ始める。やはり今年メインの展示であるゲームキューブのソフトの紹介が繰り返され、出展ソフト以外の「新・巨人のドシン1」や「1080°GC」「メトロイドプライム」などの映像が確認できた。23日の発表会で注目を集めたマリオサンシャインとゼルダの伝説のビデオは流れていなかった。

ブースでミーティング 電源on
それぞれのブースに集まるスタッフ達 7時50分頃。画面にはスターフォックス。入場してくるスタッフ達。

8時過ぎに行列の前に任天堂のスタッフが多数現れ、列の整理を始める。混乱を避けるためにいったん全員を座らせ、列をいくつかに区切ったあとで立たせ、前から順に列を詰めていった。また、この時間になってオフィシャルガイドブックと団扇の配布を開始する。

ガイドブックはレッカ社が企画・編集、双葉社ニンテンドーキッズ編集部が制作、任天堂発行になっていた。例年より厚く、表紙の中央に穴が空いていたり、4面を使った折り込みの会場マップやアンケート用葉書に封入されたカードe、最終ページにゲームキューブの貯金箱ペーパークラフトと凝った内容になっている。カードeを初めて見たが、二次元バーコードは想像以上に細かく、かなりのデータ量を詰め込める仕様も納得できた。団扇は表面がスマブラDXの集合ショット、裏面が会場マップになっていた。

ガイドブックの誤植を探すのも毎年の楽しみの1つなのだが、今年は見あたらなかった。あとでスマブラDXのピカチュウの紹介で「でんこうせっか(↓+B)」(本当は↑+B)と書いてあることを知ったぐらい。最終的にプレゼント用5冊、参加できなかった人に頼まれていた2冊、自分用に1冊を持ち帰ったのだが非常に重かった。カードe目当てで複数枚を手に入れようとした人が多かったらしく、2日目には1冊だけしか渡せませんと警告されていたらしい。会場内でカードeをくださいと言って回る人、閉会後にゴミ箱からカードeを探して回るバイトのスタッフなどがいた。

8時30分の時点で行列がかなりの量になってしまったので入場を開始させたらしいが、自分は9時の駅前待ちあわせのため8時15分頃に会場に向かう人と対向して駅に戻る。非常に後ろ髪引かれる思いをして駅に到着。海浜幕張駅内には何カ所もフロムソフトウェアのRUNEの垂れ幕があった。

電車が到着するたびにダッシュで会場に向かう人たちなどを見ながら、集合場所でガイドブックを読んで時間を潰す。

RUNE広告
8時40分、RUNEの広告。下の張り紙はコインロッカー移動のお知らせ。改札の外に移されていた。

9時10分ごろ10人ほどが集合場所に集まり、会場に移動を開始する。オフ会メンバーとは会場で一度解散し、それぞれみたいゲームを見て回ることにする。

とりあえずゲームキューブを触ろう!ということで、正面にあった同時発売ソフトコーナーで45分待ちのウェーブレースブルーストームの列に並ぶ。D端子接続のパナソニック製TVでの出力は度肝を抜くほど美しく、1年ごしで初めて目の当たりにするゲームキューブ本体の小ささにも驚愕した。想像していたよりも一回り小さい印象。コントローラは各2個ずつ配置されていたが、すべてバイオレット。昨年のゲームボーイアドバンスが試作品4色がそろっていたのと比べると少しさびしいが、製品版と同じであること、発売が近いことを実感させられる。

順番が回り、ゲームキューブコントローラとのファーストコンタクト。とりあえずウェーブレースは無視して、これから5年ぐらいお世話になるであろうコントローラをじっくりとこねくり回してみる。 

コントローラ

コントローラ
動物番長の操作説明パネルより。クリックすると全体を表示。Yボタンに注目。

まずはNINTENDO64の3Dスティックに該当するコントロールスティック。3Dスティックがまさにスティックのみであったのに対して、コントロールスティックは土台の半球状部分も一緒に稼動するようになり、構造が異なっているが操作感は全く同じ。8角形に刻まれた周りの溝が上下左右にピッタリとコントロールできるようにアシストし、スティック先端の円形の刻みが親指にジャストフィット。何も文句の付けようのない出来映えと言えるのではないだろうか。耐久性が上がってそう。

次に新しくアナログに生まれ変わったLトリガーボタンとRトリガーボタン。ゆっくりと押し込んでいくと深く沈んでいき、アナログであることを実感。しかし、最後まで押し込むとはっきりカチッと押し込めるようになっており、アナログとデジタルの融合されたボタンであることが分かる。若干アナログの深さが深すぎる感触があり、デジタルとして使う際に「戻し」が長すぎて連打するゲームだと少しつらいのではないかと思えた。実際にはデジタルボタンとして使う際にはアナログ部分をすべて戻す必要はなく、深く押し込む→少し戻す→深く押し込むで連打が可能なのだろうが、これには慣れが必要。

右手の親指部分には非対称なABXYの4つのボタン、手前にアナログのCスティックがある。普通にコントローラを握った際に素直にAボタンに指が当たる設計で、「Aボタンのみで楽しめるようにしたい」という設計思想がありありと伝わってくる。そのAボタンを取り囲むように豆型のXYボタンと、発表当初の設計から形状が変更され丸形になったBボタンが配置される。Aボタンをホームポジションとし、上に指をずらせばYボタン、右ならXボタン、左ならBボタンと手元を見るまでもなく自然に指が移動する。XYボタンに比べてBボタンが押しづらい印象を受けたが、慣れれば問題ないのではないだろうか。

Cスティックはコントロールスティックと比べて小振りながら、同じような操作感覚を味わえた。ただ、Cスティックを使っているとABXYボタンは当然使えないため、あくまで補助的に利用されるか、LRZボタンのみを使うゲームで2軸スティックとして使われる事になるだろう。

他にRトリガーボタン手前のZボタン、中央のスタート/ポーズボタン、左手手前の十字キーがある。Zボタンには少し不満が残る。あまりに押し込んだ際の深さが浅すぎるため、感触が悪すぎるのだ。心地よいカチカチというクリック感がまるでない。またRボタンと併用する際にRボタンを慣れない中指で押すことになるか、人差し指で交互に押すことになるのだが、Zボタンがあまり出っ張っていないために人差し指がうまくZボタンを見つけてくれない。Zボタンはあくまでおまけとして付けられたのではないだろうか。十字キーもおまけのような存在で少し押しづらいとはいえ、NINTENDO64のそれと比べると多少は改善されているように思える。スタートボタンは結局触らなかった。多用することもないだろうし、手元を確認してから押しても問題なさそうなボタンなので問題はないだろう。

また、振動機能が内蔵されているのだが重くなっているわけでもなく、振動も強すぎず弱すぎず全く問題ない印象。振動用モーターはコントローラ中央にあるような感覚。NINTENDO64が生み出した振動機能という要素は、様々な形でそれぞれのソフトに一花添えている。

ニンテンドーゲームキューブコントローラ(任天堂)

松下電器産業株式会社:SL-GC10

会場の入り口を入ってすぐのところにゲームキューブのパッケージや各種周辺機器が展示されていた。まず目を引いたのが松下製ゲームキューブ互換DVDプレイヤーのSL-GC10。想像していたよりも小さいが、若干高さが気になるところ。銀色のボディーで鏡のような前面パネルは美しい。会場ではDVDの再生デモが行われており、10月放送開始の星のカービィダイジェスト版が1日中流されていた。いかにも熱がこもりそうなアクリルケースに収められたSL-GC10だが、ファンが搭載されていない様子で、通風口のような物も見あたらない。この状態で1日中DVDを流し続けていることから、十分信頼に足る製品であると思われる。付属のコントローラは任天堂製品にはないつや消しのブラックでパナソニックのロゴ入り。DVD再生用のリモコンはオーソドックスなものだった。背面を見ると汎用のAVコードが使える様子で、任天堂製のコードは使えないようだ。

SL-GC10
松下製ゲームキューブ互換DVDプレイヤー。11月発売予定、価格未定。

メモリーカード

メモリーカード59とSDメモリーカードアダプター。メモリーカード59はとても小さい。見た目の雰囲気はプレイステーション用のメモリーカードに近いが、やや短くして薄くした印象。本体前面のスロットA、スロットBに差し込んで使用する。SDメモリーカードアダプターはメモリーカード59に比べると若干長いようだ。対応ソフトや詳細などがまだ分からない。単純に大きいメモリーカードとして使用できるのだろうか?

メモカ59 SDアダプタ
メモリーカード59。4Mビット(0.5Mバイト)の容量で59ブロックのデータ保存が可能。本体に同梱はされない。1400円。 SDメモリーカードアダプター。64Mバイト(メモカ59の128倍!)のSDカードに対応。価格、発売日ともに未定。64MBのSDカードは現在8000〜9000円程度。

各種接続ケーブル

通常のコンポジットケーブルはNINTENDO64の物がそのまま流用できるが、新たにゲームキューブ用のパッケージに納められて発売される。その中でS端子ケーブル以外はAVファミコンでも使用できるため、パッケージの側面にはファミコンのFFマーク、スーパーファミコンのロゴ(名称は知らない)、NINTENDO64のNキューブロゴ、ゲームキューブのGキューブロゴの4世代に渡るハードウェアのロゴが並んでおり、任天堂の歴史を感じることが出来る。ゲームキューブではアンテナに接続するRFスイッチに対応してないので、少なくともモノラルケーブルが接続できるテレビが必要だ。また、高画質で楽しむためにD2規格対応のD端子ケーブル、コンポーネントビデオケーブルも発売される。これらは映像出力のみのケーブルなので、ステレオAVケーブルの音声出力用の2本のケーブルを併用する必要がある。会場ではD端子ケーブルを使用してプログレッシブ表示をしていたようだ。専用のケーブルしか使えない仕様になっているが、その中で3500円と若干高級感のあるケーブルを発売するのは正解だろう。見る人が見れば、同じ規格でもケーブルの品質の違いで結構画質に差が出るらしい。できれば音にもこだわる人たちのために光出力端子も本体に欲しかった。

5種類のケーブル
D端子ケーブル、コンポーネントビデオケーブルはパッケージも大きめ。本体より大きい!

通信用アダプタ

モデムアダプタ、ブロードバンドアダプタ。アナログモデムの方は56kbpsの標準的規格のV.90に対応。ブロードバンドアダプタに関しては資料がないが、10/100 BASE-T両対応になると思われる。発売日は未定で価格も不明だが、出展されていたセガのファンタシースターオンラインが発売される頃に一緒に発売されることになるだろう。コネクサントという会社が任天堂とこれらのアダプタで技術提携をしているようだ。

2つのアダプタ コネクサント
左の黒い方がアナログのモデムアダプタ。右の銀色がいわゆるLANカード、ブロードバンドアダプタ。シリアルポート1を使用する。 「コネクサントはモデム速度技術における任天堂のワールドベストテクノロジーサプライヤーです」

ワイヤレスコントローラ「ウェイブバード」

10mの距離から無線で本体に接続した受光部と通信し、コードレスでプレイできる。電池ボックスが付属するため標準のコントローラと比べて厚みがある。振動機能は内蔵されているのだろうか。内蔵されているとすれば受光部側から振動情報を受け取るため双方向に常時通信する必要がある。電池の消費が激しくなるのも心配だ。発売日や価格は未定。同時発売にしても良さそうな物だが、無線を使用するために許可を取らないと発売できないのだろう、それで遅れているのだと思う。

ウェイブバード
中央に謎のスイッチ。連射機能とも振動のon/offとも言われる。個人的にはカラーリングがいまいち。

ゲームキューブGBAケーブル

当初の発表では通信ケーブル用コネクタのみと接続されていたが、ゲームボーイアドバンス本体上部の固定用穴を使用して、がっちりと固定する形に変更された。業者日にはコロコロカービィの試遊台が設置され、実際に体験できたようだが、一般日にはこの展示のみ。12月14日のどうぶつの森+と同時発売され、価格は1400円。今のところ複数のケーブルを使用して対戦をするようなソフトの発表はなされていない。裏側から見ると、ちゃんとカートリッジが抜き差しできる構造になっていた。

GBAケーブル 裏面
ゲームキューブ本体のカラーリングやケーブルの色を考えるとゲームボーイアドバンスもバイオレットだととても見栄えがよい。 ちゃんとカートリッジと併用も可能。コロコロカービィをプレイするときにはここに動きセンサー内蔵のRAMカートリッジを接続することになる。

カラーバリエーション

11月に発売されるブラック、オレンジのゲームキューブ本体とバイオレット×クリアのコントローラの展示。同時発売ではなく、11月に出すところにスマブラの影響の強さが伺える。オレンジが思いのほか人気が高く、9月には買わないと言い出す人が結構居た。バイオレット以外のコントローラだと青いZボタンに若干の違和感がある。ブラックのコントローラはSL-GC10付属の物と若干色が異なっているようだ。

3色そろい踏み 裏側
発売前にこれだけのカラーバリエーションを揃えるのは異例らしい。とは言っても去年は5色発表されたのだが。 裏側がクリアボディーのコントローラ。コードの下あたりの出っ張り部分に振動モーターが内蔵されているのだろうか。LRボタンの曲線使いにも注目。

各種パッケージ

ゲームキューブの同梱品とソフトのパッケージ。本体の小ささもすごいが、それを納めるパッケージもかなり小さい。この箱の中にゲームキューブ本体とコントローラ、ACアダプタ、説明書が入ってくる。写真で見ても小ささは伝わりにくいかもしれない。ゲームショップに行くとソフトのパッケージ見本が置いてあると思うので実際に手に取ってみると良い。

パッケージ ソフトケース
ACアダプタが異常に大きく見えるが本体が小さすぎるため。まあ、それにしても大きいんだが。 ソフトのパッケージを開けると8cmメディアとメモリーカードを入れるスペースが見える。説明書もバラバラにならないようにちゃんとホールドされている。

ジャガー:nuotto(ヌオット)

最後に、全く興味はないのだが2時間待ちの行列表示に驚いたゲームボーイカラー対応のカービィファミリー。ジャガーインターナショナルコーポレーションのソフトで専用のコンピュータミシンにゲームボーイカラーを接続して画面で絵柄を選んで刺しゅうをさせる。並んでいた人たちにはその場で作られた刺しゅうがプレゼントされていたようだ。

カービィファミリー
9月10日発売、6800円。たいして売れないんだろうなあ。

おまけ:サインをくれた人たち

パナソニック製ゲームキューブ互換機SL-GC10を見ていると、すぐ隣のゲームキューブパッケージ展示の前でテレビ取材。インタビュアーがマイクをむけているのは今西広報室長。取材が終わったところでおもむろに近づき、ガイドブックの表紙にサインをいただこうとすると先に数人同じ考えの人が居たので後ろに並ぶ。あっという間に行列が出来ていたが、最後尾あたりに並んでいた人は行列の先頭でサインをしている人が誰なのか知っていたのだろうか。

今西さん
テレビのインタビューに応じる今西広報室長

ピクミンの行列に並んでいると隣で色紙にサインをしているお兄ちゃんが居た。カービィの絵を描いている。HAL研の桜井さんだった。普通の格好をしていたので、サインしてなければ全く気づかなかっただろう。行列に荷物を残してサインをねだりに行く。

桜井さん
カービィのイラスト付きサインを書いている桜井さん。スマブラDX制作がんばってください。

スターフォックスアドベンチャーの列に並んで、横を見るとひげ面のスタッフがじーっとプレイする人たちを眺めている。情報開発部の今村さんだった。列を抜けてサインをねだりに行くと、「列に戻って。僕がそっち行くから。」と親切に対応。話を聞くと、今村さんがレアと共同でスターフォックスアドベンチャーを開発しているとのこと。今村さんはスターフォックス64ではアートディレクターをしていた。NINTENDO64で「ダイナソープラネット」として開発していた頃はおそらくレア単独でやっていたのだろうが、スターフォックスの名前を貸した以上、勝手にはさせないと言うことだろうか。たしかにガイドブックの説明でも「イギリス・レア社と任天堂の合作」とある。

今村さん
3日間同じところに立っていたらしい今村さん。イラストはスリッピーを描いてくれた。

任天堂スペースワールド2001レポートソフト編に続く

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