2007年05月01日

2006年度のWiiは予定の600万台販売をほぼ達成。2007年度目標は1,400万台


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任天堂の2007年3月期決算が発表され、2006年12月2日に発売したWiiの世界販売台数が、3月末時点で584万台であることが明らかになった。2006年3月期決算で発表された販売予想の600万台にはわずかに及ばないものの、達成率は97%でほぼ予定どおりの販売台数となっている。

過去の決算資料とあわせ、表にしてみた。

ゲームボーイアドバンス(2001年3月21日/9,800円)
ゲームボーイアドバンスSP(2003年2月14日/12,500円)
ゲームボーイミクロ(2005年9月13日/12,000円)
年度 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
ハード予想
- - 1,900 2,000 1,400 1,020 250 -
ハード実績
107 1,709 1,565 1,759 1,540 833 434 -
ハード累計
107 1,816 2,394 5,140 6,679 7,513 7,946 -
ソフト予想
- - 5,700 6,000 7,000 5,050 3,000 800
ソフト実績
273 4,705 4,051 7,489 8,457 5,936 3,853 -
ソフト累計
273 4,978 7,122 18,379 26,836 32,772 36,625 36,572
装着率
2.55 2.74 3.22
3.58 4.02 4.36 4.61 4.72
国内タイトル数
25 143 205 156 165 76 16 -
北米タイトル数
- 149 221 145 181 170 126 -
その他タイトル数
- - 203 142 135 170 109 -
ニンテンドーゲームキューブ(2001年9月14日/25,000円)
年度
  2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
ハード予想
- 400 1,200 600 450 280 - -
ハード実績
- 380 576 502 392 235 73 -
ハード累計
- 380 955 1,457 1,850 2,085 2,159 -
ソフト予想
- 1,000 3,600 5,000 4,500 3,450 1,500 350
ソフト実績
- 1,437 4,614 4,737 4,842 3,279 1,680 -
ソフト累計
- 1,437 6,051 10,787 15,629 18,908 20,588 20,938
装着率
- 3.78
6.34 7.40 8.45 9.07 9.54 9.70
国内タイトル数
- 22 77 89 43 37 7 -
北米タイトル数
- 42 159 125 99 84 40 -
その他タイトル数
- - 150 127 80 67 28 -
ニンテンドーDS(2004年12月2日/15,000円)
ニンテンドーDS Lite(2006年3月2日/16,800円)
年度
        2004 2005 2006 2007
ハード予想
- - - - 350 1,240 1,600 2,200
ハード実績
- - - - 527 1,146 2,356 -
ハード累計
- - - - 527 1,673 4,029 6,229
ソフト予想
- - - - 1,500 3,500 7,000 13,000
ソフト実績
- - - - 1,049 4,995 12,355 -
ソフト累計
- - - - 1,049 6,044 18,398 31,398
装着率
- - - - 1.99 3.61 4.57 5.00
国内タイトル数
- - - - 26 147 272 -
北米タイトル数
- - - - 18 97 157 -
その他タイトル数
- - - - 16 84 162 -
Wii(2006年12月2日/25,000円)
年度
            2006 2007
ハード予想
- - - - - - 600 1,400
ハード実績
- - - - - - 584 -
ハード累計
- - - - - - 584 1,984
ソフト予想
- - - - - - 1,700 5,500
ソフト実績
- - - - - - 2,884 -
ソフト累計
- - - - - - 2,884 8,384
装着率
- - - - - - 4.94 4.22
国内タイトル数
- - - - - - 38 -
北米タイトル数
- - - - - - 47 -
その他タイトル数
- - - - - - 45 -
 ※売り上げの単位は万台・万本、タイトル数の単位は本
 ※装着率は「ソフト累計÷ハード累計」
 ※緑色で表記した2007年度の累計、装着率は予想値
 ※赤字は予想を下回った実績値、青字は予想を上回った実績値
 ※ゲームボーイアドバンスシリーズ、ニンテンドーDSシリーズの台数はそれぞれのハードの合算
 ※販売予想台数(本数)は、前年度決算時のもの。中間決算などで修正が行われることがあるが、それは考慮していない。
 ※ゲームボーイアドバンスの2001年度は10日間の実績。
 ※ゲームボーイアドバンスの2001/2002年度の予想は資料なし。


1,400万台の理由
本体の品切れが相次ぎ、入荷したその場で同じ台数だけ売れている図式が世界中で展開されていたので、実際に市場に出回ったWiiの台数は600万台とほぼ同等の数量だったと考えられる。出せば出すほど売れる状態だったわけで、ほぼ600万台の販売実績はWiiの実力というよりも、任天堂の生産能力を現しているものといえる。

2007年度は1,400万台と、2006年度の2倍強の販売を予定している。Wiiの発売直後から増産を発表しており、おそらくは1,400万台以上の生産を行うことは可能であろう。ニンテンドーDS Liteのように発売直後から1年以上経過しても生産数≒出荷数≒販売数の数式、要するに出しただけ売れる状況がWiiでも1年間ずっと続くと考えるほど任天堂も楽観視していないだろう。まあ、要するに任天堂の予想を超えて品切れが続くようであれば、1,400万台を超える結果が出てくる可能性が十分にある。

sales_2007_hard.jpg
図1:ハードウェアの販売台数推移

Wiiの異常な装着率
出しただけ売れるという図式も異常なのだが、Wiiの真に恐ろしいところはその装着率にある。装着率というのはハード1台あたりのソフトの販売本数だ。この装着率が、わずか4ヶ月程度の販売期間で4.94、つまりWii本体1台あたり約5本のソフトが売れた。任天堂が当初予定していた1,700万本を大きく超え、2,884万本ものソフトが売れているのである。2006年3月決算では予定していなかったが、海外版のWiiはWii Sportsを同梱し、そのWii Sportsもソフトの販売本数に含まれるので、そのぶん装着率が高くなっているがそれでも初年度実績にしては高すぎる。国内での装着率は3.06、北米での装着率はWii Sportsを含めて6.11、その他の地域でも5.60と海外では特に高い数字を出している。

ニンテンドーDSの初年度実績は装着率1.99だったが、据置型ハードと携帯ハードでは装着率にもともと大きな差が出るので単純に比較は出来ない。携帯ハードは基本的に1人に1台であるのに対し、据置型ハードは1台のハードを複数人で使用する。そのため、1台のハードに対してソフトを選ぶ人が複数いるので装着率が大きくなるわけだ。Wiiは今までのゲームよりも家族みんなに遊んで貰うよう配慮しているからか、1台あたりのプレイヤが今までの据置型ハードよりも多いのではないだろうか。その結果、北米ではWii Sportsを含めて本体1台あたり平均6本以上のソフトをたった4ヶ月ちょっとで買いそろえてしまう結果になってしまったのだろう。

なにかとニンテンドーDSと比較されることの多いWiiだが、そのニンテンドーDSのスタート時をはるかに超えるハイペースで普及が進んでいる。しかも、異質なハードを物珍しげに買っているのではなく、ソフトが飛ぶように売れている。ソフトの力で本体を牽引するという、ゲーム機の見本とも言える売れ方だ。意地悪な人は「物珍しさだけで売れているだけだから、ソフトもすぐに飽きて別のソフトを買っている」と解釈するかもしれない。しかし、飽きて買い足すなんて理由で装着率4.94になるまでソフトが売れ続けるだろうか?物珍しさだけで買っているなら、何本も手を出す前にWiiそのものを遊ばなくなるのではないだろうか。

sales_2007_soft.jpg
図2:ソフトの販売本数推移

前代未聞の1億本超え
Wiiのソフト販売数も異常だが、それ以上に無茶苦茶なことになっているのはニンテンドーDSソフトの販売台数だ。なんと1億本超え、1億2,355万本を1年間で売り切った。日本国内では何本ものミリオン、ダブルミリオン、トリプルミリオン、さらにそれ以上のセールスを記録したポケットモンスターがあり、海外では脳トレやnintendogsが爆発的に売れている。内訳を見ると、国内で約5,000万本、北米とその他の地域でそれぞれ約3,700万本のソフトを販売している。やはり国内での人気が高い。

2007年度のニンテンドーDSは、ハードを2,200万台、ソフトを1億3,000万本販売する予定となっている。ハードの販売台数は下落するとの予想だ。2006年度はとくに国内市場が異例ずくめで、同じペースでの販売はおそらくどれだけ手を尽くしても不可能。1年間でハード900万台、ソフト5,000万本という記録は、据置型ハードの世代交代、ニンテンドーDS Liteの登場、脳トレブーム、ポケモン発売など複数の要素が重なり合ってはじめて達成できた記録であり、他のハードでもこの記録を超えることは今後数年間ないだろう。今後はニンテンドーDSの独壇場とはならず、Wiiもそのパイを奪いに来る。そうなってくると、1億3,000万本のソフト販売本数達成は海外市場、特に北米市場が重要となる。任天堂も北米向けのソフト充実に力を入れ、サードパーティから優秀なソフトが多くリリースされるようになった国内市場は様子見となるかもしれない。

2007年度の動向
好調なことこの上ないニンテンドーDSだが、今年度中には発売4周年を迎える。勢いに乗っているときにあえてそれを邪魔するようなことはしないだろうが、そろそろ臭わせる程度に、次世代機の話が出始める頃ではないだろうか。2008年3月期決算までにはきっとおぼろげながら形が見えてくるだろう。今年ニンテンドーDSが好調だからと言って、来年、再来年の任天堂が安泰というわけではない。他社からも牽制が出てくるころだ。それにあわせ、任天堂がいつ、どのような形でDSの"次"をちらつかせるのか、今後も目が離せない。

ゲーム機の普及はハードの魅力ではなく、ソフトの充実度が重要であることは歴史が証明しており、今後もそれは変わらないだろう。任天堂岩田社長は決算は票後の質疑応答で現在、Wiiで45タイトル、ニンテンドーDSで79のタイトルを開発中と発表している。未発表のタイトルが大量にあるということになるが、5月のE3が規模を縮小する中で、これら未発表のタイトルをどのタイミングで露出させるのか気になるところだ。さらに最近では、ゲームキューブでバテンカイトスを開発したナムコの開発子会社であるモノリスソフトの株式を取得するなど今までにない動きを見せている。他のゲーム会社の買収も起こりうるのか、そしてそれはどの会社になるのか注目したい。

任天堂は2008年3月期決算で、年間売上げ1兆円超えを目指している。それを達成するために必要なことは、現在のWiiの勢いを殺さぬよう、魅力あるソフトをリリースし続けること、ニンテンドーDS普及の余地の残る北米市場にさらに力を入れること、そして何より、増え続ける需要を十分に満たす供給体制を整備することが重要となる。いいかげん、いつ買いに行っても売っていないという状況はおしまいにしてほしい。ほんとに。

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