特集2:【F-ZERO X EXPANSION KITレビュー】


64DDソフト 「F-ZERO X EXPANSION KIT」 発売元:任天堂
2000年4月発送 ランドネットスターターキットに同梱

「F-ZERO X EXPANSION KIT」は64DD用ディスクソフトでNINTENDO64ソフト「F-ZERO X」の拡張ディスクとなっている。現在の所NINTENDO64カセットと64DDディスクを併用する唯一のソフトである。

ディスクによって追加される機能はいくつかある。

  1. コースエディット機能
  2. 12の新コース
  3. マシンエディット
  4. 3つのマシン追加
  5. セーブ領域の増強
  6. サウンドのステレオ化、新曲追加

この機能の中で最も重要なのはコースエディットであろう。F-ZERO Xのコースも64DD上ではないだろうが、同じようなツールを使って作成したというだけあって、ゲーム内で登場するコースと同等のものが作成可能である。実際に使用されたコースをロードして改造することも可能だ。コースを作成する際の操作感は軽快で簡単な手順で立派なコースを作成できる。コースの作成はタイル上の部品を置いていくのではなく、輪になった針金をねじ曲げるような感覚でできる。そのため、3Dであることを生かしたループや立体交差などが容易に配置できる。腰を据えて作り込めばかなり立派なコースが造れるだろう。

しかし、惜しいことにせっかくネットに対応しているハード上のソフトであるにもかかわらず、作成したコースをネット上で公開したりメールに添付したりして他人に渡すことが出来ない。ディスクの入れ替えを行えば直接手渡すことも出来るのだが64DDを持っている人なんてそんなに居るわけじゃない。苦労して作成したコースも自分で遊ぶか、誰かを自分の部屋に招いて遊んでもらうしかないのだ。コースエディットがこれほどまでに洗練されているのにそれを生かし切れてないように思える。

今更何を言っても仕方がないのだろうが、ネットに対応してくれていたらいろんな事が出来ただろう。毎週月曜にコースが公開されて日曜日までタイムアタックで日本中のユーザーが競い合ったり、ユーザーが作成したコースを応募して優秀なコースを配布したり。メーカーの利益にならなければ1コースあたり何円かで売るという手段もあっただろう。もし実現すればどれだけ楽しかったことか。

また、DD1-CUP、DD2-CUPそれぞれ6コース、合計12コースの追加がされたがカセット版の4つのカップに比べると難易度が高くなっている。しかし、単純に難易度が高いだけで走っていてあまり楽しめなかった。コースエディットの手本にはなるが、タイムアタックに挑戦したくなるようなコースではない。もう少し走りがいのあるコースが欲しかった。

いろいろと不満点はあるが、発売したソフトの延命措置として追加ディスクは良い手法だと思う。操作方法を覚えてテクニックを磨く手間が省けるからすぐにゲームにのめり込めるし、ソフトに愛着も沸く。下手にソフトを乱発するよりも一つのソフトを大切にしていくことも重要だと思う。

2000/06/10

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