« 2014年09月 | メイン | 2014年11月 »

2014年10月31日

著作権侵害で訴訟沙汰になり反省したBuzzNewsがとった奇策

バイラルメディアと被害者

SNSでの伝染性に特化した会話のネタになりそうな記事を量産する"バイラルメディア"が少し前から広まっているが、ごく一部の善良なサイトを除いて大半が他の人間が創りだしたコンテンツを盗用ないしは単なる紹介をする形で記事を量産している。写真や文章を丸ごとコピーし、引用の要件を満たしておらず、大半が著作権侵害だ。 端的に言えば人の褌で相撲を取るような連中なのだが、著作権侵害で訴えようにも運営会社が公開されていなかったり、被害が少額で裁判を起こしにくいために泣き寝入りする人が大半だった。

そんな中で、フリーライターのヨッピー氏がYahoo!スマホガイドで「悪質バイラルメディアにはどう対処すべき? BUZZNEWSをフルボッコにしてみた」という記事を書いた。非常に力の入った素晴らしい記事なので、ひとまず読んで欲しい。

この記事では、悪質なバイラルメディアであるBuzzNewsに著作権を侵害された人達を集めて、BuzzNewsを運営するWebTechAsia PTE. LTDのCEOである高木健作を呼び出して、事実関係の確認を行った上で訴訟を起こすことを告げて、記事の取り下げ、謝罪文の掲載、和解金の支払いという条件で和解し、訴訟を取り下げる結果となっている。ただ、この和解については協議中とのことで、高木健作の態度によっては今後訴訟につながることもありそうだ。

BuzzNewsの見解

記事の中には驚くような記述が多数あり、とんでもなく甘い考えでWebTechAsia PTE. LTDのCEOである高木健作が悪質なバイラルメディアであるBuzzNewsを運営していることが明らかになった。

そもそも、最初はBUZZNEWSサイドが「転載元を記載していたらオッケー」というマジの勘違いをしたまま運営していたらしく、そこの部分の認識がズレていたため、なかなか前向きな話ができなかったのであります。なので、そこのすり合わせからスタートしました。

僕「まず、著作権を侵害しているという認識はあるのかないのか、そこをハッキリさせてください」

代表「はい。今回のご指摘をいただいて、自分で調べたり、あと弁護士にも相談したりしたところ、自分のサイトのサーバーに画像を置いた時点でアウトだ、ということを認識しまして。ですので、ご指摘のようにそういう違反があったことは認めます」

驚いたことにこの男は「他人の著作物を勝手にコピーしたら犯罪である」という基本的なことも理解していなかったのである。一般人ではなく、メディアを名乗るサイトを運営する企業のトップだというのに。

●●(←お好きな言葉を入れてください)が運営するサービス

今回の記事の中でも触れられているが、数カ月前に「netgeek」という他のバイラルメディアを喧嘩腰で糾弾する割にはCCライセンスの要件を満たさない写真盗用などの著作権侵害をバリバリ行っている目くそ鼻くそな感じのバイラルメディアが、情況証拠だけでBuzzNewsをガンガン糾弾していったら、事実誤認をやらかしまくって(たぶん)BuzzNewsから逆に訴えられそうになって記事を取り下げた事があった。

その泥棒同士の殴り合いを楽しく眺めているうちに、元WebTechAsia PTE. LTDの社員である人物とコンタクトをとることが出来た。せっかくなので私の方から色々と質問をした結果、高木健作は、豊富な知識を駆使して法の網をかいくぐるタイプではなく、マジモンの法オンチであることがなんとなく理解できた。会社内に法務を扱える担当者すらいないらしい。学生時代にワナビーズという会社を立ち上げて、そのまま一般の会社での社会人経験なしで会社の代表をつとめているので、脱法行為のリスクを全く理解しておらず、遵法精神も欠如していて法律を学ぶような努力もしない人間であることがうかがい知れる。おそらく自分を守るための法律知識も持ち合わせていないので、トラブルを起こせば転落はあっという間だったはずだが、目隠ししたまま赤信号を何度も走り抜けて、たまたま無傷でいる運の良い人間なのだろう。

IT業界で代表を務める人間が、複数のサイトを立ち上げて運営していながら、自分のサイトにコピーしたらアウトだと弁護士に教えてもらうまでわからなかったという不自然な状況でも、元社員の言葉を信じれば、そういうこともあるのかなあと思えなくもない。
たしかに、ネット上で見つかる高木健作がアウトプットした文章をひと通り読んだ個人的な感想を述べると、法律を熟知して網をすり抜ける天才か、単に運がいいだけの勢いのあるエネルギッシュな●●(←お好きな言葉を入れてください)のどちらかと聞かれたら、間違いなく後者だと断言できる。

お詫び文の掲載

話を戻そう。
今回は弁護士が間に入ったので、いくら●●(←お好きな言葉を入れてください)でも弁護士の指示に従って法的にまっとうな対応を取るだろう。ここで下手こいたら確実に会社ごと潰れる。

そして、ヨッピー氏の記事がYahoo!スマホガイドに掲載されてしばらくして、悪質なバイラルメディアであるBuzzNewsを運営するWebTechAsia PTE. LTDのCEOである高木健作は、「一部報道について | BuzzNews(バズニュース)」というページでお詫びを掲載した。

謝罪文として突っ込みどころが満載なのだが、権利を侵害して相手に損害を与えたにも関わらず、「不快感を与えてしまった」という軽い印象を受ける記述ではあるが一応謝っているし、「現在は、運営方法を改善しております」とも言っている。和解金については触れていないが、ちゃんと支払うのであれば和解条件は満たしていることになる。

運営方法の改善…??

さて、その運営方法はどう変わったのだろうか?画像のコピーは禁止したのだろうか。

続きを読む "著作権侵害で訴訟沙汰になり反省したBuzzNewsがとった奇策"

2014年10月10日

スマブラamiiboの各国における人気ランキング

「大乱闘スマッシュブラザーズ」のWii U版の発売日が12月6日に決定した。3DS版、Wii U版でゲームと連動させて遊べるフィギュア「amiibo」も同日に18種類発売されることが発表された。
amazonではソフト本体とともにamiiboの予約が開始されている。

なお、北米ではスマッシュブラザーズとともに11月21日に12体のamiiboが発売され、のこりの6体は12月発売予定となっている。
amiibo - Nintendo

18体のフィギュアのどれが人気なのか、各国のamazonとヨドバシカメラの売り上げランキングで調べてみた。

amiibo01.png


ランキングは2014年10月10日現在のもの。

リンク強い。安定しすぎて怖いぐらい。
マリオとゼルダも強い。
Wii Fitトレーナーは…、まあ、その位置だよね…。

アメリカで一部の商品の順位がないのは、どのカテゴリのランキングでもランク外だったため。品切れだったのかもしれない。あと、12月発売分の6体がamazon登録のタイミングがほかと違っていて集計期間が他とずれている可能性がある。

現在発表されている18体以外のスマブラフィギュアも今後リリースされるが、40体を超えるプレイアブルキャラの全部が出てくるのだろうか?他社キャラであるソニック、ロックマン、パックマンはどういう扱いになるのか気になるところ。
また、amiiboはスマブラに限った商品ではないので、今後リリースされる新作ソフトでの連動や新フィギュアにも期待したい。
ただ、1000円超のフィギュアを大量購入させられるのはメインターゲットである子供たちにとってつらいものがあるので、大量に買うとゲーム上でメリットがあるような仕様ではなく、1体持っていれば十分楽しめるような作りにして欲しいところだ。

Wii U発売当初からNFCを搭載していたので、本体設計時点からこういった商品を出すことは当然考えていたはずだが、本体発売からずっと放置しておきながら、ようやく任天堂が本腰を入れだしたのはディズニーインフィニティが同様のフィギュア展開で大成功を収めているというのが一番の要因だろう。
今回、各国のゲーム周辺機器ランキングを洗いざらい見た中で、ディズニーインフィニティ用のフィギュアが大量にランキングに並んでいることに驚かされた。そりゃ、任天堂も真似したくなるよ。

価格的にはプレゼントに最適な感じなので、対応ソフトがどんどんリリースされてほしい。そして、amiiboが売れてWii U本体も売れてamiibo対応ソフトが売れるという好循環が生まれるかどうか、見守っていきたい。

2014年10月01日

ファミ通ゲーム白書が99%オフの285円(追記あり)

様々な要因が重なった結果、定価が3万円以上のゲーム業界向け白書がたったの285円で購入できてしまう現象が発生している。

【要因1】10月1日にKADOKAWAとDWANGOが経営統合し、株式会社KADOKAWA・DWANGOが誕生した。
【要因2】KADOKAWAは大々的な発表などのタイミングで出版部門の電子書籍セールを行う。
【要因3】ファミ通ゲーム白書を発行しているエンターブレインはKADOKAWAグループである。
【要因4】amazonは他の電子書籍サイトのセールに合わせて対抗セールを同時期に行う。
【要因5】今回のamazonによる対抗セールは一部の商品を285円に設定するもの。
【要因6】突発的なセールの場合、amazonの値段の設定ミスが起きることがある。

結果として、書籍版の定価が38,880円(税込み)の「ファミ通ゲーム白書2014」のKindle版が現在285円で購入できる状態になっている。脅威の38,595円引き、99.3%OFFである。

最新版だけではなく、2011年、2012年、2013年版も285円である。

他にも35冊セットの小説が285円だったり、紙の本だと3000円ぐらいする画集が285円だったりして、だいぶ愉快なことになっている。

amazonの285円祭りはともかくとして、格安で膨大なデータが詰まった資料を4年分入手することが出来たので、ざっくりと読んでみた。

1年間の売上ベスト1,000、やたら細かく分けられたジャンル別売上ランキング、地域別の海外動向、有名シリーズの動向など、ファミ通が普段集めているデータをこれでもかと集約した内容だ。

売上げベスト1000は最下位がわずか1,639本だったり、野球ゲーム売り上げランキングでは特定メーカーが市場シェア100%(1社だけで6本リリースして、他社が0本)だったり、「歴史アクション」という特定のゲームシリーズを連想させるランキングで予想通りの会社が市場シェア96%を超えていたり、非常に面白い。

なんなんだこの円グラフは。

famitsu1.png

海外市場については欧州市場を細かく分けていて、スカンジナビア(スウェーデン/ノルウェー/デンマーク/フィンランド)やベネルクス(ベルギー/オランダ/ルクセンブルク)のソフト・ハード売上情報も掲載されている。

モバイル市場の情報も充実しており、例えばパズル&ドラゴンズをプレイしているユーザは他にどのようなスマホゲームを遊んでいるか、月々のお小遣いはいくらか、どのSNSを利用しているかなどがまとめられている。

気になるのは情報が細かすぎるところ。Webアンケート自体の回答者数は12000人ほどだが、特定のゲーム機所有者で特定の年代ごとの数値まで出ている部分は、対象者が極端に少なくなり数字のブレが大きく出るのではないかと思える。この辺りは読者側でそういう数字だと理解しながら読むしかない。「Xbox360所有の50-54歳によるXbox360の評価が、満足0% やや満足100% やや不満0% 不満0%」という数字を見たら「あー、持ってる人は1人しかいなかったんだな」と読み解く必要がある。

読めば読むほど意外な発見が出てくる。
妖怪ウォッチのユーザ層を見ると10-14歳が40%という他のソフトに比べて異常に高い数値を出している。例えば、この層は逆転裁判5だと2.5%しかおらず、ポケモンXYでも23%、マリオカート7でも30%だ。子供に高い人気を得ていることが分かる。
しかし、妖怪ウォッチを超えるゲームがあり、トモダチコレクション新生活だと49%が10-14歳層となっている。うまく子供たちを巻き込んでマーケティングできれば、妖怪ウォッチ級のヒットにもなり得たのではないだろうか?
あと、GTA5で10-14歳が9.3%ってどういうことだよ…。

深く読み進めていくときりがないので、少しずつ読み進めて今後blogの資料として活用していこうと思う。

閲覧環境についていうと、この本は電子書籍にしては字が緻密なので、Kindleが読める端末なら全部OKというわけではない。

画面サイズがでかくなったとはいえ、iPhone 6 Plusで読むには文字が小さい感じはするものの、拡大しなくても読めなくはない感じ。さすがフルHD。iPhone6や5S以前だとかなり厳しいと思う。
7インチタブレットのNexus7だと結構読みやすいが、見開きは無理そう。
先日リリースされたブラウザ版のKindle Cloud Readerだと見開きでも見やすい。ただ、この本は見開きで見る必要性はあまり大きくないので、1ページ単位での閲覧ならタブレットが最適だろう。
また、自分は所有していないのだが、白黒のKindle専用端末だとフルカラーのこの本を読むのは絶望的だ。

MacbookPRO 15インチ、Nexus7、iPhone 6 Plusでの表示を並べるとこんな感じ。

famitsu-10.jpg

ある程度の資料は、同等の数値データがネット上に掲載されているが、ここまでまとまった形で読めることはない。ゲーム業界に興味がある人ならコンビニスイーツ程度の出費を惜しまず買うべきだろう。

【追記】
と、午前7時に書き終わって、掲載して再度値段を確認したら14,000円になってる!!!!!
やっぱり値段の付け間違えだったのかな。


- N-Styles -