2017年07月07日

私はキンプラに殺された


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アニメ映画「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」(=キングオブプリズム プライドザヒーロー 以下キンプラ)が6月10日に公開されたので、初日に見に行った。

その結果、死んだ。

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このblogはあの世から書いている。
あの世から書いているから現世のルールが通用しないので、ネタバレも書いちゃう。

キンプラは、2016年1月に公開されたアニメ映画「KING OF PRISM by PrettyRhythm」(=キングオブプリズム バイ プリティーリズム 以下キンプリ)の続編だ。
前作キンプリは、フィギュアスケートのような競技"プリズムショー"界を描いた作品で、過剰としか言いようがない演出が魅力となっている。ダンスシーンではtrfのEZ DO DANCEのリズムに乗って巨大な剣が振り下ろされ腹筋で跳ね返したり、巨大な龍に乗って体当りしたりするし、ケツから蜂蜜が出たり、電車に乗ってハリウッドに行ったりする。最終的に主人公が所属する団体が潰そうとする対立組織のボスが、全裸でビルの屋上に設置された露天風呂で宣戦布告するまでの物語である。

この映画は観客が声を出したりペンライトを振ったりコスプレしたりする「応援上映」が実施されていて、その都度違う体験ができるようになっている。それが楽しくて、最終的に48回ほど鑑賞した。

それほどのめり込んだ作品なので、続編の登場には複雑な思いがあった。
もちろん期待していたが、期待が高まれば高まるほど、実際に目にしたときのギャップで衝撃を受けてしまうのではないか、臨んでいない結末になるのではないか、不安でいっぱいだった。

そして迎えた6月10日、最速上映と称して0時から上映が開始された。
仕事の都合で0時の回は参加できず、朝から行われる初日舞台挨拶ライブビューイングからの参加となった。ちなみに、最速上映と舞台挨拶はペンライト等の持ち込み不可の通常上映だ。

その日は全く眠れず、映画館近くのカラオケ屋で徹夜していた最速上映鑑賞済みのキンプリ仲間と、夜明け前に合流した。
彼女らは私に会うなり、こう言った「あれっくすさん、死にますよ」

「えっ!?死ぬの?」と聞き返すと、その場にいた全員が「死ぬ」「絶対死にます」「死にますね」と返した。

数週間前にキンプラを試写会で鑑賞した人たちも、鑑賞直後から言動がおかしいので、相当衝撃的な内容であることは理解していた。しかし、死ぬのか。
また「めっちゃ泣いた。ハンカチじゃなくタオルが必要」というアドバイスも事前にもらっていたのでタオルは準備している。

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上映が始まり、前作のスタッフロール後に流れた予告と同じ展開になった。次回作の制作が決まっていない状態で作られたというある意味嘘予告が真実になった瞬間だ。すでに涙ぐんでいる。声も漏れそうだ。タオルを顔に持っていく。

その2分後「タオルが必要」という真の意味を理解した。

画面いっぱいに広がる劇画タッチの全裸の登場人物たち。なんだこれは。何を見せられているんだ。
脳が「これは通常上映だから、なるべく静かに鑑賞する映画鑑賞マナーに従う必要がある」と判断するより先に噴き出しそうになり、タオルで口を抑えた。危なかった。

その後も、前作ファンを泣かせるような演出と笑わせに来る理解を越えた映像が交互に出てきて泣いていいのか笑っていいのかわからない状態となり、タオルが手放せなかった。
次々と回収しながら張られていく伏線、同時に4シーンが並行する大胆な展開、細かく散りばめられた過去作のオマージュ、大量の情報が脳内に注ぎ込まれ、ストーリーなど全く頭に入ってこない。
空中で龍と虎がぶつかり合い、出場選手による腹筋爆弾で破壊された会場が、別の選手によって再建築され、改築費の1200億円が浮き、民主制が確立され、その数分後に王位戴冠が行われて絶対王政がしかれた。地球は青くなかった。王位戴冠するあたりから涙が止まらず、エンディングはタオルがしっとりするほどに泣きまくった。
何を言っているかわからないと思うが、実際に見ても良くわからない。

上映時間は(体感で)5時間ほどあったが、時計は70分ほどしか進んでいない。
疲労感が凄い。一体何を見せられたんだ。

上映が終わり、キャストと監督の舞台挨拶(のライブビューイング)が始まる。
なんかいろいろ言っていたが頭に入らない。ほとんど覚えていない。
眼球は監督たちの姿を捉え、耳は監督たちの口から発せられた空気の振動を感じているのに、脳が受け付けていない。時間の感覚もおかしいし、正常な生命活動が停止している。

そうか、今、自分は死んでいるんだ。殺されたんだ。

シアターからロビーに移動し「すごかった」「なんかやばかった」「やばい」「うん」「死んだ」と語彙のない会話をした。死んだので語彙も殺されてる。
舞台挨拶は休憩を挟んで連続2回となっており、2回目から参加する友人に「死ぬよ」と伝えた。

2回目の舞台挨拶と本編上映を終え、ある程度ストーリーも理解できた。
そのまま周りの人たちを誘って昼食にカレーを食べに行く(なぜかカレーが食べたくなる映画なのである)
ようやくネタバレトークが解禁されたことで、みんなよく喋る。
しかし、みんな記憶が曖昧で話が噛み合わないことがある。
「ミナトさんがレッスン室でなんで麺を伸ばしてたの?」「えっ!?麺?」「なんであんなに目立つシーン見落としてるの」
情報量が多すぎて、それぞれが記憶している場面が違うのだ。

その日は2回で脳がギブアップしたので、翌日に再度見に行った。
今度は応援上映だ。

応援上映なら、笑えるシーンで大声で笑えるし、スクリーンの中のキャクターに全力で声援を送れる。
体を動かして、声を出しているにも関わらず、通常上映よりも疲労感が少ない。
やはりこの映画は応援上映がよく似合う。

その日は結局応援上映を2回、通常上映を1回観た。
その翌日も応援上映を2回、通常上映を1回観た。

約1ヶ月が経過し、鑑賞回数は15回(応援8回、通常7回)になった。
この1ヶ月、映画館の外にいる間はなにか物足りないものを感じ、映画館で地球が青くないことを確認すると元気を取り戻すような生活を送っている。
本当はもっと早く書くつもりだったが、気持ちの整理をするのに1ヶ月かかった。
キンプラを観ていないときの自分は死んでいるようだ。だから、今あの世からblogを書いている。

私は、キンプラに殺されたが、キンプラに生かされている。


この意味不明な感想文を読んで、少しでもキンプラに興味を持ってくれた人がいれば幸いだ。

これから、この映画を観る人にアドバイスがある。
前作、キンプリは別に見なくていい。"90秒でわかる!劇場版「KING OF PRISM by PrettyRhythm」"という動画が公開されているので、これを見れば十分だ。

キンプラを観て、もっと彼らのことを深く知りたいと思ったらあとでキンプリを見ればいい。
さらに深く知りたければ元となったTVシリーズ「プリティーリズム レインボーライブ」を観るといい。名作である。

関連作品を観ることよりも重要なのは「観終わったあとで感想をぶつける相手を用意しておくこと」だ。これは本当に重要。

前述のように、情報量がとてつもなく多い。一人の脳内で処理しようとすると体調不良に陥るおそれがある(誇張ではなく、一人で観に行って実際に体調を崩した人がいる)
キンプラ経験者について行ってもらうのがベストだが、LINEやSNSで感想をぶつける相手がいればそれでもいい。

ちなみに、本作では劇中に繰り返し「プリズムの煌めき」というフレーズが出てくるが、分光に用いられるガラス製の三角柱とは無関係で、ドラゴンボールにおける「気」やHUNTERxHUNTERにおける「念能力」やガンダムにおける「ミノフスキー粒子」などと同等の「なにか」である。特に気にしなくていい。元になったアニメシリーズであるプリティーリズムの略であり、単なるダジャレだ。

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応援グッズとしてJOYが便利(※)。
これで高田馬場ジョージくんを応援しよう。
空き容器がなぜかキングブレードにピッタリとハマる。
先端から光が漏れるので、底にティッシュを詰めるといい。

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入場者特典として、オバレ3人のなりきりうちわがもらえたのだが、いとちゃんを眺めるコウジや、べる様に花を贈るヒロ様の視点を再現できて大変便利(※)だ。

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3人の身長の高さに合わせて壁に貼り付けると、本人たちのサイズがリアルに体感できて非常に便利(※)

※頭がおかしいオタクが言う「便利」の意味を深く考えてはいけない。

さて、この記事を(あの世から)書いた7月7日はキンプラでオーバー・ザ・レインボーの3人がライブを行い、一条シンが初めてプリズムショーに出会った日だ。
2日後の7月9日、太刀花ユキノジョウの誕生日に菱田監督と西プロデューサが福岡まで舞台挨拶にやってくる。全力で監督と西さんに感謝の言葉を伝えていきたい。

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